第5章 003 砂クジラの少女
大和は前に出て「悪事はこれまでだ」と刑事のような態度をとる。黒い騎士は2人だ。
デュエルするか。タートルと大和で2対2で戦うことができる。だがタートルはやる気がなかった。それどころか……怒っていた。
黒い騎士どもは顔をヘルメットで隠したまま「何か御用か?」と尋ねる。
タートルは捕まえようとしている砂クジラを置いていくように言う。
「捕まえようとしている砂クジラをそのまま置いて去れ。黒騎士たる者、苦しみが分かる者だ。天蓋孤独を知る者たちだ。だからその苦しみを作るな」
黒騎士の一人は「これはモンスターだ」と言い返す。もう一人の方は話す気がないらしい。
女神フリイヤも砂クジラの密漁が気に入らないようで声をあげた。
「モンスターでも心があるわ。誇り高い騎士なら止めておきなさいな」
だがやめる気なんて早々ない様子。
黒い騎士どもめがけてタートルが走り出すと、黒騎士の一人が手のひらを天に掲げた。
「バインドフィールド!」
紫色の空間が突如広がり密漁中の黒騎士たちの半径6メートルほどがこの特殊なフィールドに囲まれた。
「ここより先は入れない」
女神フリイヤは焦った。このフィールドがあるせいでデュエルもできなくなってしまった。このフィールドに触れると動きが止まってしまう。そうなるとセイントカードで召喚しても攻撃が届かない。
怒り心頭なタートルは限界を迎えていた。
「君たちの意思はよくわかった」
〇
突如としてタートルの体が光だし、背中から白鳥のような白い羽根が生え出し空に飛びあがった。
「魔王様に仕える者の反乱分子として断罪を執行します」
手に光の矢を発生させ握り、狙いを込めてバインドフィールドの中にいる黒騎士へと投げ飛ばした。
「なっ何?!」
一人の黒騎士が動きを封じられ動けなくなる。
さらにもう一本の光の矢を握り投げ飛ばし命中した黒騎士2人目が動けなくなった。
「天使の力の前に魔法なんて通用しません」
黒騎士の魔法であるバインドフィールドは崩れ去り、大和とフリイヤは捕まえられていた砂クジラを縄から自由にしてあげた。すると砂クジラは声にならない低いうなり声をあげたのだった。




