第5章 002 砂クジラの少女
3人の黒騎士はカードゲームで敗北したことにより女神の力により浄化されてしまった。みなヘルメットを外し顔が露わになって放心状態のようだ。
「この砂クジラは僕たちが引き継ぐいいな?」
タートルの言い分に頷く黒い騎士たち。
「よしでは、去れ」
言うことを聞いて去っていく黒い騎士たち。
檻から女の子を出してあげると大和は「もう大丈夫だよ」と言いお父さんとお母さんはどこか尋ねると指を刺す方向は森の方だった。
「きっと帰してあげるからね」
フリイヤはこのやり取りを見ているだけで何か言葉をかけることはなかった。何かを考えているようだが、それが何なのかは分からない。
〇
タートルは砂クジラの少女の手を引いて森の中を歩いた。フリイヤは森の中に砂クジラの群れが隠れ住んでいるはずと言っていたが、砂クジラの人間ではない姿というのはどういった姿なのか大和には想像もつかない。
砂クジラは主に自然の中で隠れて暮らす習性があり、見た目は大和も知っている鯨と大差ないらしい。
あてもなくただ森の中を歩く4人。
その時だった。
……ッ!
深海でうなるような鈍い音がした。砂クジラだ。
「どこだ?!」
大和は360度気にして耳をすませる。だが少女の方が早かった。前方を指さしている。タートルは「いこう」と声をかけみなその少女が指さす方向へ足を速める。
〇
たどり着いたのは小規模な砂漠だった。そこではまた黒い騎士たちが砂クジラを密漁しようとしていた。砂からあがった砂クジラを縄で縛って動けないようにしている。
大和は声を上げる。
「なんだってそんな砂クジラを狩るんだよ!」
タートルも答えられない。だがもしかしたらと推測を込めて呟いた。
「もしかしたら、砂クジラをカードにしようとしているのかも」
「なんじゃそりゃ」
「ただの推測だ」
実際この異世界グランドジービアでは動物は存在せず架空のモンスター程度にしか思われていない。ゆえにこの異世界では実在する本物のモンスターをカード化することによって新たな文化を作り出そうとしている可能性もある。実在するモンスターをカードゲーム化しようということだ。
元々モンスターの召喚は契約によって可能なのだ。その召喚の契約をカードゲームでしようとしている可能性もある。カードを召喚板に配置し実体化する召喚のことだ。
タートルは口元を手でなでながら思考する。
「架空じゃないモンスターを召喚することはカードじゃなくてもできるはずだが」
召喚士という職業がある。モンスターを召喚し使役している者のことで立場上ギルドなどのクエストを受ける者も多い。カードゲームの召喚だがそんな力を使う倉間大和もこの世界では召喚士の一人と数えられている。
デュエルという形でしか召喚する機会がないが、カードゲームでの勝負以外でも召喚することはできる。元々カードゲームの問題で異世界転移したのだからそれ以外に使用する頻度が少ないのは当然のことではある。




