第32章 003 ダークネスカード再び
一週間後アーケルドに着いた大和たちはサーバーマリンという町にあるリーシェルが根城とする古城へとやってきた。
リーシェルの仲間たちによって彼が待つ謁見の間へと通される。
大和たちがやってくるのが目に入るとリーシェルは「来てしまったか」と声を漏らした。
大和は真剣な表情で言う。
「来てしまったよ。超特急でな」
あのゆらゆら揺られながらの馬車の旅が超特急だと思うといまいち実感が湧かないホエールなのであった。
「いったいどういうつもりなんだ。リーシェルはダークネスカードを使わない世の中にするのに賛成だったじゃないか!」
リーシェルは「それはそうだ」と言った後に続けて述べた。
「そんなもの、使わないに越したことはない」
そう言って見せる召喚板。色は白だ。
「僕は使ってないよ。ダークネスカードは」
「どういうつもりだリーシェル」
「僕はダークネスカードを心無い者たちが使うように企てているんだ。どうしたら心無い人たちが使ってくれるのかをね」
大和は問いただす。
「心無いってどういう意味だよ? 心無い人間なんているわけないだろ!」
「いるんですよ大和さん。種族による差別。この城にはハーフエルフの女の子もいるんですが、女の子ですよ? 何をされたと思いますか?」
大和は「言えよ」と言う。
「大切な物を壊されたり、バケツ一杯の水をかけられたり、被害者なのに暴言を吐かれたりしたんです」
大和は真剣な表情で「それはひどいな」と口にした。
「ひどいが。それでダークネスカードの出番か? リーシェル」
「それだけじゃない。僕の仲間には嫌がらせばかりが続いている。僕はリーダーなんだ。皆を守らないといけないんだ!」
大和は言った。
「それって、仕返しってことじゃないのか?」
「違う。仕返しじゃない。僕らのことを理解できるようになればいい。繊細になることによって平和の輪が広がるじゃないか! 繊細さがないとこの世は平和にならないんだよ!」
リーシェルの隣に立っていた聖女エリーゼは何も言わずにただ話を聞いていた。




