第32章 002 ダークネスカード再び
馬車に揺られながら自国へ戻ろうとするもその道は遠い。大和は自分のデッキを手で広げたりシャッフルしたりで落ち着かない。
フリイヤはそんな様子の彼に「もうちょっと落ち着きなさいな」と口にする。
「落ち着かないよお。そんなこと言われても」
それはそうである。ダークネスカードの普及は止めようとリーシェルも言っていたのだ。それでダークネスカードを作っていた自分の父親ともデュエルで決着がつき、ダークネスカードは作られることもなくなったはずだ。なのにまたダークネスカードの使用を広げようとはいったいどのような意味があるのか。
大和は馬車に同乗するリーリに一体どういうことなのか聞きただした。
リーリは腕を組んで「そう言われましてもねえ」と言う。
「言った通りなんですよねえ。それ以上でもそれ以下でもないというか。事情はまったく分かりません」
大和は問う。
「もしかしてリーシェルたちは今悪魔やらと関わっているんじゃないだろうな?」
リーリはパチンと指をならす。
「それに近いかもしれませんよ」
大和は拳をリーリの頭上に打った。
「だから、そういうこと、言えって、言っているだろ!」
「でも、悪魔じゃないんで!」
リーリが言うには魔王となったリーシェルがまずやろうとしたことは迫害されている獣人や種族のハーフやらを仲間にしようとしたことだった。人の気持ちが分かるという証明のために色々な種族を仲間に引き入れようとしたということだ。
だが同時に起こったのは人からは白い目で見られるということである。
存在しないかのように扱われたりもする。
買い物をしようとする時にも割り込まれたり、獣人と歩いていると陰口を言われたりなど、石を投げられることもあった。
リーシェルはこんな横暴が許されるはずがないとダークネスカードを再び蘇らせることにした。ダークネスカードを使えば精神の状態が不安定になる。同時に繊細さも芽生えるためその繊細さがあれば迫害することもない。人の気持ちが分かってそんなひどいことをするはずがないと、そう思ったのが始まりだった。
大和は言った。
「それでも使ってはいけないカードなんだ。ダークネスカードは。人の精神に不調をきたし、血の涙が出る作用もある。そのカードを使わないで皆で想い合える世の中にならなくちゃいけないんだ」




