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第31章 003 希望ある敗北

 ホエールがバス停で待つこと15分が経過した。すると隣に広げた傘を持った熊が後ろ足だけで立って歩いてきた。

 ホエールは見たことがない巨大な獣に目を輝かせてじーっと見つめている。


 ……なんだろう、大きい犬?


 ホエールは熊という生き物を知らない。だからこそ知らない獣を見るとわくわくするのだった。


      〇


 カフェの外に出て召喚板をそれぞれ装着しタートルとデビルカード使いの男とのデュエルが始まろうとしていた。

 デビルカード使いの男は何故急にデュエルをしようという流れになったか説明を求める。


「俺は俺の友人が不正をしていたと言ったんだけど、何故それであんたとのデュエルをすることに繋がるんだ?」


「それはデビルカードを使っている者は精神に異常をきたしたり血の涙を流したりするからだ。僕が勝ったら君には女神の浄化を受けてもらう」


 タートルが勝ったら女神フリイヤの浄化を受けてもらいデビルカードのデッキを渡してほしいと言ったが、男は自分が勝った時のことを問う。


「俺が勝った時どうする? あんたのデッキをくれるのか?」


「いいだろう。君が勝った場合、僕のデッキを君にやろう」


 そしてタートルは白い召喚板にデッキを装填し言った。


「だが絶対に負けない」


      〇


 ホエールがバス停で待つこと30分が経過した。隣には相変わらず熊が傘をさして突っ立っている。

 馬車のバスが走ってくる。御者の左腕には召喚板が装備されていた。馬のカードが召喚板に配置されている。


 一人の白い召喚板を身に着けた黒いジャケットを着た男が降りてきた。すると傘を持った熊に傘を差し出される。


「いやいい。大丈夫だ」


 そう言って自分の懐から折りたたみ傘を取り出すと傘を広げた。

 熊は自分用に傘をさしたまま、男と共に去っていった。


 ホエールは去っていく一頭と一人の背中を見ながらここにいない者に対して訴える。


「来ないっ!」

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