第26章 002 魔王ライオウ 前編
王との面会が終わると王都に出て食堂で食事を済ませる大和たち。食事をしながらルシウェルは「魔王を倒すことになるかもしれませんね」と言った。
大和は「そうなるとも限らないけどな」と言うが、今回ばかりはタートルも首を横に振るった。
「もし人間への愛情があればこんな道端で人がそれも複数倒れているような惨状にはならないと思います」
タートルの言う通りであったが、そのままにしている王都にも問題がある。
「それは王都も同じことだろう? 国家警護団が動いているようにも思えない。王都は何を考えているんだ。国民に対する慈しみの心があるとは思えない」
左手に黒い召喚板を装着したまま倒れている人の姿が絶えない。人通りのある道を外れればそんな人たちの姿がある。
デュエルを挑んでデビルカードを回収してもきりがないように思える光景。
まずは魔王に会って直接話すしかないと思う一行であった。
〇
大和たちが乗った六人乗りの馬車は魔王城に向かっている。
外を眺めるとデビルカードによって体を蝕まれた者たちが嫌でも目に入った。
「嫌だな。デビルカードって」
そう呟いたのは大和であった。
タートルも同じように感じていた。この光景に魔王の愛がまったく感じられなかったからだ。まるで悪魔たちが繁栄するためだけに都合よく人間が使われているような感覚だった。
大和は「なんで皆倒れているんだろう」と言うとルシウェルが答えた。
「それは皆勝つために同じデッキを使っているためです。だからお互いにデュエルをしないのですよ。ただ毒だけが体を蝕み倒れているのです」
大和には理解ができなかった。なんでそこまでしてデビルカードに拘るのか。
ルシフェルは言った。
「勝利に飢えているのですよ。勝利に飢えているからこそ、皆召喚板を左手につけ、勝つチャンスを伺っているのです。勝利を求めると皆同じデッキ内容にたどり着くから、自分たちとは違うデッキを使う者が訪れるのを待っているのです。同じデッキ同士で戦うと引き分けになってしまいますから」
大和は窓に肘をついて言った。
「やっぱり嫌だな。デビルカード」




