第23章 008 萌えとはなんなのか
突然の侵入者を前にしてリーシェルは驚く。
「馬鹿な! 魔王を語るにしても何もしていない魔王城だぞ。侵入者など!」
そう言いながらリーシェルと大和たちは城門へと走って向かう。
するとそこにいたのはタートルが知る男であった。
「まさか、ルシウェルか」
「おや? お久しぶりじゃないかタートル」
ルシウェルとタートルに言われた男は笑みを浮かべて片手を上げて挨拶をした。
リーシェルはタートルに「あの人は一体誰なんだ?」と問う。
「彼は大和が来る前にいた先代の魔王の部下の天使だ」
ルシウェルは「そうそう」と言う。
「誰かさんが魔王を倒してしまったせいで、僕の帰るべきところがなくなったんじゃないかとひやひやものなのさ」
大和は前に出る。
「先代の魔王を倒したのは俺だ」
「ほー。君かあ……そっかあ」
上から下まで品定めするようにじっくりと観察するルシウェル。
「君によって魔王は倒されたわけか」
「謝罪が欲しいならばここでしよう」
ルシウェルは首を横に振るい「とんでもない」と言い出す。
「だけど困ったのは、君、クライカードの流通を止めただろ? あれはいけなかったなあ。あれがあるから悪魔が活躍できるようなものなのにさ」
大和は「どういう意味だ?」と問う。
「皆分かっていると思うけど、クライカードが悪魔の力、そしてセイントカードが聖女や女神の力だ。皆困っていると思うよ。君が魔王だから言うこと聞いていると思うけどさ」
ルシウェルは首を横に傾ける。
「クライカードは必要なんだよ? この世には光と闇の均衡によって成り立っている。なあ? タートルもそう思うだろ?」
タートルは言いずらそうにしていたが語った。
「確かにクライカードが悪魔の力。そして魔王城の悪魔たちの力が使われる理由になっていた。だが、またクライカードが使われ始めたら今度は二代目魔王として大和の命が狙われてしまう」
大和はタートルの様子を見て思考する。やはりクライカードが魔王城の悪魔たちが存在している理由だったか。
ルシウェルは続けて語る。
「確かにダンジョンを作ったりするのも手だとは思うよ。現在魔王城はそういう使われ方をしているみたいだからな。でも皆本当は退屈で困っているんじゃないかな? どう思うタートル?」
タートルは口をつぐむ。
「本当は困っているんじゃないかな? 皆。だとしたらさ、復活させようよ。クライカードを」




