第23章 006 萌えとはなんなのか
この「萌え」という謎の言葉の談議に大和も介入していく。
「だから、彼が言いたいのは、好きを感じるってことじゃないのかな?」
ホエールは自分のデッキケースからデッキを取り出してカードを広げ一枚のカードを選択し見せつける。ミニチュワダックスフンドXのカードだ。
「私、これ好きって感じる? これって萌えかな?」
一匹の犬のカードを前にリーシェルも大和も黙り込む。
リーシェルは大和に言う。
「これは萌えに限りなく近い何かだと思う」
「何かって、なんだよ」
「それは分からない」
〇
ウートの浄化が終わるとエリーゼは脱力してその場にへたり込んでしまった。
リーシェルは駆けつけると「大丈夫?」と問う。
「ええ、大丈夫です。浄化も終わりました」
「そうか、よかった。ありがとうエリーゼ。これで彼も楽になれるはずだ」
ウートは近くで寝転がっていた。目からは透明な涙が零れ落ちている。
リーシェルはウートに声をかけながら体を揺さぶる。
「ねえ君、ウートさん。よかったらうちの城に来ないか? 僕は魔王をやっているんだ!」
ウートは目を覚ますと突然この人は何を言っているんだというような反応を示した。
〇
リーシェルの魔王城となる古城では彼の仲間の眼鏡をかけた二十代の男アルケムや、ピンク髪の二十代くらいの女イーネイや三十代ほどの筋肉質な茶髪の男オーライが、リーシェルが連れてきた仲間たちに指示を出しながら大掃除をしていた。
オーライは雑巾で窓を掃除しながら汗を拭う。
「なんて広いんだ」
古城はしばらくの間誰にも管理されていなかったようで埃だらけである。
そこへリーシェルとエリーゼ、そして彼の父親ラースと大和たち一行さらには浄化を終えたウートがやってきた。
オーライは彼らが来たことを知らせる。
「リーシェルが戻ってきたぞ!」
リーシェルがこの城の主であり魔王だ。




