第23章 001 萌えとはなんなのか
祭りの屋台が並ぶ道から少し離れた広場、リーシェルと彼が連れる聖女エリーゼはダークネスカードに心が囚われてしまっている少年ウートにデュエルを挑んでいた。
ラースはこの間にダークネスカードを取り扱っている屋台から自主回収をすることにするが、くじ引きの景品が部分的になくなってしまうため業務上の都合により回収できるかは分からない。
リーシェルはデッキを取り出しウートに言う。
「君の心の枷を僕たちが解放する!」
エリーゼは「ええ私たちが解放してみせるわ」と言い頷く。
ウートは心の枷と言われていることを否定する。
「ダークネスカードを集めているだけなんだ。渡すわけがないだろう! これは僕の趣味なんだから。ただの趣味を他人がとやかく言う権利なんかないはずだ!」
そう言いながらも目から血の涙が流れている。
「あああああああ! イライラするう! なんでどいつもこいつも俺を自由にしてくれない!」
少年は両親が離婚し施設で育てられている身であった。施設ではルールばかりで窮屈な暮らしをしているらしい。
「カードくらい自由に集めさせろよ!」
「それが本当の意味での自由ならば。きっと辛さがない自由ならば皆認めてくれるさ。そう僕は教えられた」
ウートは「辛いだと?」と言い唸るのだった。
「うっ、うううう。辛い。辛くてもどうしようもないのが人生だ。それが分からない奴は恵まれている奴だけだ」
リーシェルは白い召喚板を左腕に装着し、40枚のカードをデッキを装填する箇所に差し込んだ。すると40枚のカードが自動でシャッフルされる。
「デュエルだ! デュエルで心を通わせる!」
ウートは黒い召喚板を左腕に装着し40枚のカードを装填する。40枚のカードは自動でシャッフルされた。
二人は初手の手札となるカードを4枚デッキの上から引く。そしてデュエルの始まりを宣言した。
「「デュエル!!」」
〇
祭りの屋台を見て歩きながら焼きとうもろこしを食べるホエール。タートルはたこ焼きを買って食べている。フリイヤはりんご飴を舐めていた。大和の方はというと、くじの屋台でダークネスカードを見かけたため真剣な趣きでパトロールをしている。
すると道から外れた広場で見たことがある顔がデュエルをしているのが目に入った。
「……リーシェル」




