第3章 002 謎の少女
夜明けを迎え魔王討伐のため魔王城を目指すべく倉間大和と女神フリイヤは再び馬車へと乗り込むと予想を覆す同乗者がいた。それは昨日大和とデュエルし敗北したタートルだった。
「僕がご案内しますよ。魔王城まで」
タートルは黒い鎧を脱ぎ一般に紛れる私服姿でやってきていた。
馬車が出発しタートルを乗せて三人の旅が始まる。
「魔王様の説明をするよりも実際に会った方が早い」
大和は眉間に皺を寄せて反論した。
「それじゃあまるで魔王に会ったら弱った人の心を狙って悪魔の力を売りさばいていることを理解できるようになるみたいな言いぐさじゃないか?」
「実際魔王様は多くの人のことを考えておられる。実際、魔王様が生み出しているのは悪魔のみならず天使さえも生み出しているのだから」
タートルは腰に着けていたカードの束を取り出してカードを一枚引き抜いて見せた。
――セイントカメガールのカード。
「君に合わせてセイントカードで組んだデッキだ」
「年下が年上に向かって君っておかしいだろ。それにセイントカードに好みとか関係ないから。それから……」
大和は気になった。天使さえも生み出すとはどういうことなのか。
女神フリイヤはまあまあとなだめながらセイントカードのデッキをもっとよく見せてくれるように頼んだ。
「良いかな? ちょっとそのデッキ見せてほしいんだけど」
「あっ俺も見たい」
大和も興味ありげだ。タートルは「いいとも」と言いセイントカメガールがトップに飾られたデッキの束をフリイヤに渡す。デッキ内容を見てみるとウミガメアルファやゾウベータガメなどでクライカードは見当たらない。
「これが君たちの好みのカードだろ?」
「だから俺たちに君呼ばわりはおかしいだろ。闇堕ち騎士のお方」
知らぬふりか知ってか何も答えないタートル。
「二人ともいい加減にして」
フリイヤはデッキを返して馬車内のテーブルに肘をつき顎を手のひらに預ける。喧嘩をしても始まらない。言い方ひとつで何かが変わるわけでもなければ、会話の一つ二つで人生観は変わらないのだから。
タートルは悪魔の力をなんだと思っているのだろうか。クライカードを使い続けて衰弱したりはしていないのだろうか。その点を含めてもこのタートルという少年は不思議な存在である。魔王を信じるような素振りもある。人間の弱さに漬け込む悪魔の頂点である魔王は普通の人間からは嫌われているのだから。




