第17章 007 魔王の苦悩
魔王城の寝室にて眠りに落ちていった大和。眠りについた彼は夢を見ていた。
先代の魔王が大和に迫る。
――お前は誰だ? 魔王か? 勇者か?
俺は、誰なんだろう。
――何のために我を倒した。
何のために倒したんだろう。
――お前は何がしたいんだ?
何がしたいんだろう。俺は。
夜中に急に目を覚ます大和。窓の外には満月が光っていた。窓際まで歩いていくと夜空で光る月を眺めた。
「俺は、いったい何がしたかったのかな」
自分の使命だと思ってクライカードを持つ者とデュエルをして精神や肉体に支障をきたすクライカードを没収して、さらにクライカードを作っていた魔王を倒した。今でもクライカードを使っている者に勝負を挑んで没収を続けている。
それが自分のやるべきことだと信じてきたからだ。
だがそれでもダークネスカードが作られたりする。こんな物がないと人は人と助け合うことができないのだろうか。
俺が魔王としての自覚が足りなすぎるのだろうか。俺が魔王としてもっと自覚があればもっとよい世の中になるんじゃないだろうか。本来、悠々自適に旅なんかをしている暇はないんじゃないだろうか。俺は愚か者なのではないだろうか。
「俺がクライカードを没収するのは間違っていない。デュエルをして勝負を挑むのも間違っていない。だが、その後がおろそかだったのだろうか。助けを必要とした者に対して行ったことは自分の力で自分の足で踏ん張って生きていくことだ。それが間違ったことだとでもいうのか」
「大和?」
部屋の扉が開いていた。声をかけたのはルームウエアを着たフリイヤだった。
「ごめん、独り言うるさかったかな?」
「いいえそんなことはありません」
フリイヤは扉を閉めて近くへやってくる。
「ちょっと悩んでいてさ」
「あなたのやってきたことに間違いはないと思いますよ。人は助けられるだけだと自分の足で立てなくなってしまいます。それは生きる上での拘束になり息苦しさにもなってしまいます」
フリイヤの言葉を聞くと自然と笑顔になる大和。
「ありがとうフリイヤ。女神様が言うと、やっぱり説得力が違うな」
「あなたは今人助けをするかしないかで悩んでおられるようですが、助けられる者たちもあなたの足を引っ張りたいわけではないことを覚えておいてくださいね。必要以上かどうかはあなたが自分の胸で思う通りでよいのです。少なくともこの城にいる者たちはあなたによって救われています」
「うん、分かった。覚えておくよ」
そしてフリイヤは魔王城の客室の部屋へと戻っていった。
月を改めて眺める大和。
「今日は、月が綺麗だな」




