第17章 002 魔王の苦悩
大和はテーブルに拳を叩く。
「だからって! クライカードの代わりを作るなんて正気の沙汰じゃない! 悪魔の力じゃないか!」
ラースは首を横に振るう。
「クライカードと違って、ダークネスカードは闇の力だ」
大和は「悪魔の力と闇の力の何が違うっていうんだ!」と問う。
「闇は自分の中にある。悪魔は自分の力ではない」
リーシェルは父親のラースと大和の間に立つように静止させ、意見を述べた。
「大丈夫です。僕が魔王になるんです。病んだ者は病んだままでいい。僕が魔王になればダークネスカードを持った者たちの居場所を作れる。父さん、もう実は空き家の城が見つかっているんです。そこを僕の魔王城にしようと思っているのですが」
そこまで言うと大和が止める。
「やめておいた方が身のためだぞ。魔王城なんてできたものなら、冒険者がやってくる。魔王を倒しにな。それで前の魔王はそんな俺によって倒されたんだから。正義に生きる誰かがやってくるぞ」
〇
リーシェルは言った。
「ではどうすればいいんだ? あんたは魔王として何をしている? できることはやっているんだろ?」
大和は口をつぐむ。
タートルが代わりに発言する。
「大和は魔王が倒されたことで、魔王の効力がなくなり魔王城に住む我々が転生する前の世界に戻されるかもしれない事実と向き合い、代わりに魔王になってくれたんです。彼はできることはしている。元の世界じゃ僕らは天涯孤独だったからね。彼のおかげで居場所がある」
「なるほど。では助けてほしい人も見つけて魔王城の仲間に入れたりしているんですね?」
「それは……」
病棟に入院していたカリムという青年を思い出す。デュエルをし、大事なコレクションを奪って、フリイヤが浄化を行い、それだけだ。
リーシェルは「助けていないじゃないか!」と声を上げる。
大和はリーシェルに胸倉を掴まれる。
「奪って終わりなど、外道のやることだ!」
力なく大和は「その通りだ」と言う。
「俺には懐の広さはなんてないのさ。だがな、精神異常をきたしながら血の涙を流している者を探して助けが必要な人だと分別するような方法は間違っている!」




