第17章 001 魔王の苦悩
リーシェルは大和たちを父親のところまで案内した。ダークネスカードを作っている工場だ。とある山の間にある町の工場だった。
工場に入るとリーシェルは事務室へ向かい父親を紹介した。
「僕の父さんのラース・エンダーです」
眼鏡をかけて作業着を着ているのがリーシェルの父親ラース・エンダーだ。彼は突然の客人に驚いている。
「誰だい君たちは?」
すると大和は前に出て「現在の魔王です」と答える。
ラースは「なるほど」と呟く。
「君がか……」
「はい」
お互いに話したいことがありそうな雰囲気である。
〇
客室の長いソファに客人のフリイヤ、タートル、ホエールが座り奥の一人かけのソファに大和が座る。長いソファに向き合うような設置のソファにラースとリーシェルが座る。作業員の方からお茶を出されるとそれぞれお礼を言った。
大和は第一声に伝えたいことを伝える。
「俺はクライカードの生産を止めたこと。後悔してないですよ」
ラースは「そうか」と呟く。
「それで今の世の中はどうかね?」
「クライカードが残っているところがちらほらあり、持っている者を確認でき次第没収しています」
「デュエルをして君が勝ってかね?」
「はい」
ラースはため息をつく。
「まるで追い剝ぎのようじゃないか」
「でもそうしないと危険だ。実際国家警護団も同じことをしている。誰かがやらないといけないことなんだ。クライカードを持っていて実際に人を襲う事例なんて山ほどある。あの人クライカードもっているなって、傍観している訳にはいかないだろ!」
「ではどうやって君は生活に、人生に苦しんでいる者を見つけるというのかね?」
まるでどこかでしたことがあるようなやり取りだと大和は感じた。大和は答えられない。
「だからダークネスカードを作った。生きる上で何かに苦しんでいる者がこのダークネスカードを手に取ることによって、本来守られなくてはならない人だということが分かる」
「そんなの詭弁だ! そんなカードがなくても皆で助け合っていける!」
ラースは首を横に振っている。
「自分の苦しみを表に出すのは勇気がいる。何故ならそれが弱みになるからだ。それで迫害やいじめにでもあったらどうする? どう責任がとれる? 責任なんてとれないだろう?」




