帰還
暫くすると、扉の向こうから、人の気配がして、皆が戦闘態勢をとったが
ナディアだけは、その気配を感じた瞬間から、扉に優しい目を向けていた。
「皆よ、警戒は必要無いぞ」
ナディアの言葉に、皆が警戒態勢を解くと、扉がゆっくり開き、
中から、銀の髪をした赤い目の女の子が現れた。
ナディアは、正体が分かっていたかのように話掛けた。
「久しいのぅ、ウルドよ」
ウルドは、ナディアに顔を向けた。
「なんじゃ、久しぶりの客かと思えば、ナディアではないか」
「うむ、お主は此処で何をしておるのじゃ?」
「ここは、あたしの家だよ」
「お主の家は、魔族の国であろうが」
「うん、でも住む所がなくなってからは、ここに住んでるよ」
「ナディア、知り合いなの?」
「響子よ、こ奴はウルドと言ってな、ヴァンパイアじゃ」
「そうだよ、あたしは誇り高きヴァンパイアだよ。
ところで、皆は何しに来たの」
「商売じゃ」
響子は、ウルドに此処に来た理由を詳しく話した。
「ならば、あたしも買うよ。
でも、人間の食べ物より、血がいいな」
それを聞いた響子は、左腕を出した。
「吸っていいよ」
「ほんとか?」
「うん、だけど痛いの?」
「痛くないよ」
「なら、いいよ」
ウルドは喜び、響子の腕に抱き着こうとしたが、止められた。
「駄目です。
私の血を上げますから、その代わり響子様の血は諦めて下さい」
「わかった」
ウルドは、リリから血を貰った。
「ふー元気出たぁ」
「それでは、わらわ達は戻るか」
「そうだね」
響子達は、ウルドの自宅から帰ろうとした。
「ちょっと待ってよ、ナディア、私も付いて行ったら駄目かな?」
「何故じゃ」
「ナディアだけ仲間がいるなんてズルいよ」
「でも、此処がお主の家じゃろ」
「う~ん、じゃぁ、引っ越すよ」
「何処に?」
「ナディアの所」
「何を馬鹿な事を言っているのだ!」
「連れて行ってよ、お願いだから」
「響子に聞くが良い」
「響子様、下僕でも、何でもなるから・・・ね」
「皆、どうする?」
「響子様に従うのなら、構いません」
「私達は、どちらでもいいです」
「僕は、響子さんに任せます」
響子は、悩んだが、ナディアの知り合いなので同行を許可した。
「ありがとう!
引っ越しの準備するからちょっと待ってね」
ウルドは、引っ越しの準備を終えて、響子達と一緒に村々を回った。
島を一周して、元の浜辺に戻って来た時には、8日間が過ぎていた。
「後、船が来るまでの2日間は、自由行動にしよう」
「「「はーい」」」
そして、2日が経ち、船が来たので、その船に乗りカインの街に戻った。
響子達は、ギルドに行き、依頼完了の報告をし、報奨金を貰ってから
宿に戻った。
宿に戻り、ウルドの部屋を決めた。
翌日、買い物にウルドを誘った。
「ねぇ、ウルドは、武器とか必要な物はある?」
「ん、どうしたの?」
「うん、無いのなら此処で買おうと思ってね」
「いいの?」
「勿論!」
ウルドは、喜び、市場を見て回り、必要な物を購入した。
「響子さん、有難う!」
「どういたしまして。
戻ろうか」
「はーい」
ウルドを宿に戻してから、響子は領主の館に行き、お世話になった挨拶をした。
「スティーブ子爵、この度はお世話になりました」
「いえ、こちらこそ、娘を助けて頂きましたから。
また来てください」
「はい、また来ます」
響子は、挨拶をしてから宿に戻り、全員揃っていたので王都に向けて出発した。
前回と違い、今回は馬車での移動なのでゆっくり王都に戻る事にした。
途中で、魔物や魔獣が出たが、戦いたい者が多く、
響子やリリ達に出番が来ることは無かった。
それから、数日が経ち、響子達は、王都に戻って来た。
王都の門を抜け、響子達は、屋敷に向かい馬車を走らせた。
屋敷に着くと、既に離れも出来上がっており、リックは、屋敷の細かい所の修復をしていた。
「リックさん、戻りました」
「姉ちゃん、お帰り。
約束の離れは、出来ているぜ」
響子は、リックと2人で離れを見て回った。
「リックさん、最高です!
本当に有難う御座いました」
「ああ、満足してくれたみたいだな」
「はい、ではこれを」
響子は、残りの代金をすべて渡した。
「ありがたい」
リックは、その場で数えて確認をした。
「姉ちゃん、間違いなくあったぜ。
これで、皆も助かる」
「ところで、リックさんは、先程は何をしていたのですか?」
「ああ、古くなったカ所の簡単な修復だよ」
「それは、有難いです。
それで、リックさんは、この後どうしますか?」
「さあな、仕事が来るまで家で待つよ」
「なら、ここで雇われませんか、仕事は、屋敷の修復とかですけど・・・」
「いいのか?」
「はい、ただ、給料という形になりますけど」
「それは、構わない」
「じゃぁ明日、細かい打ち合わせをしましょう」
「わかった。
明日、また来るよ、じゃあな」
リックは、仲間の所に戻って行った。
響子は、屋敷に戻り、ウルドを呼んで部屋を案内した。
「ウルドの部屋は、ここです」
「ここが、あたしの部屋・・・・
ありがとう!」
ウルドは、屋敷に自分も部屋がある事に喜んだ。
「それと、聞きたかったのですが、ウルドは日光は大丈夫なの?」
「あたしは、真祖だから大丈夫だよ」
「良かったです。
それと、夕食の後に、全員集めますから自己紹介をお願いしますね」
「はーい」
ウルドは、部屋に入り、響子から荷物を受け取り、部屋の整理を始めた。
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