↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したら覚恕なんだけどヤかれるのは御免です  作者: 咲原魁里@覚恕転生


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
50/67

四十三、軽薄

 木沢長政は、一言で例えるならチャラ男だと思う。


 史実では彼女(主君)を幾度か変え、時に二股まで行っている。

 ただ笑えないのが、このチャラ男ムーブで多くの人が戦に巻き込まれ亡くなっているという事実だ。

 傾国の美女という言葉があるが、長政はいわば傾国のチャラ男といったところか。


 このチャラ男はこの世界線でも史実通り、夏ごろに起きた飯盛城の戦いでやらかしている。

 木沢長政vs畠山義堯(よしたか)のこの戦い、もともと木沢氏は代々畠山氏の家来だった、気がする。

 チャラ男長政が細川六郎と三好元長の不仲に付け込んで、畠山一族に下剋上をかました感じである。

 

 そしてチャラ男には六郎が、義堯には元長が援軍を送ったのだが、元長・義堯側を叩くべく六郎が本願寺を使ったが事態を更に面倒にした。

 元長は法華宗に肩入れしており、六郎は宗教のライバル関係を利用しようとしたのだ。

 

 その後は義堯の死、元長の自害と続いた。

 更には勢いのついた一向衆の暴走が本願寺派の制止を振り切って、興福寺へ刃を向けるという最悪の結果となった。


 と、ここまでが既に起きた話で。

 まさにこの後、史実では本願寺に、更なる刃が突きつけられることになるはずである。六郎は本願寺を見限り、チャラ男と法華衆、更に六角氏に土一揆までが手を組んだ。

 かくして史実通りに進めば多勢に無勢の一向一揆、更には本願寺への制圧が始まるのだろう。

 史実でいう「山科本願寺の戦い」が。

 

 その本願寺は


 近江の六角定頼の軍勢、付近の土一揆勢

 山村正次率いる柳本勢、そして主力の法華衆


 に四方を包囲された形で攻められたと言われている。

 その後山科の本願寺は社坊一つ残さず焼け落ち、大坂の石山御坊に拠点を移すことになるのだろう。

 確かその移転先の石山本願寺も後に史実では焼けた記憶があるが。

 

 本願寺には色々思うところがあるが、この火災は何としても防ごうと思っている。

 たとえ松本と敵対することになったとしても。



 まずは先ほど挙げた四方のうち、六角の軍勢から。

 これは足利義晴経由で一時保留が叶った。流石カリスマ将軍。


 次に土一揆にも心当たりがあって、そこのリーダーとは顔馴染みであった。

 名前を栗林米浴(こめあび)。

 米は英語でライス、浴びるのはシャワーで……うん、これ以上はやめておく。


 彼の仕事は馬借(ばしゃく)、馬を使って荷物を運ぶ業務の元締めである。

 彼とは運河に届いたまとまった荷物を小口配送する業務を、お願いする縁で繋がった。

 ちょっと気弱で自称不幸を呼び込む体質らしいが、裏を返せば慎重とも言え、その真面目な仕事ぶりでお客様からの信頼も篤い。

 なので拙僧からお願いしたら、性格的にもすんなりことが進むかと思っていたのだが。


「んー、本願寺ってあの蓮淳さんの所ですよね?」

 と難色を示される。


「あそこは荷物の受け取りが無愛想、文句が多い、たまに入り口が留守と問題が多くて仲間うちからも不評でねえ。

 この間なんか横を通っただけでも怒られたらしく」


 あー、それは確かに嫌だろう。しかしそんな理由で寺を焼かれても困るのだが。


「しかし、あの寺の規模ならやり取りも多いのだろう?

 それが無くなっては商売にも支障をきたすであろう」


「そこなんですよねえ……」


「本願寺には拙僧から注意しておく。なので今回だけ事をおさめてもらう訳にはいかぬか?」


「んー……」

 拙僧の言葉に米浴は少し考えて。


「まあ、あの愛宕様がそこまでおっしゃるなら、一揆の皆も無理にとは言わないと思います」


「かたじけない」

 

 こちらも、何とかなりそうだ。


 さて残る山村正次と法華だが、都合よく一箇所に集まっていた。

 と言うより、その二組を実質牛耳るのが……


「聞いたよ、六角と土一揆を抑えたんだって?」

 そう、あの松本がここにいた。しかし。


「なら、僕も条件付きで焼き打ちを思い留まってもいい」


 何と、あれだけ歴史改変を嫌がる彼から思いがけない言葉が。


「どう言う風の吹き回しだ?」


「ああまあ、結婚式は楽しませてもらったからねえ。

 蒸し羊羹も美味しくいただいたし」

 と、まるで幹のような物言いをする。


 しかし同じ食べ物が好きだから仲良く出来るとは限らず、式の会場で顔を合わせた時には「猿娘」「残念頭」と悪口の応酬であった。


「何が条件だ?」


「実質トップの蓮淳(れんじゅん)をここに呼んで来る事。まあ無理だと思うけどね」


 確か彼は史実では、炎上した本願寺から辛くも逃げ出したんだったか。

 ちなみに実質お飾りのトップの証如(しょうにょ)は石山御坊に避難済みだ。


「山村さんもそれで良いよね?」

 と松本が言うと、武将山村と思しき男がうなづく。


「と言うかそもそも、本願寺の中に入れるのかい?

 確か君、蓮淳に死ぬほど嫌われてるんじゃなかったっけ」


 その心配は不要だ、既に対策は考えている。


「しかし愛宕様の、おおむね予想通りの展開になりましたな」

 と拙僧に声を掛けるのは本願寺と同じ浄土真宗、仏光寺派の代表、経光。

 いずれ興福寺に学僧として出向く事が決まっているが、今回の計画の為に出発を伸ばしてもらっていた。


 彼の付き添いとして今から本願寺に向かうのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2sgmdt6j4efn8zq7clnghbjuld3e_16rl_16o_sg_100wy.png
7tadbq5nimuc93p59wf488mq64tc_p6v_7y_bq_6mgn.png
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。