TWENTY-EIGHT
私たちの知らなかった新たな能力の使い方を知り、私と幸慈が無邪気にはしゃいでおりますと、床に横たわっていた空生がゆっくりと上体を起こしました。
「ユキ……。ん……」
空生が愛おしそうに両腕を前に差し出すと、幸慈もまた、素直にその胸へと飛び込んでいきました。二人はぎゅっと抱き合いながら、涙をにじませます。
「……ありがとう。本当にありがとうね、ユキ……」
「どういたしましてぇ。良かったね、ソラちゃん!」
「ユキのおかげよ。……実は、朝からずっと気分が悪くて、急に激しい吐き気に襲われたの。その一瞬の隙を突かれて、七鳳にやられてしまったのよ。我ながら情けないわ……。でも、今は不思議なくらいスッキリしているの」
「あ、あのね、ソラちゃん、それはね……」
幸慈が何かを言いかけるより早く、私は空生の言葉を聞いて、胸の奥から烈火の如き怒りが湧き上がってくるのを止められませんでした。体調の悪さを黙匿し、周囲にこれほどの心配をかけるなど、言語道断でございます!
「空生ッ! なぜ事前に言わなかったのですかッッ!! お前のその安易な判断のせいで、どれほど全員が肝を冷やしたか、分かっているのですかッッ!!」
「……っ、すみません……」
「無理だけはするなと、私も桜々さんも、あれほどッ――」
「父さんッ、父さんッッ!! やめてあげてッ!」
見かねた幸慈が必死に割り込んできました。
「ユキ! 空生を庇いたい気持ちは分かりますが、こういうことは、悪いことは悪いとハッキリ伝えないと、本人のためになりませんッ」
「ソラちゃんは悪くないのッ! 仕方ないんだよ!! だって、赤ちゃんがいたんだもんッッ!!」
「へっ……?」
あまりに想定外の単語に、私の思考が完全に停止いたしました。
「ソラちゃんはね、ママなんだよ、お母さんなの! だからそんな大声で怒鳴ったりしちゃダメだよ! 赤ちゃんがまたビックリしちゃうじゃないかッッ!!」
幸慈の突然の爆弾発言に、当の空生を含めたその場の全員が、まるで石像のように唖然と硬直してしまいました。静寂の中、空生が震える手でお腹をさすりながら呟きます。
「いや、……ちょっと待って、ユキ。私が、ママ……? 赤ちゃんって、どういうこと……?」
「本当だよ! さっき傷を押さえてるときに、手から伝わってきたの。お腹の中で、赤ちゃんも『頑張れぇー』って応援してたよ?」
「えっ!? 何で……どうしてそんなことまで分かるの?」
「……僕にも分かんないけど、絶対にそうだって感じたんだもん」
空生は呆然と目を見開きました。
「じゃあ、最近急に食欲が落ちたのも、ずっと気分が優れなかったのも……すべて、悪阻……?」
重苦しい空気が一変する中、すぐさま琴杜音さんが歩み寄り、空生の手首をとって脈を測り始めました。一分ほどの静寂の後、彼女は顔をほころばせました。
「……んー、間違いなさそうね! 本当だわ、ハッキリと綺麗な『滑脈』が出ているもの」
その結果に、隣にいた桜々さんが飛び上がらんばかりに驚きました。
「ええっ!? 琴杜音、あなた脈を診ただけで妊娠が分かるの?」
「昔、東洋医学を少しかじったことがあってね。それにしても、信じられないほど力強い脈だわぁ……。まるで赤ちゃんの元気な鼓動が、この指にまで響いてくるよう。きっと生命力の強い、素晴らしい子が生まれるわよォ?」
「ええええっ!? 私、お祖母ちゃんになるの……!?」
「良いじゃない、若いお祖母ちゃん、とっても素敵よっ!! おめでとう空生ちゃん、おめでとう桜々っ!!」
さらに、そこへ麦乃介さんが狂喜乱舞しながら割って入ってまいりました。
「ヤダァあん! あたくしがお祖父ちゃまだなんて信じられないわッッ! すぐに可愛いおべべやヨダレ掛けを作らなくっちゃ! 他に何が必要かしら!? いやぁあん、今からた・の・し・みぃー! 本当におめでとう、ソラちゃーんっ!」
「み、皆さん、ありがとうございます……」
顔を真っ赤に染める空生に、幸雅と幸慈も満面の笑みで言葉をかけます。
「マジかよソラ姉ッッ! やったじゃん、本当におめでとう!」
「ソラちゃん、おめでとうっ!」
「ありがとう、コウ、ユキ……」
世界が一瞬で祝福の光に包まれる中――私だけは、背後からズモモモモ……と、地獄の底から這い出るような漆黒のオーラを放ち始めておりました。
そして、その殺気じみた気配を敏感に察知し、蜘蛛の子を散らすようにその場から音もなく逃走しようとする不届き者が、約一名。
「……おぉーい。ちょっと待て、テメェ……。どこへ行きやがる……? そこへ直れ、こっちに来いやぁー……」
私が地獄の底から響くような低音を響かせますと、倭久は文字通り蛇に睨まれた蛙、いや、怒り狂う大型肉食獣にロックオンされた哀れな小動物の如く硬直いたしました。
「い、いえ、お父さん! お、おれは……その、遠慮しておきます……」
「うるせぇ小僧。誰がお父さんだ、そんな風に呼ぶ権利はまだ与えちゃいねぇ……。おぅ、お前、ちょっと面貸せ。いいから、こっちに来い……」
「いえッ! すみません……そっちにはッ……お、恐ろしくて一歩も行けませんッ!」
「ほぅ……なら、自分が何をしたか分かっているようだなぁ。……お前、……約束、破ったな?」
「や、破ってな……破ってなッ!! ……破ってッ、……しまいました……っ! すみません……っ!」
「すみませんで済むかぁあーーーッッ!! テメェッッ! あれほどガチガチに、釘を刺しておいたというのに、めちゃくちゃ破ってんじゃねぇか、このクソガキャァアアーッッ!! ギッタンギッタンのメッタメタに――」
「父さんッッ!!」
私の咆哮を遮ったのは、他でもない空生でした。
「な、何かな、ソラちゃんッッ!?」
一瞬で声音が裏返った裏声へと切り替わったのは、決して私の意志ではございません。
「赤ちゃんがビックリしちゃうじゃないっ……。そんな恐ろしい大声を出して……。父さんは、私たちの新しい命を、喜んで……くれないのねっ。空生、ウッ……悲しいッ……っ」
目元を両手で覆い、うるうるとした涙を指の隙間からのぞかせる娘の国家予算級に美しい破壊力に、私の鉄の意志である頑固オヤジのプライドは、一瞬で塵芥の如く瓦解いたしました。
「そ、そそそんな滅相もないことはありませんよォーッ! お、おめでとう、空生ちゃんッッ!! 赤ちゃんはきっと、とぉーっても可愛くて良い子ちゃんに決まっていますね! ホラ、琴杜音さんも生命力が強いって言っていましたしね! すんごい嬉しいですよォー! 大歓迎です、大大大歓迎ですッッ!!」
「だってっ! 良かったね、倭久!! ありがとう、父さんっ♪」
「んぐぅぅ……」
必殺技だったのでございましたッ……。つい一秒前までの涙はどこへやら、秒速でケロッとした顔に切り替わり、倭久に向かって満面の笑みで語りかける我が娘。恐ろしい……これが「母となった女性」の強さなのでしょうか。
あまりにも華麗な手のひら返しを決める空生と、アイデンティティが崩壊する勢いで必死に取り繕う私を見て、隣の幸雅が盛大に吹き出しました。
「ブハッ! アハハ、父さん! 完全に負けだよ、負けッ! クックックッ……」
「そうよねぇ。一時はどうなることかと思ったけれど、駆けおちして音信不通になられるより、よっぽど良いんじゃない? 新しい家族が増えるんだもの。トッキー、もう潮時よ。これにて往生際よく年貢を納めなさいね」
「ぐぅ……っ」
桜々さんにまでそう宥められ、私は益々渋い顔をせざるを得ず、その完璧な「敗北の構図」を見た全員が、ドッと笑いに包まれたのでございました。
◆◆◆◆◆
その時、先ほどまで気絶していた七鳳がハッと飛び起きました。
「わ、私、気を失ってた!? ……あ、八鳳ッッ! 何そいつらと和気藹々(わきあいあい)と屯ってんだよッッ!! 私たちの敵だろッ……」
矢継ぎ早に怒鳴り散らし、再び凶悪な突風を放とうとしたその瞬間、八鳳がツカツカと足早に近づいていき、
――ゴンッッ!!
容赦のない拳骨を七鳳の脳頭頂部に喰らわせたのでした。
「いったぁーッッ! なんで私を殴んのよっ!? 攻撃するならアッチに……」
――ゴンッ、ゴンッッ!!
「いったぁあああいっ!!」
さらに二発の追撃を見舞い、すっかり大人しくなった七鳳を背に、八鳳は私たちの方へ向き直りました。
「七鳳には、後で私からすべてを説明するわ……。今はまだ頭に血が上っていて、何も聞きそうにないから。……一旦、私たちはここを離れるわ」
「……どこへ行くつもりなのですか」
「まだ、分からない……。今までだって、二人で何とかやってこられたもの。……それに、寿一兄さんとも、今は少し距離を置きたいし……」
「寿一、兄さん……?」
私がオウム返しに呟くと、八鳳は寂しげに目を伏せました。
「ええ、今まではそう呼んでいたの。寿一兄さんは、幼い私たちを守り、育ててくれた。その恩は分かっているわ。だけど……私たちに植え付けられた『偽りの記憶』を、兄さんは否定しないままでいた。それが、どうしても悲しかったの。もう何を信じて良いのか分からなくなって、パニックを起こした私を、本当の兄さんである貴方が救ってくれた。……心から感謝しているわ、時士兄さん」
「そう、ですか……」
「それから、空生ちゃん……」
「あ、はい……」
「七鳳が貴方に酷いことをして、死ぬほど苦しい思いをさせて……本当にごめんなさいね。私たちの醜い勘違いのせいで、貴方たち家族をここまで巻き込んでしまって……」
空生は未だ事態を飲み込みきれていない様子でしたが、私は静かに八鳳を見つめ、声をかけました。
「大丈夫ですよ、空生には私からゆっくり話を伝えておきます。……心が落ち着いたら、いつでもまた顔を見せにおいでなさい、八鳳」
「ありがとう、時士兄さん。……それから、寿一兄さん。ここを離れる前に、これだけは教えて。……何故、あの嘘を否定してくれなかったの?」
八鳳の切実な問いかけに、捕縛されたままの田嶋は深く黙り込んでしまいました。見かねた琴杜音さんが、優しく彼の名を呼びます。
「……寿一。貴方はそんな陰険な嘘を吐く人じゃないわ。きっと、言葉にできない理由があったのでしょう? 本当のことを、あの子たちに話してあげなさい……」
かつての想い人に促され、田嶋は絞り出すように、ポツリと本音を漏らしたのです。
「……取られ、たくなかったんだ……」
「え……?」
「俺はお前たちを、本当の、実の妹のように大切に育ててきた。だからッ……ポッと出の、本物の兄貴が現れたら、お前たちが俺の元を離れて行ってしまうんじゃないかと……。それが嫌で、悔しくて、仕方がなかったんだ……」
「寿一ったら……。そんな子供みたいな理由で……」
琴杜音さんが呆れたように、しかしどこか愛おしそうに溜息を吐きました。田嶋はさらに言葉を続けます。
「父様には、俺たちが八重さんを匿っていることを完全に秘匿していた。それは、俺の母親が密かに父様の目を欺いてくれていたからだ。同じ母として、女性として、瀕死の彼女を見捨てることはできないと……。部下には『遺体は押上の連中に持ち去られた』と偽の報告をさせ、父様は死ぬまで真実を知らなかったんだ」
その告白に、八鳳は大きな衝撃を受けたようでした。
「そんな……! だって、あの監視の厳しい本邸で、どうやって母さんを……っ」
「母様は、父様の目の届かない場所に別邸を持っていたんだ。父様が亡くなるまでは、そこでお前たちと八重さんを一緒に匿っていた。……お前たちが二人で協力して過ごせるようになってからは別の家を与えたが、……覚えていないか?」
「……微かに。本当に幼い頃、本邸とは違う静かな屋敷で、誰かと過ごした記憶が……」
「そこが、お前たちの生家だ。母様は医者を付きっきりで手配し、八重さんの容体が安定するまで懸命に世話をしていた。彼女は何とか持ち直し、意識が戻る時間も増えていたんだ。だが……帝王切開の手術の後に……」
「母さんは、手術を……?」
「双子の自然分娩は、当時の彼女の衰弱した身体では不可能だと宣告された。意識を取り戻した八重さん自身が、子供たちの命を最優先にと、帝王切開を強く希望したんだ。手術後の二日間、彼女はお前たちを愛おしそうに抱き、世話をする母様と俺の姿を、本当に嬉しそうに眺めていた。それなのに……」
「何があったの!? なんで母さんは死んでしまったのっ!?」
たまらず七鳳が叫びました。田嶋は悔しげに顔を歪めます。
「術後の感染症だ。元々の体力が限界を迎えていたところへ、大手術の負担が重なり……無理がたたってしまったんだ……」
「……私たちの……せい……? 私たちが生まれたから、母さんは……」
茫然と呟く七鳳の肩が小刻みに震え始めました。私はそっと歩み寄り、二人の妹たちを見つめました。
「誰のせいでもありませんよ。母さんは命を賭けて、待ち望んだお前たち二人の元気な姿を見ることができた。そして、お世話をしてくれる優しい人たちが側にいることに、心から安心して旅立たれたのです」
「なんで……お前にそんなことが分かるんだよっ……!」
なおも涙目で突っかかる七鳳に、私はふっと微笑みました。
「お前たちより、私は十年以上も長く母さんと一緒に過ごしましたからね。母さんが何を想い、どれほど深く子供たちを愛する人だったか、それくらいは分かりますよ」
「十年って……お前、本当に何を言って……」
「私はお前たちと同じ母を持つ、お前たちの兄です。二度と会えないと諦めていた妹たちが、こうしてこの世に生を受け、元気に美しく育ってくれた。……私はそれだけで、神に感謝したいほど嬉しいのですよ」
「や、八鳳……! コイツ、なんかおかしなことを言って……っ」
「七鳳、認めなさい。……私たちの、本当の兄さんよ。結婚して姓は変わっているけれど、元の名は『竜神時士』……私たちの、たった一人の血の繋がったお兄ちゃんよ」
「……嘘っ……。じゃあ、私は……自分の、姪を殺そうと……っ」
すべてを理解した七鳳がその場に崩れ落ち、田嶋もまた深く頭を垂れました。
「……すまなかった。すべては俺の、器の小ささが招いた事態だ……」
懺悔する田嶋に対し、私は静かに首を振りました。
「田嶋さん。……お母様と共に、命がけで私の母と妹たちを救ってくださったこと、心から感謝いたします。貴方方のおかげで、こうして私たちは巡り合うことができた。すべては前総帥の差金であり、貴方に責はありません。ただ……もう二度と、他の能力者たちを巻き込むような真似だけはしないでいただきたい」
「……それについては、本当に申し訳ないと思っている」
田嶋は静かに、しかし苦渋に満ちた表情で答えました。
「能力者を巻き込む大ごとを起こせば、いつか、どこかで『こっちゃん(琴杜音)』に再会できるのではないかと、そんな淡い期待があったんだ。それに……彼女を俺から奪っていった能力者という存在そのものが、当時の俺には憎くてたまらなかった……」
「動機は理解できなくもありませんが、だからといって、無関係な能力者たちを再起不能にして抹殺するまで追い詰めるのは、些かやりすぎではございませんか?」
私が眉をひそめて問うと、田嶋は心底驚いたように目を見開きました。
「え……? いや、そんな残虐な命令は出していない。組織の勧誘を断った者については、そのまま解放して――」
「あー、それはねぇ、コイツら幹部連中が裏で勝手に私腹を肥やすために行っていたことみたいですよぉー」
緊迫した空気を破り、間抜けた、しかし絶対的な威圧感を伴う声が響きました。
見れば、ボコボコに叩きのめされたGKの幹部たちを、縄で一網打尽にして引きずりながら、涼しい顔をした皇さんがのそのそと現れたのでございます。
「皇さん!? それ、一体どうやって捕まえたのですか……」
「えーッッ!? それ、今このタイミングで聞いちゃうぅー!?」
「い、いえ、野暮なことを聞きました。やめておきます、はい、すみません……」
あまりの剣幕に私が一歩引くと、皇さんはふぅと息を吐き、引きずってきた幹部たちを床に転がしました。
「まぁ、それ相応の『お仕置き』をしたら綺麗にゲロったんで、裏付けは取れてますよぉー。要するに、田嶋本人は何も知らなかったってわけ。部下からの尊敬も信頼も最初から無きに等しくて、死んだ親父さんの影響力がまだ強く裏に残っていたんでしょうねぇ。田嶋自体、人を躾ける能力が皆無だったから、現場が勝手に暴走してたのよ」
「そんな、バカな……。俺の目が届かないところで……」
己の不徳に動揺する田嶋に対し、皇さんは冷徹に、しかし正論を突きつけます。
「田嶋さぁ、あんたの親父の呪縛は、亡くなってからも尚、組織の裏の裏で続いていたんだよ。あんたは腕っぷしがどれだけ強くても、そこら辺の裏を読むっていうか、人間って生き物をちゃんと深く観察しないからダメじゃんッ! それじゃあ人をまとめるトップの器にはなれないよォッ? 勝手に動いてる部下の『虚偽の報告』を真に受けてさぁ……全く、手綱はちゃんと引きなさいねぇ?」
「ブフッ……まぁ、寿一は昔からそういう細かい実務の柄じゃないからねぇ」
「こ、こっちゃん……」
「私も、この田嶋寿一という男が、そんな非道な虐殺を率先して行うとは思えなかったわ。お父様を反面教師とするように、亡くなった奥様が彼を厳しく教育なさっていたことも知っているもの。……ここは皇さんの言う通り、彼の統率不足が招いた、部下の暴走よ」
田嶋という男の気質を誰よりも深く知る琴杜音さんがそう言うのであれば、間違いはないのでしょう。
「……そうですか。これからは……」
「部下の躾は一から徹底的にやり直すッ! これまでの管理不足、本当に申し訳なかったッッ……」
巨大な巨大な組織のトップである男が、プライドを捨てて深く頭を下げたその姿に、私は一定の納得を覚えました。前総帥の代から巣食う腐った部下たちを御すのは、並大抵の苦労ではなかったはずですからね。
「犠牲になった方々への償いは、必ず、誠心誠意行ってくださいね……。私たちから望むのはそれだけです。過去と、そして今回のような悲しい出来事が、二度と起こらぬように……」
「ああ、誓って……そのような不祥事が二度と起こらぬよう、この約束は命に代えても守るッッ!」
私は、田嶋の真っ直ぐで嘘偽りのないその瞳を見つめ、彼を、そしてこれからの未来を、信じてみようと思ったのでございました。




