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僕がこの世界で生きるワケ  作者: 京衛武百十
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女の幸せ

ライラも、正直、男性からは『女性として』の人気は決して高くなかった。


剣の腕は確かで騎士としては立派だし、部隊を率いる時も冷静で的確でかつ部下想いなので信頼もされているものの、


『ルトウという、ビーフシチューのような料理が作れるか、タリシュと呼ばれる、女性が羽織るケープのようなものを縫えるかで、成人として認められる』


という面では実はいまだにこなせておらず、以前にも言った通りあくまで<剣の腕>で成人として認められたので、要するに、


『女性として見られてない』


わけだ。


まあそれでも生物学上の性別については女性なので、一応、レイをはじめとした部下達には、


『<女の幸せ>ってのも掴んでもらいたい』


とは思われていた。


この辺りは、リセイがいた元の世界だと、


『女の幸せって何!?』


みたいなことを言われたりするものの、ここではまだまだ、


『いい旦那を見付けて子供を生んで幸せな家庭を作ることこそが女の幸せだ!』


的な感覚が圧倒的に強いので、それに異を唱えても、奇異な目で見られるだけなのがオチである。


しかし同時に、ライラくらいの実績を見せると、


『普通に家庭に収まるのももったいないよな』


とは思われる場合もあるし、実際、ライラの場合はそう思われていた。


なにしろ、彼女に吊り合う男性がそもそもいない。いや、吊り合いだけで言うなら強さや人柄で申し分ない男性はいる。いるが、そういう男性は早々に結婚を決めてしまうので、ライラには回ってこない。


加えて、結婚する者はほとんど、成人の儀をこなしてから二十歳になるまでに済ますので、その時期を剣の鍛錬に費やしたライラは、いわば、


嫁ぎ(いき)遅れ>


でもあった。


こうなるとますます相手がいない。病などで妻に先立たれた男性が『仕方なく』という形になってしまう。


が、そこに現れたリセイは、


『腕が立つ(しかもライラより強い)』


『若くて独り身』


嫁ぎ(いき)遅れたライラをそういう目で見ていない』


そして何より、


『ライラ自身がリセイのことを悪からず思っている』


ということで、彼女を慕う者達からすれば、


『このチャンスを逃せばもう後がない』


と考えるのも無理はないのだろう。


『まったく……余計なことを……』


宿舎の自室に戻ったライラは、普段は正装をした際に服装の乱れをチェックする時くらいしか見ることのない姿見の鏡の前に立ち、自分の姿を映してみた。


そこにいるのは、男性として見れば確かに女性は放っておかないだろうという印象のある、精悍でかつ美麗な<男性>だった。


男性の服を着て、風呂上りでまったく化粧っ気もない彼女は、なるほど男性として見た方が自然に思える。


それでも仮にも女性なので、正装の時には女性に見えるように唇には紅も差すため、初めて会った時にリセイにも彼女がちゃんと女性であると分かったのだった。



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