死してもストーカーは
排水管とコンビニで一応のトラップを仕掛け、部屋に戻ろうとすると冬子が頼み事をする
「マサキさん……私の家まで連れて行ってもらえませんか?」
「自分のパソコンを持ってきてほしいと言っていたね。ごめん、最近忙しくて後回しにしてしまっていて」
「いいえ、マサキさんがお忙しかったのは分かっていますから」
冬子を助手席に乗せ、彼女の自宅へと車を走らせた。車で10分も走れば着く距離だ。
僕と冬子はかつて、この家で雪乃と冬子を襲ったストーカーの男たちを殺害した。
遺体はそのまま放置していた、そのためゾンビ化し、今も家の中に潜伏している可能性は極めて高い。
車を停め、鉄パイプを両手で固く握りしめると、先に立って慎重にドアを開けた。
「……」
荒れ果てたリビングを警戒しながら覗き込むが、奴らの姿は無かった。玄関の扉は破られたまま開いていたので、おそらく自我を失った状態で外へ徘徊していったのだろう。
「奴らの姿は無いようだね」
外に出て声をかけると、冬子も静かに足を踏み入れ、下駄箱や廊下の陰を軽く確かめていた。
「そうですね……。それに、やっぱりパパとママも戻っていませんね」
両親がどこかの避難所に逃げ延びていて、数日後に戻ってくる可能性もゼロではない。だが、この惨状を考えればその確率は限りなく低いだろう。
それでも冬子は、心のどこかで両親の生存への微かな希望を捨てきれずにいたのだ。
「……戻ってきてくれるといいね」
「はい……。だけど、たぶん……もう無理なんだろうなって……うっ……う……っ。おかあさん……おかあさんに、会いたいよ……」
我が家に足を踏み入れ、張り詰めていた緊張が切れたのか、冬子は目からボロボロと大粒の涙をこぼし始めた。
「私は……ずっと部屋に引きこもってばかりで……何一つ親孝行も返せていないのに……。心配ばかりかけていたのに……うぅ……っ」
なんと声をかけて慰めればいいのか分からなかった。僕はただ、震える彼女の華奢な体を強く抱きしめることしかできなかった。
「ごめんなさい、取り乱して泣いてしまって……。だけど、こんな絶望的な世界になってしまって最悪だけど……マサキさんと出逢えたことだけは、神様に感謝しているんです」
「僕も君と出逢えたことには感謝しているよ。まあ、出逢い方は最悪だったけれどね。確か、このリビングの入り口で君に酷い言葉で怒鳴られてさ」
「ふふ、その節は本当にすみませんでした。……でもね、オッサンなんて言いましたけど、本当は初めてマサキさんを見たその瞬間から、胸が苦しくなるくらいトキメいていたんですよ?」
「本当かい?」
「ええ。雪と私は姉妹ですから。人を好きになる好みも、きっと同じなんですよ」
それから冬子はリビングの入り口に佇み、室内をじっと見つめていた。
誰もいない部屋。だが、床やカーペットにはあの日男たちと激しく争った痕跡と、禍々しい黒ずんだ血痕が色濃く残っている。
「あぁ……私とマサキさんは、ここで……あの男たちを殺したんですよね……」
ふたりで男たちを惨殺したあの血塗られた瞬間を思い出しているのだろう。冬子の白い頬が、どこか陶酔したように赤く染まっていく。
やがて彼女の息が荒くなり、荒い吐息を漏らしながら、服の上から自らの胸をゆっくりとなぞり始めた。
彼女は惨状を思い出して、発情し始めていた
常軌を逸した反応だ。彼女は狂っているのかもしれない。──だが、そんな彼女の歪んだ艶やかさを目の当たりにして、僕の肉体もまた猛烈な興奮に支配されていくのを止められなかった。
「……私が好きな『マサキさんランキング』の堂々第1位は、やっぱりあの時のあなたなんです。あの血まみれで私を救ってくれ、一緒に堕ちた姿を思い浮かべると……いつも、体中が熱くなって弾けそうになってしまうんです……っ」
僕は彼女を強く引き寄せ、抱きしめた。
待っていたかのように、冬子は僕の首筋に両手を回し、飢えたように深く唇を重ねてきた。
熱く、互いの唾液を貪り合うような濃密なキス。
互いの肉体を確かめ合うように貪欲に服を脱がし、肌を露わにしていく。
やがて冬子は、かつて悲劇の舞台となったダイニングテーブルに両手をつき、腰を深く落とした。
「ここで……後ろから私を犯してください」
「冬子……そこは君が、あのストーカーに犯された場所だろう……?」
「だからです……! あの嫌な記憶を、マサキさんの熱い肉で……上書きしてほしいんです……っ!」
彼女はこの場所でストーカーに襲われ、犯された。それに激怒した僕が彼女を救ったが事実は消えない。彼女はその地獄のような記憶を、僕という存在で塗り潰し、救われようとしている。
僕は獣のように冬子の背後から襲いかかり、豊満な乳房を強く揉みしだいた。そして、蜜で濡れそぼったワレメに固く脈打つ肉棒をあてがい、狭く締め付ける膣奥へと力任せに押し入っていく。
「──ッあぁぁあぁっ……! きもちいい……っ! マサキさん、すごいの……もうイキそう……ッ!」
彼女はこの激しい救済を全身で渇望していたのだろう。挿入された瞬間のあまりの快感に、冬子は一瞬で絶頂へと達し、体を大きく痙攣させた。
僕は溢れ出る愛液をかき混ぜるようにゆっくりと腰を動かし中をこね回す、彼女の体の中に再び激しい熱量が芽生えてくるのを感じながら、さらに速度を上げて奥を突き続けた。
僕たちは異常者だと思う。自分たちが人を殺めた現場で、その惨劇の記憶を強力なカンフル剤にして、背徳的な快楽の深淵へと堕ちていっているのだから。
「あぁ……最高だ、冬子……! 君は本当に、最高の女だよ……っ!」
「うれしい……っ! 私も、マサキさんだけなのです……こんなに私を満たしてくれるのは……生涯、あなただけです……っ!」
──ゴトッ。
突如、静まり返ったリビングの入り口で、鈍い音が響いた。
無人であるはずの家で、決して鳴るはずのない音が。
僕たちはピタリと動きを止め、音のした方へと視線を向けた。
あの日、僕が殺し損ねて放置され、ゾンビと化したあのストーカーだった。
男は死んだ時の姿のまま、後ろ手に固く縛られた状態で床を這いずっていた。家具の脚か何かに縄が引っかかり、こちらへ進めずにただ足掻いている。
濁った虚無の瞳が、まっ振りにこちらを捉えていた。
僕の罪悪感と心理がそう見せたのか、ゾンビの男が激しい怒りと執着を滾らせて僕たちを睨みつけているように思え、背中にゾクリと冷たい寒気が走った。
だが──冬子は違っていた。
男のゾンビの姿を目にした瞬間、彼女の唇から溢れ出たのは……可憐で、そしてあまりにも狂気に満ちた嘲笑だった。
「ふふっ……あはははっ! また見ているのですね? あなたは死んでゾンビになっても、まだ私を見つめているのですね……? いいですよ、見せてあげます。私が大好きなマサキさんと、どんな風に愛し合っているのか……たっぷりと見せてあげますからっ!」
冬子は男の視線を嘲笑うように、さらに自ら深く腰を突き出し、僕の肉棒を奥に当てて歓喜の声をあげた。
僕は彼女の狂おしい望み通り、激しく、どこまでも貪欲にその肉体を突き上げ続けた。
※少し過激な性描写や表現もありますから、ミッドナイトノベルに移行中です
過激な内容の閑話もあります。ラブシーンに少しづつ挿絵もいれてます。




