肉肉しい
「あっ……いい……気持ちいです。あああ……」
初めて訪れた場所、しかも樹木が鬱蒼と茂った薄暗い森林ということもあり、いつもの様に奈緒にライダーパンツだけ下げさせて後ろから済まそうと思っていたが、奈緒の肉好きのいい尻を掴んでいたら思いのほか興奮してしまい、全ての衣服をはぎ取り、全裸にした彼女をフォードのボンネットに押し付けて正面から挿入していた。
「ああ、僕も中の締め付けが気持ちいよ、それに君はなんて美しいんだ、小麦色の肌が素晴らしく綺麗だ」
「はああ……うれしい……もっと……もっと、強く突いて……マサキさん大好き……」
お世辞ではなく、奈緒の筋肉に柔らかな脂肪の乗った柔軟な身体はとても綺麗で、触り心地が良かった。
正面から挿入しながら、わき腹や乳房を揉み上げていくと、その肉肉しい感触が溜まらなく興奮した。
奈緒との激しい情事を終え、再びフォードに乗り込んで別荘への帰路についていた。
夕闇が迫る山道を運転しながら、僕は助手席でまだ少し名残惜しそうに火照った身体を小さく丸めている奈緒の横顔を、バックミラー越しに、そして盗み見るようにして改めて考察していた。
彼女は水泳で国体に出場するほどの実力を持ったトップアスリートだ。引き締まったしなやかな筋肉と、それでいて豊かな出るところが出た肉感的なプロポーション。それは大人の女性としての洗練された美しさを持つ彩香とは、全く違った野生的な魅力を放っていた。
男顔負けの抜群の身体能力は、この狂った世界においては何よりも頼もしい相棒としての資格を満たしている。それでいて、顔立ちは驚くほど整っており、中身はまだまだ若く、少女のような幼さと素直さを色濃く残していた。
僕の視線を感じたのか、ミラー越しに目が合うとニコリとほほ笑む。
(本当に、眩しいくらいに可愛く生気が溢れている子だな……)
もしも世界がこんな風に崩壊していなければ、しがない一介の労働者でしかない僕のような男が、国体選手である彼女と肌を重ねるような機会は、天地がひっくり返っても有り得なかったはずだ。そう考えると、この地獄のような終末世界に対して、不謹慎ながらも奇妙な感謝の念さえ湧いてくる。
別荘に戻ると、リビングでは彩香と良子が咲愛を交えて荷物の整理を終えたところだった。
僕は奈緒を背後に従え、道の駅で目撃した凄惨な惨劇の跡、そしてこの場所に潜んでいると思われる「凶悪な何者か」の影について、包み隠さず報告した。
「……なるほどね。生きている人間を襲撃して、物資を奪い去った後にゾンビ化したわけね」
話を聞いた彩香は、意外にも驚く風でもなく、ふむ、と美しい顎に手を当てて深く頷いた。彼女の優秀な頭脳からすれば、トリプルXのような狂暴な集団がこのエリアにまで触手を伸ばしている可能性は、十分に想定の範囲内だったのだろう。
「怖がらせる意図はないけれど、その何者かが昨日の奴らと同等の危険な連中である可能性は高いわね。でも、怖がって閉じこもっていてもジリ貧になるだけよ。私たちがここでで生き延びるためには、早急に安全な物資の調達方法を確立しなければならないわ」
彩香の現実的かつ冷徹な指摘に、ポケットから取り出したメモを見せながら言葉を続けた。
「ああ。だから、さっき道の駅の高台から周囲の地形を観察してきたんだ。ここから山を少し下った谷側には小規模な繁華街があって、逆側の奥地には小さな集落の屋根が見えた。それから……」
「それから、何を見つけたの?」
良子が身を乗り出す。
「その2つのエリアの中間あたりに、地方の、それなりの規模がありそうなデパートの大きな看板が確認できたんだ。おそらくそこなら、食料も生活物資も、道の駅とは比べ物にならない量が眠っているはずだ」
僕がそう言った瞬間だった。
「――デパートですって!?」
それまで冷静だった彩香が、弾かれたように目を見開き、驚くほど強い調子で反応した。
「え、ええ……看板にはそう書いてあったけれど。どうしたんだい、彩香?」
「マサキさん、そのデパートの名前、もしかして『〇〇百貨店』とか、そういう地方の老舗系列じゃなくて?」
彩香は普段の余裕を完全に失った表情で、僕の服の袖をきつく掴んできた。
「いや、ええと、確か『丸越百貨店』とか、そんな名前だった気がするけれど……」
「それなら知ってるわ、この地方一帯の流通を牛耳っていた老舗の百貨店よ。そこには大型の備蓄倉庫や、地下食品街の巨大な冷蔵設備があるはず。もしそこがまだ手付かずなら、私たちが数ヶ月、下手をすれば年単位で生き延びられるだけの最高級の物資が眠っているわね」
彩香の言葉に、良子も医師としての顔付きを引き締め、息を呑んだ。
「それは……確かに、見過ごすわけにはいかないわね。抗生剤や、ドラッグストアには置いていないような特殊な医療用消毒液なども、大型商業施設の管理室や救護室なら備蓄されている可能性があるわ」
「そうと決まれば、一刻も早く突入して確認するべきよ。明日まで待っていたら、何者かに先を越されて根こそぎ持っていかれるかもしれないわ」
いつもは慎重な彩香が珍しく急いていた、何か必要な物が有るのかもしれない。
しかし、奈緒は決死の撤退劇や僕との激しい情事の疲労のせいで、少し足元がおぼつかない様子だった。咲愛もまだ子供だ、連れて行くわけにはいかない。
「よし、分かった。じゃあ、少し疲労が見られる奈緒と、咲愛はこの頑丈な別荘に残って留守番をしていてくれ。僕と彩香、そして良子の3人で、そのデパートの様子を偵察がてら見に行こう」
「はい……。マサキさん、着いていけなくてすいません、気をつけて行ってきてくださいね」
奈緒は申し訳なさそうにしながらもキリッとした表情で答えた。
「奈緒ちゃんに別荘の案内してあげるね」
咲愛も奈緒の手を握りしめ、元気に微笑む。
「無理は禁物よ、マサキさん。あくまで偵察、使える物資が残っているかの確認を最優先にしましょう」
良子がドラッグストアで集めた応急処置キットを肩にかけながら、緊張した面持ちで言った。
「ああ、分かっている。最悪の事態になったらすぐに引く。……よし、行こう」
僕たちは留守番の二人に見送られながら、再びガレージのシャッターを開け、夕闇が本格的に降り立ち始めた不気味な山道を、謎のデパートに向かってフォードで駆け下りていった。




