彩香と
コンコン、とベランダのガラス戸を軽くノックしてみる。
「井上さん、どうなされたの?」
黒木さんもシャワーを浴びたばかりなのだろう。薄手のネグリジェの上に、ワインレッドのガウンをゆるく羽織っていた。
ほのかに上気した肌と、そこから漂う甘い香りが優しく鼻腔をくすぐる。不用意に女性の部屋を訪れてしまったことに、軽い罪悪感さえ覚えた。
「あ、あの……レトルトですが、パスタとソースがありまして。良ければお裾分けをと……」
「まあ、嬉しいわ。もう調理はされたの?」
「いえ、まだです。作ってお持ちしましょうか?」
「うふふ、男性の手料理も食べてみたいけれど……良ければ私が作りますから、私の部屋で一緒に食べませんか?」
「そ、そんな、いいんですか?」
「もちろんよ。私……もっと井上さんとお話をしたいと思っていたの」
薄暗いキャンドルの灯りの中で、美しい黒木さんにそんな風に微笑まれて、断れる男などいるはずがない。
「では、お言葉に甘えさせてもらいます。黒木さんはお酒は飲まれますか? ビールならあります」
「あーん、お酒ね……好きよ。でも私……酔うと少し甘えちゃうみたいなの。迷惑をかけたらごめんなさいね?」
「い、いえ。僕で良ければ、いくらでも甘えてください」
「あは、頼もしいわね」
黒木さんは料理は苦手だと言っていたが、手際よくチーズやニンニク、鷹の爪、ハーブなどでアレンジを加えてくれた。おかげで、ただのレトルトソースが見違えるほど本格的な味わいになった。
「めちゃくちゃ旨いです! お店で出せるレベルですよ」
「本当に井上さんは褒めるのがお上手ね。でも嬉しいわ、そんなに喜んで食べてくれて」
小さなテーブルで肩を並べるようにして座り、食事とお酒を楽しんだ。缶ビールが空くと、彼女は一本のワインをテーブルに置いた。
「ワインはお好きかしら? 1人で封を開ける勇気がなくて……良かったら付き合ってくださらない?」
「ワインですか、いいですね。もちろんいただきます」
黒木さんは、外に明かりが漏れて生存を悟られるのを警戒し、日が暮れてからはカーテンを固く閉め、キャンドルを灯して過ごしていたのだという。
揺らめく薄暗い灯りのもとでワインを傾けるうち、彼女はいつの間にかメガネを外していた。薄化粧の白く美しい顔が、酒精によってほんのりとピンク色に染まっていく。ガウンの隙間から覗く、肌触りの良さそうな薄紫のネグリジェ姿には、抗いがたい色気が漂っていた。
「こんなことになってしまって、私……1人で本当に心細くて……」
消え入るような声で呟きながら、そっと身体を寄せられる。その瞬間に、僕の内に燻っていた欲望はもう抑えきれなくなっていた。
「僕で良ければ、力になります」
「嬉しい……私、以前からあなたのことが気になっていたのよ。だから今日、ベランダにあなたが現れてくれたとき、夢かと思ったの」
「僕も、君のことは気になっていました。だけど、僕なんかじゃ不釣り合いかと……」
答えると彼女は、僕の頬にそっと細い指先を伸ばして触れてきた。
「不釣り合いだなんて……そんなことないわ。あなたはとても魅力的なのに」
「黒木さん……もう、抑えきれません」
「いいのよ……私も、あなたが欲しい」
引き寄せるようにして、互いの唇を重ね合わせた。一度離して彼女の顔を見ると、熱を帯びた瞳を潤ませ、せわしなく息を乱している。その表情が、僕の欲情をさらに跳ね上げた。
もう一度唇を深く合わせ、舌を絡ませながら、その魅力的な身体へ貪るように手を伸ばす。
豊かな胸、くびれた腰、そして肉感的な太もも。上質なネグリジェの滑らかな生地越しに触れる彼女の肌はどこまでも柔らかく、その熱量に脳が溶けそうになる。
「夢のようです。黒木さんの綺麗な身体に、こうして触れられるなんて」
「はぁ、はぁ……私も、あなたに激しく触れられて……とても……っ」
太ももを撫で上げていた手をさらに奥へと忍ばせ、ショーツの合わせ目に触れる。そこは、すでにぐっしょりと蜜で濡れそぼっていた。
「あんっ、恥ずかしいわ……ただキスをして、触れられただけなのに……」
彩香が抑えきれないほどに昂っている姿と、その秘めやかな鈴の鳴るような声が、僕の理性を完全に消し飛ばした。
「今度は、私にさせてほしいの……それと、彩香って呼び捨てにして」
「ゴクリ……ああ、彩香。お願いするよ」
促されるまま、僕はその場に立ち上がった。彩香は膝をつき、慣れた手つきで僕のベルトを緩め、ズボンと下着を引き下ろした。
剥き出しになった僕の熱を帯びた質量を前に、彼女は小さく息を呑む。そして、貪欲に舌を這わせてきた。
生温かい愛撫が下半身から脳へと快感を突き上げる。先端を包み込むように口内に含まれ、器用に刺激されるたび、一瞬で限界を迎えそうになる。
「あっ、彩香、刺激がすごい……」
「うふ、いいのよ……? 思いきり出して」
「ああ、気持ちよすぎるんだ。本当に、すぐに出てしまいそうだよ」
「いいのよ、私の口の中に……それに、あなたの好きなように、少し乱暴に扱ってくれても……」
「そんな……いいのか?」
「ええ……あなたの好きにして」
その言葉に煽られ、僕は彼女の綺麗な黒髪に手を差し込み、強く掴んだ。そして、僕の熱い塊を咥え込んでいる彼女の頭を、自らの欲求のままに前後へと動かした。
これは凄まじい――。下半身から込み上げる蕩けるような快感が、思考を激しく痺れさせる。なによりも、この美しい大人の女性を従えているという強烈な征服欲が、全身を満たしていった。
ふと目の端に入った姿見の鏡を見ると、艶やかな美女が髪を掴まれ、必死に奉仕している背徳的な構図が写り込んでいた。その視覚的なエロティシズムも合わさり、ついに限界が訪れる。
僕は無我夢中になって、彩香の顔を股間に強く押し当てた。
「すごいよ……ああ、出る、彩香、出る……っ!」
彼女を気遣う余裕もなく、腰を大きく震わせながら、彼女の喉の奥深くへと熱い精液を何度も吐き出した。
最高だ……これほどの快感は、今までの人生で経験したことがない。
我に返り、ゆっくりと手を緩めると、彼女は名残惜しそうに唇を離した。そして、妖艶にニコリと微笑みながら、僕のすべてを喉へと飲み干して見せたのだ。
「うふ、満足していただけたかしら?」
「ああ、最高だった。……今度は、僕が君の身体をたっぷりと愛撫させてもらうよ」
「本当に……? してくれるの?」
「もちろん。僕が、君のすべてを感じたいんだ」
「うれしい……」
彼女をベッドへと押し倒し、ネグリジェをゆっくりと剥ぎ取りながら、その白い全身を唇で舐め回した。甘く艶かしい雌の匂いに頭が極限まで刺激され、完全に思考能力を奪われる。
白く、どこまでも滑らかな肌。細身でありながらも形よく主張する胸。そのピンク色をした小振りの乳頭を舌で転がすように吸い上げると、彼女は身体を弓なりに震わせ、甘い喘ぎ声を漏らした。
「あっ、そこ……あまり激しくされると、身体が痺れて……ああっ」
愛撫を続けながら、お尻の割れ目に沿って完全にショーツを引き抜く。露わになった彼女の最も秘められた場所に手を伸ばそうとしたが、彩香はきゅっと両脚を閉じて拒んだ。
「ダメよ、そこは……汚いから。そんなところまで、してもらうわけには……」
彩香は、そのデリケートな部分を直接舌で愛撫されることに、気恥ずかしさと抵抗があるようだった。
「彩香、脚を開きなさい。早く」
少し強引な口調で命じると、彼女は微かに身体をすくませた。
「そんな……怒らないで……。開くわ。でも、無理はしないでね……?」
観念したように、彼女はゆっくりと白く美しい太ももを左右に広げた。僕はその両膝を掴んでガバッと押し開き、蜜に濡れたピンク色のワレメへと一気に顔を埋め、激しくしゃぶりついた。
「ああ、あんっ! イヤ、そんな……すごい……っ! あっ、あっ、ダメ……刺激が強すぎるわ、あああ!」
彩香は非常に身綺麗にしている女性だった。驚いたことに、そこは無駄な毛が一切なく、美しく整えられていた。
「綺麗だよ、彩香。どこもかしこも、本当に綺麗だ」
「そんな……恥ずかしい言葉、責めないで……っ」
「本当に魅力的だ。こんなにパックリと開いて、愛液が溢れ出ているよ」
「……いじめないで。お願い……もう、堪らないの」
悶え、快感に震える彩香の姿を見て、僕のペニスは再びはち切れんばかりに熱く猛り立っていた。
先端に彼女の溢れ出た愛液をたっぷりと擦り付け、湿ったワレメの入り口に押し当て、ゆっくりと、しかし確実にその狭路を押し広げて最奥へと貫いていく。
「んっ、はああぁ……っ! 大きい……なんて気持ちいいの……」
「彩香……中も、最高に心地いいよ」
繋がったまま、何度も激しく腰を打ち付ける。彩香は美しい顔を歓喜に蕩けさせ、細い身体を激しく反らせながら、何度も絶頂を迎えて身体を震わせた。その淫らで美しい姿に煽られ、僕もまた、二度目の限界へと達しようとしていた。
「あっ、あっ、中が熱い……! すごいわ、井上さん……っ!」
その夜、僕たちは外の絶望を忘れるかのように、お互いの貪欲な肉体を飽きることなく求め、何度も何度も果てるまで身体を重ね続けた。
※少し過激な性描写や表現もありますから、ミッドナイトノベルに移行中です
あちらは、ラブシーンに少しづつ挿絵もいれてます。




