第2話
驚いた衛兵達だったが、すぐさまアドリア国王の元に駆け寄った。
「お、おのれ……、貴様ら!! 許さぬぞ!!」
侵入者の二人を睨みつけるアドリア国王。
しかし、それを完全に無視し、先程凄まじい剣技を披露した侵入者の男が、切り落とされたアドリア国王の右手から、宝剣を奪い、それを、もう一人の侵入者の青年に恭しく、差し出した。
「殿下、宝剣でございます」
無言で頷き、その宝剣を受け取った青年は、その宝剣を高らかに掲げた。そして……。
「この宝剣の正しい使い方を教えてやろう」
その瞬間、宝剣は黄金に輝き、青年の頭上の空間に、無数の短剣が現れた。
「目を閉じていろ」
と、傍らの花嫁に声をかけ、花嫁の目を左手で押さえた。
そして、青年が宝剣を振り下ろすと、その無数の短剣が衛兵達に向かって放たれる。
降り注ぐ短剣に攻撃された衛兵達には為す術もなく、大聖堂はまさに阿鼻叫喚の巷と化していた。
「ひぃぃ……」
切断された右腕を押さえながら、衛兵達の陰に隠れていたアドリア国王は、呆然と立ち尽くす。
「今は生かしておいてやる。
しかし、それでは手緩いか……。
貴様には、この宝剣で、もう一撃を加える」
その瞬間、アドリア国王の足元に宝剣から生み出された多数の短剣が殺到し、彼の左足首を切断した。
「ぎぃやぁぁぁああ……」
悲鳴をあげ、のたうち回るアドリア国王を冷ややかに見つめていた侵入者の青年は、祭壇の陰から様子を伺っていた教皇マクシミリアン67世に声をかけた。
「貴様には、きっちりと報いを受けてもらう」
「なっ!?」
驚愕の表情の教皇。
その時、もう一人の侵入者の男が、いつの間にか教皇の背後にいた。
そして、教皇は、既にその男に左胸を剣で指し抜かれていた。
その男が手にしていたのは、青年が元々手にしていた光輝く剣。
そして、その男がその剣を引き抜いた瞬間、教皇は全身から光を発し、程なく霧散した。その様子を見ていた近衛騎士の一人が呟いた。
「あ、あの剣技は、聖剣卿の……」
すると、それを聞いた隣の近衛騎士が叫んだ。
「聖剣卿だと!!
ならば、大聖女様の隣にいるのは……、帝国皇太子ジークフリート!」
侵入者の青年が、再び宝剣を頭上に掲げると、宝剣から、一際眩い光が発せられた。すぐに光は収まったが、その場から侵入者の青年と花嫁が消え失せていた。
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「無茶をするな。私などは捨て置けばよいのだ」
ベールを脱ぎ棄てた花嫁が青年を睨みながら問い質す。
「そもそも無茶をしたのは、お前の方だ。
どれだけ心配したと思う。
まあ、まずは、これに着替えろ。
そんな恰好では、動きづらいだろうし……、
何より目の毒だ」
青年は、初な少年のように、頬を赤らめながら、目を逸らす。
「な! ななな……、何を言っているのだ!
そういうところだぞ。
私だから良いものの、他のものが聞けば誤解するようなことを……」
「誤解?
正しく理解しているようだが?
この際だから、はっきりと言おう」
青年は、表情を改め、逸らした目を再び花嫁に向けて語りかける。
「アビー、俺はお前を愛している。もう絶対に離さない」




