第81話
「いざ!!」
お互いが応じた、その瞬間、筆頭近衛騎士長ダンツィヒ卿と
帝国皇太子ジークフリートの互いの剣が凄まじい剣技で交錯した。
その場にいた誰も、その太刀筋は視認できず、
気づくと、両者は互いの剣を合わせ、微動だにしない。
やがて……、ジークフリートの剣が、交錯したところを起点に、ゆっくりとズレ落ち、両者の決着がついた。
「さすがだ、ダンツィヒ卿よ。
済まぬが、この戦いの証に、卿の剣をもらえぬか?
代わりに、卿には、この剣を下賜する」
どこからともなく剣を取り出したジークフリート。
とても神々しく、間違いなく聖剣と思われた。
固唾を飲んで見守る近衛騎士達。
「このような剣ですが、よろしければ。
しかし、本当に賜ってもよろしいのですか?
帝室の至宝の、あの聖剣とお見受けしますが……」
「良いのだ。この剣も、本来の持ち主に出会え、とても喜んでいる。
さあ、受け取って、抜いてみよ!」
ジークフリートに跪いて、聖剣を受け取るダンツィヒ卿。
そして、その剣を鞘から抜くと……
「「「おおお!!」」」
光輝く聖剣の美しさに、皆が目を奪われた。
ダンツィヒ卿も驚愕する。
「こ、これは……」
「この剣で切れぬ盾はなく、また、どれだけ屠ろうとも、刃こぼれはおろか、血すらつかぬ。
しかし、これは使い手を選ぶ。
剣が認めぬと、その鞘から剣は抜けぬのだ。
卿は、剣に認められた。
もはや、その剣は、卿のものだ」
「な、なんという……
あ、あれは、伝説の聖剣、エッケザックス!!」
近衛騎士の一人が叫んだ。
その時、立派な甲冑に身を包んだ近衛騎士団長が入ってきた。
「なんの騒ぎだ!
殿下をお守りすることもできず、何を惚けておるのだ!」
「団長!」
「卿が近衛騎士団長か……、
君主を守る立場でありながら、君主を見捨てた不忠義者は!!」
ジークフリートが激高し、他の近衛騎士達は驚愕する。




