第65話
ブリュンヒルデは、ジークフリートから手渡された宝玉の粉末に癒しの権能を込める。
すると、宝玉の粉末が七色に輝きだした。
そして、その宝玉の粉末を、ジークフリートに返した。
「ありがとうございます。では……」
ジークフリートの手のひらから、一斉に宝玉の粉末が放たれ、雲のように、空中に漂った。
「公女殿下、すみません。少し口を開けて頂けますか」
「はい……、これでよろしいでしょうか?」
「ええ、結構です。よし、いけ!」
雲は膨張し、霧のようになりながら、イザベル公女に向かう。
それらは、イザベル公女の口から吸い込まれていく。
突然のことに驚いたイザベル公女は口を閉じてしまう。
「大変申し訳ございません、公女殿下。
ご説明が不十分でした。
すみませんが、もうしばらく、お口を開けていてください」
再度、口を開けるイザベル公女。
全量吸い込まれた後、しばらくすると、イザベル公女の全身が光り出した。
「え、え……」
「公女様、もうお口を閉じても、大丈夫です。
よし、ここに、来い!!」
と、同時に、ジークフリートの手のひらに、宝玉と、豆粒の大きさくらいの銀色のとても小さな金属でできたような球体が現れた。
銀色の球体の方は、よく見ると、液体のように、表面が波打っている。
その銀色の球体を、どこからか取り出した小さなガラス瓶に入れ、蓋をする。
すると、まもなく、銀色の球体の形が崩れ、液体のようになった。
「よし。全身を蝕んでいたものは、すべて体外に排出できた。
無事に完了です。
後は、伯母上、シャル、いつものように、癒しを」
大聖女とその娘から、存分に癒しを受け、イザベル公女は、長年、体調不良であったのが信じられないくらい、健康的で瑞々しい肌の、美しい女性に生まれ変わった。




