第64話
一気に頭上の宝玉から、細かな光の粒子が多数発生し、それらが一斉にイザベル公女に向かう。
やがて、イザベル公女の全身を包み込んだ光の粒子は、イザベル公女に吸収される。
少し苦しみだすイザベル公女。
「すみません、伯母上。
ご助力ください。
分解しても、別の毒性が生じるようです。
体に負担がかかりますが、ここで一気に完全分解したいので」
「わかりました。
シャル、かなり精密に癒しの権能を行使できるようになったのね。
良くできていましたよ。
でも、少しだけ、あなたの手助けをさせてね」
「はい、お母様。
助かります。
修復しているそばから、損傷しているみたいなの」
「ええ、わかったわ」
ブリュンヒルデが、娘と同じ所作で、両手を広げ、イザベル公女に向ける。
その後、直ちに、シャルロッテよりもひと際強い光が放たれた。しかし、常時ではなく、断続的に。
すると、苦しんでいたイザベル公女が落ち着きを取り戻した。
さらに、数十秒後、一気に生気が溢れてきた。
「よし。大丈夫だ。シャル、ありがとう」
「ええ、こちらこそ。
ここまで細かな制御をしたのは初めて。
良い経験をさせて頂いたわ。
それにしても、お母様って、本当にすごい……」
「シャル、次は、かなり練習したから、本来なら、君だけでも大丈夫だとは思うが、先程の影響もあるかもしれないので、万全を期すために、伯母上に主体になって権能を行使して頂く。
伯母上の行使は極めて精密だし、得難い機会だ。頑張ってくれ」
「わかったわ」と、シャルロッテは真剣な表情で答える。
「では、伯母上。
今度は、伯母上が主体となって、遅効性がある、やっかいな毒の方を対処します。
こちらは、以前と同様に、分解しても体に悪影響が残るので、分解した後は、吸収して、体外に排出します」
「ええ、わかったわ。いつでも大丈夫よ」
「ありがとうございます。では、再開します」
すると、ジークフリートの頭上に、さらに別の宝玉が現れた。
これをジークが一気に握りしめて粉々にする。
「では、伯母上。これを。
私の権能だけでも、できなくはないのですが、伯母上の権能と合わせて行使してくだされば、この前のように短時間で排出できますので」
「ええ、この前の要領ね。大丈夫よ、任せて」




