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エバー・ア・ソード・フォー・ローゼズ  作者: deki
本編2

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第62話

 そのようなことがあった翌日、本来ならば、その日の夕方から、大聖堂の歌姫、アイーシャ聖女による公演が大劇場で開催されるはずであったが、明後日に延期となったことから、予定が空いた昼過ぎに、アイーシャがイザベル公女の離宮を訪ねることとなった。


 朝から、出迎えの準備をしていた、イザベル公女の侍女ニルデは、往診の様子を見ながら、大変緊張していた。


 この面会の機会を逃すことができないことは重々承知していた彼女だったが、残念ながら、イザベルは、体調を崩してしまったのである。


「昨夜は、もう少し厳しく、姫様をお諫めしておけば……」


 とニルデは後悔したが、幸いにも、すぐに往診に駆け付けた公女の主治医である公宮侍医長クスマウル卿より、寝所で短時間であればとの条件付きながら、面会許可が得られた。


 しかし、このまま、安静にしておくように、とも申し付けられた。


 さらに、クスマウル卿より、体調の更なる悪化に備え、いつもの薬をすぐにも出せるようにと指示を受けたニルデが、薬を取りに寝所から出て、前室に向かおうとすると、驚いたことに、寝ていたはずのイザベル公女が追いかけて出てきた。


「ニルデ、私を置いていかないで!

 この人達が……」


「姫様、安静になさっておらねば、なりませんよ。

 仕方ないですね、おい、お前達、姫様にベッドへお戻り願え」


 すぐに、他の侍女2名が近寄り、イザベル公女に寝所へ戻るように促した。


 激しく抵抗するイザベル公女の腕を取り、半ば強制的に、引き戻そうとしたところ、イザベル公女は倒れてしまった。


 騒ぎを聞いた近衛騎士や傍の部屋で控えていた侍医や従者達が入室してきた。


「おい、君。ニルデと言ったか。早く、姫様に、いつもの薬を。

 そうだ、その薬だ、早く飲んで頂け」


「いやよ、ねえ、ニルデ……」


「しかし、姫様……」


「ええい、何をしている。

 早くお飲み頂かないか!」


 クスマウル卿がニルデを叱責したところ、後から入出してきた近衛騎士の青年が、それを遮った。


「それをお飲みになる必要はございません。

 むしろ、飲んではいけない!」

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