第37話
「殿下、この者が……」
「そうだ」
「ありがとうございます、殿下。
我の体を治すために、大聖女様までお遣わし頂き、さらには、このような者まで……。
殿下は、すべてをお見通しかと存じますが……」
「大公よ。助力は、一旦、ここまでだ。
後は、自分自身で見極めよ」
「御意」
皇太子ジークフリートが去った後、エッペンシュタイン大公は、目の前で恐縮している男に語りかける。
「さて、卿よ。今、我が考えていることはわかるか?」
目を細めて凝視する男は、すぐに驚いた表情を示した。
「か、閣下、いったい何をお考えなのです?」
「おお! その反応を見ると、卿の権能は、間違いないようだな!!」
「いえいえ、長らく体調を崩されていたと聞いていましたが……」
「だからこそよ。健康になった男が考えることなど、”コレ”しかないわ」
「お、おやめください、閣下」
「ハハハ、卿も好きだと聞いていたのだがなぁ~」
「それは、そうなのですが……」
「ならば、話が早い。
ちなみに、殿下は、この方面は奥手のようでな。
さて、本格的にお前の権能を見極めさせてもらおうかの」
「!?」
「なるほど、我でも全貌を見通せぬとは……。
相当な研鑽を積んだようだな」
「恐縮です。閣下の看破の権能も相当強力で……」
「良い、良いのだ。
愚息達は中途半端な権能で満足しておった。
お前の父親も同様だった。
しかし、我が孫に、我以上の権能を有する者がいたとは……。
これほどうれしいことはない!」
「か、閣下……」
「お前は、自身と家族を守るために、その権能を秘匿してきたのであろう。
特にお前の父以外の愚息達の取り巻きには、宮廷の”暗部”とも手を通じているものがおるのでな。
我が大公家も、時には汚れ仕事が必要なこともあり、一概には否定できず、放置しておったのだが、それが裏目に出て、有望な後継者候補を見逃していたとは……」




