第25話
「ジーク! お母さまと、おじ様とのお話は終わったのね」
大聖女の私室から出てきたジークフリートのもとに、シャルロッテが駆け寄ってきて、話しかけた。
「ああ、終わったよ」
「じゃあ、今度は私の部屋に来て。見てほしい絵もあるの」
シャルロッテに手を引かれ、シャルロッテの私室の前に来ると、隣の部屋から、ヴァイオリンを抱えたアビゲイルが出てきた。
「あ! シャル、ずるいぞ!
ジーク、私も聴いてほしい曲があるのだ」
「それなら、シャルの部屋で一緒に絵を見せてもらって、その後、アビーの曲を聴かせてもらおうかな。
アビーには、俺も聴いてもらいたい曲があるんだ」
「本当か! ジークが聴いてほしいなんて、どんな曲なのだ?」
「聴いてからのお楽しみだ。
これからのアビーの作曲にも、かなりいい刺激になるんじゃないかな」
「え~、アビーだけ、ずるいわ。
でも、久しぶりに、ジークの演奏も聴いてみたいし。
楽しみね。じゃあ、まずは、私の絵を見て」
三人で、シャルロッテの私室に入る。私室は、三区画あり、手前から応接室、次に、生活する居室、その奥に寝室がある。
中央の居室は、シャルロッテのアトリエとなっており、キャンバスには、夕焼けの海岸の風景を描いた絵がかけられていた。
「これが、シャルの見せたかった絵か。
この前に見た肖像画も素晴らしかったが、これもとても良いね。
シャルは海を見たことはなかったはずだけど、想像力だけで、ここまで写実的に描けるとは……、その才能には感嘆するな」
「フフッ、ありがとう、ジーク。褒めてくれて、とても、とても、うれしいわ」
「シャル、ずるい……、でも、本当に素敵な絵なのだ。
それにしても、海か……、いつか見てみたいものだ」
「ええ、本当に。
話に聞く、潮の香とか、色々と想像しながら描いてみたんだけど……」
「じゃあ、見に行くか?」
「「え?!」」
「これから連れて行ってやるよ」
「いつか連れて行ってくれるって話だよな」
「どこが良いかな……、せっかくだから……」




