第23話
「そうですね。
師匠と共に、親子で、我が配下に加わり、すでに教皇国への牽制で大きな成果を挙げています。
ただ、まだしばらくは教皇国、特に大聖堂への対策は継続する必要があります。
そうしますと、伯母上や彼女達の警護に不安が残ります」
「殿下、ブリュンヒルデ達のことは、我が、今度こそ、責任を持って守ります」
と、ブラウンシュヴァイク大公が彼女達の身の安全に万全を期すことを確約した。
「それは疑ってはおらぬ。
しかし、卿が常時、傍にいられるはずもなく、剣聖である師匠も、今しばらくは、我が配下として働いてもらう必要がある。
そうなると、この前のような、人外の者が現れた際に、遅れを取る可能性がある」
「それは確かにそうですが……」
先日の騒ぎを共に経験したブラウンシュヴァイク大公にとって、人外の存在は認知せざるを得ない。
「いや、いたずらに不安を煽るつもりはない。
要は攻撃の初手さえ、無効化できれば、あとは、私がなんとかする。
そこで、伯母上にお願いがございます。
伯母上と、シャルやアビーには、この装飾品を、常時、身に着けておいてほしいのです」
そう言うと、ジークフリートは、指輪とネックレスを、それぞれ二つずつ、どこからともなく取り出して、二人に見せた。
「これには、私が女神様から下賜された権能の、ごくわずかな一部ではありますが、この小さな宝玉の欠片に付与しています。
これならば、あのような人外からの良からぬ干渉も無効化できるはず。
残念ながら、常時、しかも、長期間、権能を付与しておくには制約があり、これ以上は用意できなかったのですが」
「このような貴重なものを、私達に……。
ジーク、その心遣い、本当に、本当に、感謝します。ありがたく身に着けさせていただくわ」
「こちらこそ、ご承諾頂き、ありがとうございます。それでは、伯母上、どれになさいますか?」
「そうね……。では、私は、このネックレスにします。
それから、あの子達には、指輪をあげてくださらないかしら」
「ブリュンヒルデよ、シャルやアビーは、すでに、大聖女の娘が代々継承する聖なる指輪をしておるが、その指輪で、良いのか?」
ブラウンシュヴァイク大公が疑問を口にすると、ブリュンヒルデは、微笑みながら、
「ええ、良いのです。
ネックレスも良いけれど、ジークからは、指輪をもらった方が、きっと喜ぶわ」
と、答えた。それを聞いたジークフリートは困惑する。
「お、伯母上……、これは護身用なのですが……」
「ジーク。そんな無粋なことは、決して言ってはなりませんよ。
護身用であることは秘して、渡してください。それが条件よ」
「いや、しかし……。誤解するといけませんし……」
「誤解? 私は正しく理解しているつもりよ……」
かつて、いや、先の世で、似たようなことを言ったジークフリートは、困惑しつつも、その条件を受け入れた。




