第22話
ブラウンシュヴァイク大公と大聖女ブリュンヒルデが、大聖女の私室で話していたところに、皇太子ジークフリートが入ってきた。
「伯母上、失礼いたします。大公も、すまないな」
「良いのよ、ジーク。そこに座って」
しばらくは、他愛のない会話をしていた3人だったが、佇まいを正したブリュンヒルデがジークフリートに頭を下げた。
「あの子達を救ってくれたこと、改めてお礼させて。本当にありがとう。
ジークが助けてくれていなければ、どうなっていたことか……」
「いえ、礼にはおよびません。
元はと言えば、私を助けるため。
私の方こそ、彼女達を危険な目に合わせてしまった原因ですので」
と、ジークフリートは恐縮して答える。
「あれは、私の短慮も原因です。
万全の体制で送り出すべきだったのよ。
あの時、私の立場では、ジーク、あなたをすぐに助けに行けそうにない状況でした。
フェンビュッテルと話している私の後ろで、あの子達がその話を聞き、その状況を知れば……、
どのような行動を取るのかはわかっていました。
その後、フェンビュッテルから、あの子達が城門を抜けたことを聞いても、私は止めはせずに、むしろ、フェンビュッテルには見逃すようにお願いしたのですから」
それまで、ジークフリートとブリュンヒルデとのやり取りを聞いていたブラウンシュヴァイク大公が、間に入って、取成した。
「いや、それは、そもそも、我が領内での警備体制の不備が原因だ。
まさか、我が領内、しかも、公都のすぐ傍の主要街道で、あのような不届き者がいるなど、信じがたいことだ。
フェンビュッテルも問題ないと判断したから、送り出したのだ。
君にも、我が方の誰にも予見はできなかったよ」
「そうかもしれないけれど……。
せめて、ヘルガのことに気づいてさえいれば……」
「過ぎたることです、伯母上。
ヘルガも、師匠のこともあり、良かれと思って、シャルやアビーを大聖堂に戻すことに手を貸した。
ヘルガも思い悩んだ末のこと。
誰も悪くない。
悪いのは、大聖堂の連中です。
伯母上、本当にもう良いのです。
お気持ちは、とてもわかりましたので……」
ジークフリートは、ブリュンヒルデに語りかけ、様子を伺う。
「ええ、わかりました。
パルジファルのことも、本当にありがとう。
父親が無事に力を取り戻し、ヘルガも安心したことでしょう。
あとは、これからの働きで、汚名返上してもらいます。
少しでも、ジーク、あなたの助けになれば、良いのだけれど」




