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エバー・ア・ソード・フォー・ローゼズ  作者: deki
本編1

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第21話

 緊急事態が生じたものの、直ちに解決してしまったジークフリートの姿に皆、安堵した。


 ブリュンヒルデは、幸いすぐに正気を取り戻した。


 侍女長は、しばらくその場で立っていたが、程なく何事もなかったように、そのまま、皆の給仕を再開した。


「それにしても、頭が蠅でございますか……、古来の伝承にそのような悪魔がございましたな。

 たしか、大公家の禁書庫に詳細が記された書物があったかと」


「確かに。

 フェンビュッテルの言う通りだな。

 伝承の知識がどこまで参考になるかはわからないが……」


「殿下、他にも侵入している可能性が高いかと。

 至急、城内を封鎖いたします」


「ああ、至急対処せよ。

 そして、城内の人間を、すべて私の前に連れてこい!」


 その後、千人を超える城内の人々全員を数百人単位ではあるが、直ちに確認したジークフリートにより、さらに3体の思念体が宝玉に吸収された。


「私は“これ”の調査を最優先せざるを得ない。

 イーセンブルク、卿がアドリアに渡り、ギーとともに、対処せよ。

 すまないが、あ(・)の(・)国(・)への対応も合わせて、頼む」


「承知いたしました。お任せください」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


(……いったい、どうなっている?

    半分近くの力が削がれてしまうとは……。

     あんな権能を持っている者など、

      これまで聞いたことがない……。

     まずい、まずいぞ、

    この国からは早々に立ち去り、

  しばらくは、おとなしくしているほかない……)


「おやっさん。どうしたんですか?」


「ん、なんでもねえよ。

 どうやら潮時みたいだからよ。

 さっさと、この国からずらかろう」


「積み荷はどうするんですか?」


「あんなのを連れていたら、逃げられねぇよ。

 捨てていけ」


「ええ、もったいねぇ。

 上玉もいるんだぜ。

 ちょっと楽しんでからでもいいんじゃねえか?」


「黙れ!

 ノロノロしていたら、まずいんだよ!」


 しぶしぶ従う子分達を引き連れ、しばらく先を急いでいたところ、野盗達の前に、黒装束に身を包んだ者が現れた。


 中性的な容姿は、とても美しいが、唇を血で濡らしており、妖艶な雰囲気に、野盗達は圧倒される。


(……んん? 余と同じような力を持つ者が……)


「ああん、誰だ、てめえ!」


『まさか、ここまで弱体化しているとは……、僥倖《ぎょうこう》だ』


(……くっ、なんなんだ、こいつは……)


 子分達を置いて、逃げ出した男から、黒い霧が噴出した。


 その霧は、黒装束の者に吸い寄せられる。


『我が糧となれ……』


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