第19話
「私が女神様から権能を授けられた際に、傍らにいたのが原因かもしれないが……。
私も意図して権能を与えた訳ではなく、正直、困惑している。
離れているのに、隣にいるかのごとく、突然、心の中に語りかけてくるんだからな」
と、ジークフリートが補足すると、
「離れていても、ジークといつでもお話できるとは。
娘たちは、とてもうらやましがるわね」
と、ブリュンヒルデが答えた。すると、
「それは、我もうらやましいですな。
いつでも殿下とご相談できる。
それにしても、今後の戦略への影響は計り知れないですなぁ。
さて、では、王国連合、特に、アドリア王国の動向に目を配りながら、当面は国内の平定に注力することになりそうです。
殿下、このような基本方針でよろしいでしょうか」
と、ミュッケンベルガー元帥も応じた。
「そうだな。
ただ、その前に、アドリア王国が下手な動きを見せないように、私の方で釘を指しておこう」
「殿下、我も同行をお許しください」
「そうはいかんぞ、バーデン。
ここで、殿下と同行するのは、治癒の権能を持つ我だろう」
と、ブラウンシュヴァイク大公が反論すると、
「今回、卿らが同行するのは許可できない。
卿らには、帝国内での対応に注力してほしい。
今回は、アドリアの王都に潜入させているギーと合流して対応する。
後々、アドリアで、かく乱させるにも、ちょうど良い」
「承知いたしました。
ギーならば、安心です。
ところで、教皇国は、いかがなさいますか。
シャルやアビーの拉致を企てた神官どもを捨て置くことはできません。
アドリアへの対処の前に、我に直接報復の機会をお与えください」
と、双子の姉妹を家族同然に庇護しているブラウンシュヴァイク大公がなおも希望を口にした。
「実は、教皇国への牽制は、すでに私の方で済ませている。
仔細は後ほど、個別に説明するので、待ってほしい。
ただ、本格的な報復の際は、卿の願いを叶え、共に企てに関与した神官達を誅しよう。
しかし、今は帝国内の謀反に係わった者達への処分が先だ」
「殿下に捕縛して頂いた者からの尋問にて、今回の企ては、既に全容を把握できておりますので、早々に処分は可能でございます」
と答えたのは、大公家・家宰のフェンビュッテル伯爵。
「恐ろしい話は、そこまでにしてはどうかしら。
少し休憩しましょう。ジーク、良くって?」
「はい。承知しました。伯母上の仰せのままに」
そのまま、休憩となったのだが、そこで、騒ぎが起きた。




