第17話
「では、まずは、現状について、僭越ながら、私、イーセンブルクから、ご説明させて頂きます。
ここにおられる皆様方には、既にご認識されておられることが多いかと存じますが……」
ここは、ブラウンシュヴァイク大公の居城にある特別会議室。重厚な雰囲気の室内には、帝国南部の主要メンバーが集結していた。
正面にブラウンシュヴァイク大公、正面向かって左側の最前列に帝国皇太子のジークフリートが座している。
その向かい側、正面向かって右側の最前列には、大聖女ブリュンヒルデがゆったりと腰かけていた。
一席空けて、その隣に、大公家・家宰であるフェンビュッテル伯爵、その向かい側には、帝国軍総司令のミュッケンベルガー元帥が座っている。
ミュッケンベルガー元帥は、本来は皇帝に代わって、帝国全軍を率いる立場だが、帝国内が混乱し、諸侯が独自で自領の軍を掌握しているため有名無実化された帝国軍を見限り、自派の軍門が所掌している皇帝直轄軍の主力を率いて、帝国内で最大の軍事力を有するブラウンシュヴァイク大公領軍に客将として参画していた。
本来であれば、このようなことは軍令上ありえないのだが、それが容認されている点からも、帝国の混乱が見て取れる。
また、ジークフリートとミュッケンベルガー元帥の間の席に、一人だけ鎧姿のバーデン辺境伯が座り、その後ろに控えていたイーゼンブルクが状況報告を始めた。
まずは、大公領の隣領領主、カレンベルク伯爵が教皇国に唆されて引き起こした、皇太子ジークフリートとブラウンシュヴァイク大公の弑逆を目的とした企てと、それに呼応した教皇国・大聖堂の高位神官による大聖女一家の拉致の企て。
そして、これら企てが、前代未聞の権能を手にしたジークフリートによってすべて解決されたこと。
次に、ジークフリートによる皇弟ゲオルクの捕縛と自決。
その後、ミュッケンベルガー元帥がブラウンシュヴァイク大公領軍の精鋭を率いて、帝都を急襲、帝都に滞在していた主要な宮中伯のほぼ全員を拘束したこと。
なお、皇弟ゲオルクの捕縛時にあった不可思議な事象についても報告された。




