第9話
「「「!?」」」
「武器を捨てなさい」
「ヘルガ、どうして?」
アビゲイルは手を挙げたまま、女性騎士に尋ねた。
彼女は、父親である大聖女の護衛騎士長と一緒に、大聖女の母と少女達を懸命に守りながら、教皇国から亡命してきた同志であり、少女達は絶対的な信頼を寄せていたため、彼女が裏切るなど、とても信じられなかった。
「いえいえ、ご心配には及びません。
我らの大聖堂にお戻り頂くだけですので」
背後からの声に驚く一同。
振り向くと、高位神官の法衣をまとった男が林の中から忽然と現れた。
同時に多数の武装した神官達も次々と姿を現した。
「親皇国の神官どもめ、認識阻害のマントで隠れていたのか!」
「いやはや、僥倖。
まさか、本当に、御二方を御迎えできるとは」
不敵な笑みを湛え、高位神官らしい男が手を差し出しながら、話を続ける。
「まあ、欲を言えば、大聖女様がいらっしゃらないことですが、御二方を確保できれば、我々の目的は達せられます。
さあ、ここから先は、行先を変えて、我が教皇国に向かって頂きます。
それまでの道中、しばしご容赦を」
少女達の安全を最優先にせねばならない護衛騎士達が手を拱いている間に、武装した神官達が、少女達を取り囲んだ。
「シャル、お前だけでもジークのもとへ向かえ。ここは、私が引き受ける」
「なにを言うの、アビー!」
「ちょうど良いご提案でございますね。
我らの大聖堂にお迎えするのは、御一方のみ。
我々が選ぶのは差し障りがありますので、ご自身にお決め頂ければと考えておりました。
なお、もう御一方は、さる御方に引き取ってもらうことになっています。
その御方に精々可愛がってもらってください」
「御二方ではなく、御一方だけとは、どういうことだ。話が違うではないか!」
女性騎士のヘルガが激高した刹那、背後から武装した神官に切り伏せられる。
「「ヘルガ!」」
「愚かな。低位の身で、分を弁えよ」
絶望的な状況の少女達一行。
その時、二人の少女が持つ指輪がそれぞれ閃光を発した。




