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第58話 筋肉で突入する魔王城

ついに。

竹助たちは、魔王シューベットの城へと辿り着いた。

巨大な廃城。

黒ずんだ石壁。

崩れかけた塔。

禍々しい魔力を放つ巨大建造物。

長い年月を経て朽ちているはずなのに。

その存在感だけは、今なお圧倒的だった。

まるで。

“ここから先は死地だ”と語りかけてくるかのように。

だが。

その城門の前に立つ者たちは。

誰一人として、怯んでいなかった。

リオンが、目の前の光景を見上げながら呟く。

「……信じられない」

「本当に……ここまで辿り着けるなんて……」

ネイソンも、眼鏡を押し上げながら息を吐く。

「理論上、到達成功率は極めて低かったはずですが……」

「まさか、現実になるとは」

バーバラが肩をすくめる。

「途中から、もう意味が分からなかったけどね」

ブロックは、自身の腕を見ながら真顔で呟いた。

「……俺も、鍛えた方がいいのかもしれない」

そんな彼らに対し。

セリアーナは、どこか得意げに胸を張る。

「筋肉です!」

ミリアが即座にツッコむ。

「説明になってませんからね!?」

ポウセンが城全体を見上げながら、頭をかく。

「……とりあえず、辿り着いたのはいいけどよ」

「どこから入る?」

「真正面から行くのか?」

「さすがに敵も待ち構えてるだろ」

常識的な意見。

ミリアの目が輝く。

「なるほど!」

「裏口とか、別の侵入口を探す感じですね!」

ようやく。

ようやくまともな作戦会議が始まる。

……かに思えた。

だが。

ダービルが腕を組み、低く言う。

「一理ある」

「だが」

「回りくどいのは、性に合わぬ」

竹助。

「同感だ」

ミリア。

「嫌な予感しかしません!!」

セリアーナが、にこやかに頷く。

「それなら……決まりですね!」

リオンたち。

「え?」

ポウセン。

「あーもう……」

深いため息。

「……知らねぇぞ」

正門。

巨大。

古びている。

だが、今なお圧倒的な存在感を放つ巨大城門。

侵入者を拒絶する象徴。

その正面へ。

竹助が進み出る。

静かに。

拳を握る。

リオン。

「……え?」

「まさか……」

ネイソン。

「いや、さすがにそれは――」

バンッ!!!!

轟音。

竹助の拳。

ただ、それだけ。

しかし。

巨大な正門が、内側へ向かって吹き飛んだ。

粉砕。

木片。

鉄片。

石材。

全てが、豪快に弾け飛ぶ。

静寂。

城内にいた魔族たちが、完全に硬直する。

「な……」

「正門を……」

「吹き飛ばした……!?」

「ふざけやがって!!」

「皆殺しだァァァ!!」

ミリア。

「あーもう!!」

「いきなりじゃないですか!!」

ダービル。

「俺のもとから離れるなよ」

ポウセン。

「やることが派手すぎるだろ……」

セリアーナ。

「いきますよ!」

竹助。

「……全力でかかってこい」

リオンたち。

「無茶苦茶すぎる!!」

次の瞬間。

無数の魔族が、一斉に襲いかかる。

「うおおおおお!!」

「殺せぇぇぇ!!」

数。

圧力。

殺意。

リオンたちは咄嗟にフォーメーションを組む。

剣。

槍。

魔法。

盾。

これまで何度も魔族と戦ってきた。

だが。

この規模。

この密度。

この戦場は、完全に別格だった。

だが。

竹助たちにとっては。

違った。

セリアーナ。

「――結界展開」

魔法陣が展開される。

敵の退路を封鎖。

さらに。

侵攻ルートそのものを強制的に狭める。

魔族たちの流れが、一本に収束する。

その先。

竹助。

「……ふん」

拳。

ドンッ!!

ただのパンチ。

しかし。

その威力は。

魔族をまとめて爆散させる。

一撃。

また一撃。

敵が、次々と消し飛ぶ。

リオン。

「なっ……!?」

ネイソン。

「殲滅力が異常すぎる……!!」

一方。

ダービルとミリア。

ミリアは背後を守る。

「結界!」

防御。

支援。

補助。

ダービルは正面のみを見る。

「ぬぅん!!」

拳。

魔族が吹き飛ぶ。

さらに。

床に転がる瓦礫を拾う。

投擲。

単純。

だが。

恐ろしく正確。

離れた位置の魔族の頭部が、次々と吹き飛ぶ。

ミリア。

「やっぱり戦い方が豪快すぎます!!」

だが。

彼女の防御は、確実にダービルを支えていた。

さらに。

ポウセン。

高速。

リオンたちへ向かう敵を、片っ端から排除する。

「おらっ!!」

蹴り。

拳。

突進。

速い。

何より。

的確。

気づけば。

リオンたちの周囲の敵だけが、綺麗に排除されていた。

ポウセンが、軽く振り向く。

「……よぉ」

「怪我、ねぇか?」

余裕。

リオンたち。

「…………」

「この人たち……」

「こんなに……強かったのか……!!」

魔王城正門前。

そこは、もはや戦場だった。

だが。

その戦場で。

竹助たち一行は。

圧倒していた。

勇者。

神官。

補助神官。

四天王二名。

異世界勇者パーティ。

常識外れの戦力。

筋肉。

それは。

魔王城すら、正面突破する。

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