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第55話 筋肉が示す魔王城への道

荒廃した町。

崩れた建物。

疲弊した住民たち。

そして。

新たに出会ったもう一人の勇者――リオン。

二つの勇者。

二つの異なる戦い方。

だが、目指す先は同じ。

魔王シューベット討伐。

町の中央。

崩れた石造りの広場。

その一角で、竹助たちとリオン一行は改めて向き合っていた。

リオンは、竹助たちを見渡す。

筋肉の勇者。

神官。

補助神官。

魔王軍四天王二名。

あまりにも異質。

だが。

これまで聞かされた内容。

倒してきた敵。

実績。

それら全てを総合すれば――

「……正直」

リオンが、深く息を吐く。

「とても信じられません」

率直だった。

「ですが」

「あなた方の話が本当なら――」

一拍。

「魔王シューベットも、倒せるかもしれない……!」

その言葉には。

疑いよりも、希望が強く宿っていた。

ポウセンが、すぐに本題へ入る。

「そのシューベットの居場所は分かるのか?」

無駄がない。

戦うには、まず敵の位置。

ネイソンが眼鏡を押し上げながら答える。

「現在確認されている拠点は」

「この町から西へ進んだ山奥」

「廃城です」

静かな声。

だが、確信があった。

ミリアが首をかしげる。

「……現在?」

その言葉に。

バーバラが腕を組んで答える。

「シューベットは、一つの拠点に留まらないのさ」

「いくつもの拠点を持ってる」

ブロックも頷く。

「定期的に拠点を変えてる」

「かなり慎重なやり方だ」

セリアーナが静かに考える。

「……なぜ、そこまで?」

「魔王であれば、そこまで隠れる必要はないのでは?」

リオンが答える。

「おそらくですが」

「敵からの攻撃に備えているのかと」

ネイソンが補足する。

「もっとも」

「魔王シューベットへ直接攻め込む者など、ほぼ存在しませんが」

ダービルが鼻を鳴らす。

「……ふん」

その声音には、明らかな侮蔑。

「かつて」

「シューベットは、魔王オーマ様に敗れたと聞く」

ポウセンも腕を組む。

「なるほどな」

「オーマ様を恐れての備えか」

かつて敗北した記憶。

それが。

シューベットをここまで慎重にしている。

竹助が、静かに口を開く。

「……とにかく」

「今は、その廃城にいるんだな」

リオンが力強く頷く。

「はい!」

「移動していなければ、今もそこにいるはずです!」

セリアーナの瞳が輝く。

「勇者様!!」

竹助。

「これで」

「向かう先は決まったな」

短い。

だが。

それで十分だった。

すると。

リオンが、一歩前に出た。

「私たちも同行します!」

真剣な表情。

「あなた方には及ばないかもしれません」

「ですが」

「魔王シューベットを倒したい気持ちは同じです!」

ネイソンも続ける。

「道案内も必要でしょう」

「地理は我々の方が把握しています」

合理的。

ポウセンが、にっと笑う。

「おう!」

「よろしく頼むぜ!」

こうして。

二つの勇者パーティは、一時共闘することとなった。

その後。

西の廃城へ向け、一行は進軍を開始する。

山道。

険しい道。

緊張感。

決戦が近い。

その道中。

「……おい」

低い声。

ダービルだった。

ミリアが振り向く。

「何ですか?」

ダービルは前を見たまま言う。

「……今から決戦だ」

「怖くないのか?」

突然の問い。

ミリアは少しだけ黙る。

怖い。

当然だった。

相手は魔王。

今までの敵とは、格が違う。

だが。

「……怖くないって言ったら」

「嘘になります」

正直な答え。

だが。

そのまま終わらない。

「でも」

一拍。

「ダービルさんに、勇気をもらえましたから」

ダービルの表情が、わずかに動く。

「……ふん」

照れ隠しのように鼻を鳴らす。

そして。

「俺から離れるな」

「全力で守ってやる」

その言葉には。

絶対的な自信があった。

ミリアが微笑む。

「ありがとうございます」

そして。

「でも」

「私も、ダービルさんを守ります」

沈黙。

ダービルが、ゆっくりと口元を吊り上げる。

「……言うようになったじゃないか」

成長。

補助神官として。

そして、一人の仲間として。

その様子を後ろから見ていたポウセンが、小さく呟く。

「……あいつら」

「仲良かったのか?」

率直な疑問。

すると。

セリアーナが、なぜか誇らしげに胸を張る。

「筋肉です!」

ポウセン。

「……は?」

ミリア。

「違いますからね!?」

全力否定。

だが。

否定しきれない何かも、確かにそこにはあった。

こうして。

二つの勇者。

二つのパーティ。

筋肉。

剣。

魔法。

神官。

四天王。

全てを乗せた大連合が。

魔王シューベットの待つ廃城へ向け、進軍を開始した。

決戦は近い。

筋肉が。

新たな戦場へと導いていく。

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