53 DTメンズ、ワンナイトパーティー 後編
「皆さん、一休みしてジュースとおやつを食べて下さいな」
そう言って、俊のお母さんの律子さんが部屋に入って来た。
丁度あれから二時間ほどぶっ続けでダンジョン攻略を続けていたので、オレと遊馬は喜んでジュースとおやつをもらって休憩した。
まぁ俊だけは、ちょっとお母さんを煙た気にして居たが。
「あの…真琴さんでしたっけ、出来たら後一時間ほどしたらちょっと手伝っていただきたい事があるんですが…手伝ってもらえますかしら?」
律子さんがそう言って、オレの方を見て来たので。
「はい?…私に手伝える事でしたら、もちろん何でも手伝いますけど」
オレは頷きつつ律子さんに言うと。
「な…何だよ、お客の真琴に手伝ってもらいたい事って、そんな事は僕がやるよ」
俊がちょっと慌てた様に言うと。
「あら、ダメよ、これは女同士でしか出来ない手伝いだから…」
律子さんはそう言って、やや含み笑いをしながら部屋を出て行った。
オレ達はしばらく休憩して、他愛無い事を話して居たら、律子さんと約束した一時間が過ぎたので、オレは階下の律子さんの所に行く事にした。
「真琴ぉ…別に母さんの言う事聞かなくてもいいよ」
俊が何だか嫌そうに言うが。
「イヤ…そう言う訳には行かないよ」
オレはそう言って、階下に降りて行った。
オレが階段を降りて来た音を聞いたのか、奥の台所から律子さんが顔を出して、オレを手招きして来る。
オレが台所に行くと、律子さんは夕食の準備をして居た。
「夕食の準備を手伝ってもらえる?」
律子さんがそう聞いて来たので、オレは即答した。
「はい、もちろん」
流し台の上に皮を剥いたジャガイモとニンジンがボウルの中に入っていた。
「俊の好物の肉じゃがを作るから、ジャガイモとニンジンを適当に大きさに切ってくれるかしら」
律子さんに言われた通り、肉じゃが用に適度な大きさに、オレはジャガイモと切って行く。
ジャガイモが終わると次にニンジン、それから蓮根も手際よく切る。
実は…オレはそれなりに料理は出来るのだ…在りし日に鬼教官によって叩き込まれたからな。
「あらぁ~真琴ちゃんて、料理が出来るのね、コレなら俊の好みと好物を教えるだけで良さそうね」
律子さんはオレの料理の手際を見て、そう言った。
「はい…?」
オレは律子さんの言う事にちょっと困惑する。
「最近は家事は夫婦で分担する物だとか、夫と妻で家計を分けるとか言うけれど、私は主婦は家政と家計をしっかり握るべきだと思って居るの…古い考えかも知れないけどね」
律子さんは、オレを真っすぐに見て、そう言って来た。
「あ…はぁ、そうです…かねぇ」
オレはちょっと曖昧に応える。
そしてオレと律子さんとで、しばらく料理作りに専念する。
粗方の夕食の用意が出来たころ、唐突に律子さんがオレに言った。
「真琴ちゃんは、家にお嫁に来てくれるのよね?」
オレは煮物の味見をしょうと、取り皿に汁を入れて飲んで居たところで、そんな事を言われたのでオレは盛大に咽た。
「ゴホッゲホッ…あの…それはどう言う…ゲホッ」
オレは咽ながら辛うじて言うと。
「あら、ごめんなさい、真琴ちゃんは未だ高校生だったわね、今そんな事言われても実感は無いわよね」
律子さんは朗らかに笑って言った。
「はぁ…」
オレはまだ困惑したままで答える。
「でも…冬休みだったかかしら、真琴ちゃんが寝てる俊を起こしに来た時、貴女は裸で俊と抱き合って居たわよね…つまり真琴ちゃんは俊とそう云う関係なのよね」
律子さんに言われて、冬休み中にオレがアニメを見て、幼なじみの男の子を馬乗りになって起こす女の子のキャラの真似をした時の事を思い出した。
(そう言えばあの時、調子に乗ってオレは裸になり俊に抱きつこうとしてたのを律子さんに見られたんだっけ)
「私は喜んでいるのよ、俊はあの通りちょっと引っ込み思案で積極性がうすいから…あんまり友達は多くはなさそうだし…増して女の子と親しくなれるのかしらと心配していたのよ」
律子さんはオレの手を握ってきた。
「それなのにあの子ったら、何時の間にかこんなに素敵なお嬢さんと知り合って、肌を合わせる仲になってるなんて」
律子さんは目をキラキラさせてオレを見て来る。
オレは何と弁明すれば良いのか分からず、曖昧に笑うしか無かった。
「今夜は他のお友達が居るからずっとゲームをするのでしょうけど…だけど次は一人で家に来てね、うちの旦那は個人タクシーをしてるのでどんなに早くても朝四時前には帰って来ないし、私は平日は仕事が終わって家に帰って来たら、九時頃には就寝して絶対朝まで起きて来たりしないから、気兼ね無く俊と一緒に泊まっていってね」
律子さんはズズイっとオレに迫って来て言う。
「あなた達は未だ高校生だから、避妊は確実にね…何なら私達夫婦の避妊具の置き場所を教えておきましょうか?」
オレはもう居ても立ってもいられなくなり、早々に台所から退散した。
∥ ∥ ∥ ∥ ∥ ∥ ∥ ∥ ∥ ∥ ∥ ∥
真琴が階下から帰って来た時、何だか変に困惑して居る様だった。
僕は何か母さんとあったのかと聞くと、真琴は誤魔化す様に曖昧な笑顔を浮かべて首を振った。
そして夕食時になって、僕と遊馬が階下に降りる時には、真琴は何か階下に降りる事を逡巡して居る様だった。
そしてリビングで僕達が夕食を取って居る時も、真琴は母さんとなるべく目を合わさ無い様にして居た。
夕食後、僕達は再びダンジョンに潜ったのだ。
そしてダンジョンの十五階層を僕達が踏破した時、日付が変わった。
「ソロソロゲームは一旦お開きにするか」
遊馬がコントローラーを置いて言った。
「そうだね、このRPGはメインストーリーのクリアだけでも四十時間以上かかるそうだし、サブクエストまでやると確実に百時間はかかるそうだから、どうせ今夜だけで終わらせたり出来ないからね」
僕もコントローラーを置いて、遊馬に同意する様に言う。
「それじゃコレから…DTメンズのミッドナイトトークを始めるか」
真琴がさも面白そうに、僕達を見て言った。
「DTメンズの中にバージンガールが一人、何故か混ざって居るけどな」
遊馬が混ぜっ返す様に言って、僕達は一頻り笑い合った。
パソコンを消し布団を布いて寝る準備をする。
そしてフト見ると、真琴がVネックセーターを脱ぎ出して居た。
「わあっ、ちょっと真琴、着替えるなら隣の空き部屋でやってくれ」
僕が慌てて真琴を隣の部屋に案内する。
真琴と遊馬が、何処で着替えても良いじゃあ無いかと、ブウブウと不満を言って居たが、僕は断固として譲らなかった。
僕と遊馬は、寝間着代りのジャージーに着替えると、真琴が隣から着替えて帰って来たが…薄く透けた生地でピンク色のキャミソールとこれ又薄く透けたピンクのフレアパンツで、下に穿いてるパンツが透けて見えて居ると云う、DT男子を殺す気満々の姿だった。
「どうだいセクシーだろう」
等と言って真琴は、科を作って身体をくねらせた。
僕は何処からかハリセンを持ち出して、真琴の頭をスパーンと叩いた。
それからジャージーの上着を無理やり着せて、布団の中に放り込んだのだ。
「まったく…真琴だってかつてはDT男子だっただろうに、DT男子の前にそんな格好で出て来たら、間違いが起こるかも知れないだろうが!」
僕が真琴に説教するかの様に言うと。
「え~っ、オレは俊や遊馬を信用してんだけどなぁ〜」
真琴は不満そうに言うが。
「それは買い被り過ぎだよ、僕は真琴が信じてる僕を、僕は信じて無いんだよ!」
僕は真琴の耳元で、そう言って諭した。
布団に入る間際の一悶着の後、僕と真琴と遊馬で互いに顔を見合わせて言う。
「「「それで…DTメンズ2アンドバージンガール1で、真夜中に何の話をしょうか」」」
僕達三人の声が唱和した。
∥ ∥ ∥ ∥ ∥ ∥ ∥ ∥ ∥ ∥ ∥ ∥
遊馬が興味深そうにオレに聞いて来る。
「せっかくここに男から女にTSした奴が居るんだから、男と女の違いと云うか女体の神秘に付いて、ワイ達に教えてくれよ」
その言葉に俊は、呆れた顔で遊馬を見てた。
「うん、いいよ」
オレが軽い調子で聞き入れると、今度はオレの方を俊は、驚いた顔で見て来た。
「それじゃ、どっから話そうか………」
オレは意識不明から目覚めて、自分が女の子になっている事に気づいた時の事を、面白可笑しく脚色して語って聞かせた。
それから初めての生理の時とか、初めて女性下着を着けた時とかの事を、これまた脚色して語った。
それらは遊馬には大ウケで、俊もまぁ恥ずかしそうではあるが楽しそうに聞いてくれた。
それからオレは生理前後の性欲の亢進とか情緒不安定の事とか、更に下腹の苦痛とかオッパイが張る事とか、それから降りものの匂いや色等の生々しい女の身体の事等も、オレは色々と話したのだ。
コレはオレが女の子になってから知った、女である事の諸々の事で…男はちょっと女の事を知らな過ぎと実感したので、せめて俊や遊馬には知ってもらいたかった事だ。
その他、ブラジャーを選び間違って、下乳や脇の下が擦れて赤くなった事とか。
その日の体調によってオッパイのサイズが微妙に変わる事だとか、パンツが割れ目に引っ掛かって擦れると、何とも言えない事になるとか…もう今までオレが体験した女の全てを暴露する勢いで話したんだ。
そうしてオレ達は、話疲れて何時の間にか眠って居た。
∥ ∥ ∥ ∥ ∥ ∥ ∥ ∥ ∥ ∥ ∥ ∥
朝…イヤもうかなり日が高くなって居た。
窓から差し込む光で僕は目が覚めたのだ。
ムクリと上体を起こすと、遊馬と真琴は未だ眠って居た。
遊馬は掛け布団を抱き締めながら、モノの見事な朝立のテントをパンツに作って居た。
そして真琴は、掛け布団を蹴り飛ばしていて、全身が露わになって居た。
真琴の寝顔は、眠れる森の美女も斯くやと見惚れるくらいに可愛いく綺麗なのだが、寝相はわんぱく小僧そのもので…腕を大手に広げ、足は片膝を立てつつ大股を開いた居た。
キャミソールの片方のストラップが、腕の所まで外れ落ちていて、そのため胸の部分がズレて今にも乳房の乳首が見えそうだった。
その上キャミソール自体が捲れ上がり、お臍が丸見えだった。
下のフレアパンツも裾が捲れ上がり、ほぼ下に穿いてるパンツが見えてる状態だった。
僕は真琴のその寝相に呆れると同時に目のやり場に困って、掛け布団を掛け直したのだ。
兎に角僕は顔を洗おうと、階下に降りるため真琴の横を抜けようとした時、何かが足に引っ掛かった。
それは真琴の荷物が入ったバッグで、僕はそれを引っ掛かった足から取ったら…何かがバッグからこぼれ落ちた。
何とは無しに僕はそれを拾い上げて見ると、錠剤が入ったパックとメモだった。
メモにはこう書かれたいた。
『真琴ちゃん、この錠剤はアフターピルでSEXの後24時間以内に服用すれば95%避妊出来ます。男の子とお泊まり会何て、絶対に何かあるかも知れないので、念のためこの錠剤を入れときますね。恵美より』
その文面を読んで僕は、深い溜息を吐く。
(真琴のお姉さんは、ちょっと邪推のしすぎだよな…)
僕はそう思って真琴を見ると、ムニャムニャと平和そうに眠る真琴と、昨夜の真琴の女の生理と肉体に関する話で、ずっと半起ちのままの保って居る自分の股間を見比べて、僕は何とも言えない焦燥感と罪悪感の様なものを、感じたのだった。
久し振りの二話の投稿です。もっともこの話は元々一話だった話を二つに別けただけなんですがね。




