50 こんな女の子がコンドーム何て買うんだと、思われた
『0·001ミリ超極薄』
そう記されたコンドームの箱が目に入った。
オレは夜のコンビニに、部屋着のフリーサイズのワンピ姿で、ちょっとしたスナック菓子を買いに来て居たのだが。
それでオレが、何と無く陳列棚を見ていた時に、偶然そのコンドームの箱が目に入ったのだ。
『処女膜何てドーンとぶっこ抜けば良いのよ』
何時ぞやの明里の言葉が、コンドームを見ていたオレの脳裏に蘇る。
オレは少し頭を振って、その言葉を頭から振り払おうとするが、更にある事が思い出された。
去年の冬少し前ごろに、前の学校の友達だった里香がオレに会いに来て…その時に明里に千秋に美波達と一緒に、お泊まり会をやった時の事を思い出したのだ。
『私は低容量ピルを飲んでるけど、念の為にコンドーム持ってるわよ』
お泊まり会で明里はそう言って居たな。
『彼に何時でも求められても良い様に、コンドーム常備してますよ』
里香も彼氏持ちになってから、そうしてるって言って居たし。
『コンドームを、もしもの時のために用意をして置くのは、乙女のエチケットですぅ』
あの千秋までもそんな事を言って居たっけ。
『十三歳の時、初めて女の子の日を迎えて母が、あなたも女になったのだから、もしもの時のためにコンドームは持って置きなさいと言われた』
美波までもが母親に言われて持って居たが…初潮を迎えた娘に避妊具を持たせる母親って言うのも、ちょっとすごいけどな。
そんな事を思いながらオレは、コンドームの箱を何気無く手に取り、そして買い物籠に特に考え無しで放り込んだ。
レジで会計をする時、二十代位のにーちゃんが商品を一つ一つポスにかけてい会計処理をして居たが…菓子類は機械的に処理して居たのに、コンドームの箱を見た瞬間に手が止まり、チラッとオレの方を見て来た。
直ぐにオレからにーちゃんは目を逸らして会計処理を進めたが、口元が僅かに笑って居る様に引き攣って居たのを見逃さ無かった。
その時になって、オレは初めて厄介な物を買ってしまったと思ったのだった。
オレは部屋に帰り、コンビニ袋を放り出してベッドに飛び込んだ。
(笑ってた、あのコンビニのにーちゃんは…こんな女の子がコンドーム何て買うんだと…笑ってたよぉ)
そう思いながらオレは、ベッドの上で羞恥でジタバタと悶えた。
一頻りジタバタと悶えた後、オレは溜息を吐いて起き上がり、コンビニ袋から買って来た物を取り出す。
取り出した菓子類等の中から、コンドームの箱も出てきた。
オレはコンドームの箱をマジマジと見ながら、ちょっと困惑しながら呟いた。
「何でこんなの買って来ちゃったかなぁ?」
(特に使う予定も使う気も無いのに…まぁちょっと興味は有ったけどね…)
そう思いながら箱を開けると、ピンク色の丸いゴムを包んだ四角い包みが六個出てきた。
オレはその中の一つを開けて、赤い色のゴム製品を取り出す。
何だかちょっとヌルリとした物が付いて居る様だ。
指に被せて延ばして見ると、ビロ〜ンと結構長い袋状に延びた。
(今は亡きオレの息子は、コレのお世話になる事が無かったなぁ…)
そんな事を思いながら、オレは苦笑混じりにコンドームをちょっと引き伸ばして見ると、かなり伸びる事が分かった。
矯めつ眇めつコンドームを観察して居ると、この前俊と体育マットの下敷きになった時に、下腹辺りに感じた硬い物の感触を思い出した。
(あの硬くなった物を、このゴムの袋の中に入れて包むんだ…)
オレは此のゴム製のコンドームに、ピッチピチに包まれ張り裂けそうになったモノを、つい想像してしまった。
するとちょっと顔が上気しだして、ブラジャーの中で乳首が起つて来たのがわかった。
しかも下腹の奥の方が、何やらムズムズと催しだしたのだ。
(はぁ~、オレはどうも、興奮して発情し出してるらしいな)
そう思ったらオレは、自分のチョロさに苦笑する。
オレは空いてる手を太腿に這わせ、ゆっくりとワンピのスカートの中に入れる…己の身体の節操の無さを確かめるために。
太腿を這い上がって行った指先が、やがてパンツのクロッチ部分に触れる、すると我知らずにピクンと身体が反応した。
(もう思いの外にオレの身体は敏感になってるなぁ…そう言えばしばらく自慰をやって無かったよな)
そう思いながらパンツのクロッチ部分を触ると、そこが少し湿って来て居るのが感じられたのだ。
(ハハッもう濡れて居るのか、オレの身体は既にここに男のモノを受入れる準備が出来ている見たいだな…オレの心は未だ男とSEXをする事に躊躇してるのに……)
オレは指先に少し力を入れて、パンツの布の向こうにある秘めたる渓谷を探り、その奥にある柔らかな粘膜の洞への入り口を見つける。
(女になったオレの身体のここには…男達が情欲を吐出したいと切望してる洞が在るんだよな…)
オレはその辺りをしばらく指先でなぞって居ると、そこの湿り気がますます増して来た。
女の子になってから、よく男達からかけられる様になった…情欲の願望を含んだ視線の意味が、ここに在るんだと思う。
オレは女の子になってから、女の子が同年代の男子はもちろん、年上の男性からも度度浴びせられるオレの身体に対する情欲を含んだ視線…それに気づいた。
オレと云う人格や意思等を無視して、只の妄想と欲望の捌け口としてしか見ない、男の視線。
それをオレは、我知らずにストレスと感じて居た様だ。
だからあの日、変質者に遭遇した時に…オレが勃起した男性自身を見せ付けてられて、男の性欲の贄としか見られていない事に対する澱の様に溜まったストレスが、一気にオレを恐怖させてトラウマになったのだ。
あの時からもう三年近く経って、ようやくオレはトラウマを克服仕出して居る様だ、こんな風に身体が男を受け入れる用意をする程にな。
尤もそれは、俊や遊馬と言う気心の知れた幼馴染で男子時代からの友達だからだ。
何しろ俊と遊馬のお“ピーッ”は、見せ合いっこして良く知っているからな。
そしてオレは、体育用具室でマットに押し潰されそうに成りながら、感じた俊の男としての身体の感触とアソコの硬さをもう一度思い出す。
オレはそれに対してトラウマはもちろん、嫌悪感さえ感じ無っかた、むしろ親しみと望みを叶えて上げたいと思う慈愛さえ覚えたのだが…。
(あの時の俊も、ここに自身のモノを突き入れたいと云う情動を感じて居たのかな…)
あの時の下腹に押し付けられたモノの硬さと、それを恥ずかしそうにしながらも、同時に切なそうにもして居た、俊の表情を思い出した。
俊のあの切実な要求を、オレは自分の身体全身で彼と彼の切羽詰まったモノを、おのが体内に受け止め抱き締めて、喜ばせられる事が出来るんだと云う事に思い至った。
そう…オレは女で俊は男なのだから…そう思ったらオレは何とも言えない多幸感とそうしたいと云う衝動が生じ出した。
(ハハッ…多幸感分泌液がドバドバと出て来るなぁ)
オレはベッドから立ち上がり、部屋に置いてある姿見の前に行き、部屋着のワンピや下着類を脱いで全裸になる。
鏡に映る自分の、美しいが未だ完成はしてい無くて、ちょっと未熟な部分も未だまだある、瑞々しい十七歳の裸体を見る。
(この身体だったら俊も喜んでくれるだろうな…そう言えばもう去年の文化祭の買い出しの時に、雨に降られ濡れて雨宿りした小屋の中で、もう俊に全裸を見られてるだった)
あの時の事を思い出すと、ますますオレの身体が火照り出す。
(オレが男のままだったら、こんな魅力的な女の子の裸を見たら、間違い無く今夜のオカズにして猿の様にコキ捲くっただろうな)
オレはそう思うと同時に、その魅力的な女体が自分の身体なのだと改めて自覚する、すると何とも言えない自己肯定感とも優越感とも言える様な感情が、其処は彼と無く湧いて来たのだ。
(オレって元々女顔だったので、女の子になったら結構良い感じの容姿になってるし、身体はこの通り…ボンと云う程では無いけど、ポン、キュッ、ボン位の良い身体だし、かなりイケてるんじゃ無いかな…俊に限らず男子なら大抵の奴は魅力的と思ってくれそうだ)
そう思って姿見の前で、色々とセクシーポーズ等をとって居ると、オレ自身が興奮して来て切ない情動が増して来た。
オレは再びベッドに倒れ込むと、丁度目の前に去っき取り出したコンドームが有った。
(コンドーム…避妊具か、そうだなぁ明里が言う通り今は避妊方法何て幾らでもあるんだよな、完全に安心と云う訳では無いけれど…今度また俊が望むなら、オレも覚悟を決めた方が良いかな…)
オレはそう思い、それから発情した身体の要求のままに、自分を慰めたのだった。
蛇足です。
前章でも書きましたが、一応折り返し点だと思って居るので、また主人公が自身の心の有り様と立ち位置を確かめる話になっています。
そのためいささか回想とモノローグが、多目の話になっています。
それから以前も書いたと思いますが、この小説を書こうと思った切っ掛けが、“フィメールの逸話”と言う昔の少女マンガで、そのマンガはTS物で在りながら女の子になった事を受入れ、女の子で有る事を謳歌すると云う物でした。
まぁ少女マンガなので、ボーイズラブ的な設定でもあったせいなのですが、それでもそれまでの性転換物では、TSした主人公は女の子になった事に戸惑い、何とか男に戻ろうとする物ばかりだったので、非常に驚いたものです。
主人公が美女や美少女になった時、その事を受け入れたら優越感や自己肯定感が爆上がりするんじゃ無いのか、と思った事から出てきた話なんですよね。
そう云う事から先章と今回の章で、主人公に自分が女の子になった事を再確認し且つ女として男とどう向き合うかと云う事を敢えて考えさせています。
区切りの内省的な話は、一応それで終わらせて次章からはまたバカな話やエッチな話に戻るつもりです。




