45 ある日の真琴
朝…学校に行こうと玄関から出る時、オレは振り返って見送ってくれてる恵美姉ぇに聞いた。
「今日から三月だけど…何か今日は予定は有る?」
オレの問いに恵美姉ぇは、ちょっと考えて…。
「特に無いわよ、何かあるの?」
恵美姉ぇが問い返して来たので、オレは誤魔化す様に言う。
「な…何でも無いよ、それじゃ行って来ます」
そう言って玄関を出たが、少しオレは淋しく思ったのだった。
「三月になったなぁ」
オレがバス停から学校に向う道を、歩きながらそう言うと。
「あぁ~、三月は弥生とも言うなぁ」
オレの横を、自転車を押して並んで歩いてる、俊が言う。
「桜月とも言うって聞いた事があるなぁ、でもまだ何処も桜何て咲いて無いけどな」
オレの、直ぐ斜め前に居る遊馬が、同じ様に自転車を押しながら言った。
「そうだね…でも今月末までには桜は咲始めるだろうね」
オレは遊馬の言った事に追従する様に言う。
オレと俊と遊馬の三人で、ポテポテと歩いて通学中なのだ。
二人は普段自転車通学なのだが、今日は偶偶オレがバスを降りた処で二人とバッタリ会ったので、二人は自転車を降りて、学校迄の少しの道を並んで歩いている所なのだ。
道縋ら遠くの山々を見ると、上の方には未だ冠雪が残って居るのが見えるが、しかし平地にはほぼ雪は消えて若芽が芽吹き始めて居た。
気温も今は朝なので、未だちょっと寒いけれど…日が高くなれば、もう春が近いと思わせる位に暖かくなるだろう。
「今月の末には、三年生の卒業式があるなあ」
俊が思い出した様に言うと。
「あ~、上代静子さんが卒業するのか、折角知り合ったのに…」
オレが少し名残り惜しそうに言うと。
「ああ、あの日本人形見たいな、三年生の先輩かぁ…この所、真琴達と良くつるんで居たね」
俊が上代静子さんの事を、そう評して言って。
「あの、ザ、大和撫子見たいな、大人しい感じの先輩かぁ」
遊馬もそんな風な感想を言った。
(先輩はアレで中々に面白くって個性的な人何だけどなあ、何たってオナニーグッズのコレクター何だからね)
オレは心の中で、上代静子さんの事をそう評した。
「ところで…三月になるのだけど、何かお前等予定はあるか?」
オレがそう聞くと。
「いや…特には、三月は学年末で授業も空きがちになるから、ちょっと暇になるくらいかなあ」
俊がちょっと額に手をあてて、考えてから言った。
「今月でワイらも二年生が終わって、来月から三年生になるくらいかなぁ?」
遊馬も、少し頭を傾けてから言う。
オレはその返事を聞いて、やや複雑な気持ちになった。
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教室に着くと、オレの机の隣で森谷千秋と明里が、何かを話合って居る様だった。
「なに、何かあったの?」
オレが二人に声をかけると、二人はちょっと驚いた風に振り返ってオレを見た。
「あっ、え~と、その…」
森谷千秋はちょっと口籠って返事をして。
「あ…今なんか、登校中の女生徒が、小学生の集団に取り囲まれて、スカート捲りをされる被害が頻繁に起こって居るんだって」
明里が少し取り繕う表情をした後、そんな事を話した。
「スカート捲りぃ…また今時そんな、ワルガキ共が居るのか?」
オレはやや困惑気味になって言う。
「そ、そうなんですよ、うちの女生徒ばかり先月からもう数十人ほどが、被害に遭ってるそうですよ」
森谷千秋がちょっと食い付き気味に言って来る。
「まあ、小学生の高学年は、丁度女の子に興味を持ち出す頃だからねえ」
明里が、ヤレヤレと言った風に肩を窄める。
オレも、男子小学生だった頃を思い出して、苦笑いを浮かべた。
(そうだよなぁ…小学生の高学年頃に、それまで特に意識しなかった女の子達が、何故かやたら気になりだして…だけどその気になること事態が何だか恥ずかしくて、でも気になって仕方無くて…結果変にチョッカイをかけて、女の子を怒らせてしまったり、時には泣かせてしまったり…今思うと、何とも不器用な…でも女となった今の自分として思うと、何ともはた迷惑なとも思うなぁ)
「ああ~そう言えば、もう三月だけど…明里達は今月何か予定と言うか、思い付く事は有るかい?」
オレは、取って付けた様に明里と千秋に言うと。
「あ…え~と、今月に特に予定は無いわよ」
明里は事も無気に言う。
「わ、わたいも、特に無いですよ」
千秋はちょっとワタワタしながら言った。
それを聞いてまたまたオレは、ちょっと複雑で少し淋しい気分になった。
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オレは体育の授業があるため、体育館横の女子更衣室に向う。
女子更衣室…ふと昔の記憶が蘇って来た。
オレがまだ中一のDT男子だった頃、女子更衣室と云うのは…見果てぬ妄想の桃源郷だったなぁ…と。
どうやら去っき聞いた、男子小学生のスカート捲りの話に、オレは触発されたらしい。
当時のオレは、女子更衣室のドアの向こうに、色とりどりでいろんなデザインの下着を着けた女の子達が、ウフフキャッキャッと戯れてる居る図を妄想して居たのだ。
妄想の中では、胸の大きな娘や小さな娘達が、オッパイの触りっこをしたり、年齢には不釣り合いな大人っぽいランジェリーを着けて居たりして、穿いてるパンティと云うよりはスキャンティーと言う感じの物を、女の子同士で見せ合いっこをしたりして居ると思って居たのだ…何せ元の情報源が遊馬の拾って来たエロ本やエロマンガだったりしたので。
オレは、女子更衣室のドアを開けて、中に入った。
中では、女子達が制服から体操服に着替えて居たのだが…みんな下着姿になどなって居なかったのだ。
たとえ同性と言えども、着替えぎ見られ無い様に着替え用にチューブ状になったバスタオルを持って来て居た。
それを頭から被ってその中で制服のカッターシャツやスカートを脱ぎ、そしてそのままその中で体操服に着替えるのだ。
(ウフフ、キャッキャッ、は?オッパイの触りっこは?DT男子の純情を返してくれーっ‼)
かつてオレが女の子になって初めて、中学校の体育で女子更衣室に行った時に、オレは心の中で絶叫したのだった。
そんな事を思い出しながら、オレもカバンから体操服入れを出して、その中からチューブ状のバスタオルを取り出してそれを頭から被って着替えを始める。
「あっ師匠、今日はご一緒させてもらいます」
その声でオレが振り向くと、千葉美波が隣に来て居て彼女も着替えを始めた。
「そうか、今日は美波のクラスと合同授業か」
オレがそう言うと。
「そうですよ、よろしくお願いします師匠」
千葉美波は屈託の無い笑顔でそう言った。
オレがモゾモゾとチューブ状のバスタオルの中で着替えて居ると、隣で着替える千葉が目に入った。
千葉の身体は、腰辺りまであるチューブ状のバスタオルのため見えないけれど…それでも胸周りが大きく盛り上がった居るのは分かった。
(確か千葉美波は以前にFカップくらいあると言っていたな)
オレはバスタオルの中で、最近辛うじてBカップからCカップにバストアップした胸を触りながら思った。
体育の合同授業はクラス対抗のソフトボールだった…実はオレは球技全般が苦手なのだ。
意外に思われるかも知れないが、武道や格闘技をやって居る人は、球技が苦手だと言う人が多いのだ…知る人ぞ知る”あるある“なのだよな。
だからオレと千葉美波は、ボールは打てないし捕れないので、忽ちベンチの控え選手にされたのだった。
二人ベンチで、他のクラスメイトのソフトボールの試合を見て居ると。
「師匠、前から言って居た太極拳部なんですが…三年生になる来学期から、部として認められて空き教室で活動する事が決まりました」
千葉美波がオレを見てそう言った。
「へえっそうか、そりゃあスゴイなあ、良くやったよな美波、おめでとう!」
オレが美波を褒めると、美波は照れくさそうに身体をクネクネさせた。
「つきましては…師匠に太極拳の講師をお願いしたいのですが…」
「ああ~いいよ、オレでよければ暇を見て、千葉に教えた見たいな、実際に使える太極拳を指導して上げるよ」
オレがそう言うと、千葉美波は感激してオレに抱き着かんばかりに感謝して来た。
オレは、上機嫌で鼻歌まで歌い出した美波に、聞いて見た。
「もう三月になったけど…何か今月に予定と言うか、やろうと思ってる事はある?」
オレのその問いに、最初千葉美波は満面の笑みを浮かべて何か言おうとしたが、途中から言葉を飲み込む様にして外方を向く。
それから少しして千葉美波は、オレの方を見ない様にして言った。
「と…特に何も無いですね」
オレは美波のその態度を訝しんだが、それ以上は問は無かった。
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その後、学校は恙無く終…オレは帰途に付いた。
(もう、そんな歳じゃ無いと分かって居るけどね…でもちょっと淋しいかなぁ)
そんな事を思いながらバスから降りて、マンションに向かって居ると。
「真琴さん、ちょっと良いかしら」
そう呼び止められて振り向くと、上代静子さんが立って居た。
「あっ静子さんですか、何故こんな所に」
オレが困惑気味に言うと。
「ちょっとソコのコンビニに用事が有るの、付き合ってくれる」
そう言って、静子さんはオレのマンションの一階に入って居るコンビニを指差した。
オレはますます困惑したが、有無を言わさずに静子さんにコンビニに連れ込まれた。
それから三十分近く静子さんは、コンビニの陳列棚をああでも無いこうでも無いと見て回り、オレを拘束したのだった。
流石のオレも、ちょっとイライラ仕出したころ、静子さんのケータイが鳴った。
静子さんはケータイで短く遣り取りをした後、徐ろにオレの手を取って、コンビニを出たのだった。
静子さんは終始無言で、オレとペントハウス直通のエレベーターに乗った。
オレは静子さんが、ペントハウス行きのエレベーターに乗った事に困惑して居ると、最上階に付いてエレベーターが開いた。
パパパーーン!
クラッカーが鳴り、紙テープがオレに舞い降りて、出迎えてられた。
「真琴ちゃ〜ん、十七歳の誕生日おめでとう!」
ペントハウスのエレベーターホールに、俊に遊馬に明里に千秋、それから千葉美波がそれぞれ手にクラッカーを持って、オレを迎えてくれた。
パーン
遅れて後からクラッカーの音と紙テープが舞った。
後に居た上代静子さんもクラッカーを鳴らしてくれたのだ。
そう、三月一日は、オレ…小鳥遊真琴の十七歳の誕生日なのだった。
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家の中では恵美姉ぇがバースデーケーキを作って待って居てくれた。
今朝、玄関を出る時…オレは恵美姉ぇに予定を聞いた、すると恵美姉ぇは特に予定は無いと言ったので、誕生日の事を忘れて居るんだと思ってちょっと淋しかったのだったが。
それからオレは、オレの誕生日を知ってるか、言った事の有るヤツに今日の予定を聞いたのだが…みんな予定は無いと言うので、忘れられてるんだと思い、淋しく思って居たのだ。
でもそうじゃ無かった、明里が誕生日サプライズパーティーを計画して、みんなにとぼける様に示し合わせて居たんだ。
もうオレも十七歳になるのだから、誕生日を覚えてもらって無くても平気だと思って居たが…やはり淋しいなあと思って居たんだよな。
兎に角オレの誕生日パーティーは夜遅くまで続いたのだった。
え〜と、蛇足です。
実はこの章の話は、予定して居た話では無くて、予定の話の推考が中々進ま無くて、週一の予定に間に合わ無くなってしまいました。
そのため御蔵入りして居たプロットを、急遽一日でっち上げた話なので、今まで以上に荒が見えてしまっています。
機会と時間があれば清書仕直したいと思っています。




