41 セルフプレジャーを女の子が楽しめる様な会社を作りたいの
ヴゥーーーン
突然、小物入れの中から異音がした。
オレは、カバンに仕舞いかけて居た小物入れを慌てて開くと…中にピンク色のパールローターがあって、起動して居た。
オレは、慌ててローターから出ているコードの先の、電池ボックスのスイッチを切る。
ソレからオレは周りを見廻すと、授業が終わって帰り支度をして居るクラスメイト達には、ローターの音は聞かれてはいない様だった。
オレはそこで、改めてローターの入って居る小物入れを見ると…オレの持っている緑色のチェック柄の小物入れと良く似ているが、違う物だと分かった。
良く中を調べると、オレの持ち物では無いハンカチやリップクリームそしてタンポンを挿入するステックが入っていた。
(生理の時にオレは、未だタンポンは怖くて使えないからなぁ)
どうやら小物入れを、何処かで取り違えたらしい。
もっともこう云う小物入れを取り違える何て、休み時間に行ったお手洗いしか考えられ無いけど。
オレは授業間の休み時間に、明里や森谷千秋と女子手洗いに行くのが習慣になって居た。
それと云うのも女子同士のお手洗い同行は、一種の社交儀礼でコレを行なう事に依って、同じグループ、同じカースト、同じ友達同士だと確認する儀式となって居るのだが。
従ってオレも、明里や森谷とのグループの一員として、手洗い行脚は必須なのだ。
三時間目の休み時間に、明里達と行ったお手洗いの時の事を、オレは思い出そうとした。
洗面所には、オレ以外にも複数人の女子生徒が居て、同じ様に手を洗ったり鏡で身嗜みをチェックしたりして居た事を覚えてる。
他の個室から明里や森谷千秋が出て来て洗面所で合流して、それから次の授業やちょっとしたネタの話をして手洗いを出ようとした。
その時洗面台にポーチを忘れた事を思い出して、慌てて取りに戻ったんだっけ。
取り違えたとしたら、あの時だろうと思った。
オレは取り違えた持ち主の手がかりが無いかと、小物入れを仔細に観察して居ると。
「うん?どうしたのマコちゃん、小物入れ何か見て…」
何時の間にか明里が、オレの側に来て居てそう言う。
「マーちゃん、小物入れがどうかしたのですかぁ」
森谷千秋もオレの傍らに来て行った。
「ああ~、どうやら小物入れを誰かのと取り違えたらしいんだ、それにちょっと中に困った物が入って居てね…」
オレはやや言葉を濁しながら、小物入れを少し開けて明里と森谷千秋に見せた。
「ふ〜ん」
明里は、特に驚きもせずに頷いた。
「わぁ…何だか可愛い物が入ってますねえ、ソレは何なんでしょうか」
森谷千秋はローターが何か分からない様だ。
「それでまあ、こう言った物は持ち主に返した方が良いと思うから、持ち主の手がかりが無いか見てたんだよ」
オレがそう言うと。
「まぁそうね…無くなっても特に困りはしないけど、あまり人目には曝されたくは無いかもね」
明里が肩を竦めつつそう言った。
それでオレ達三人は、小物入れを調べて居ると、端の方に小さく学年と名前が書かれて居るのを見付ける。
二年二組…上代静子
「二年の上代静子さん…ひょっとしたら知っている人かもしれません…確か図書委員をされてるのを、文化祭委員会で見た記憶があります」
森谷千秋がそう言った。
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その女生徒は、図書室の受け付け席に非常に良い姿勢で座って黙々と何かの書き物をして居た。
彼女の佇まいは、凛として居て何とも言え無い静謐な空間を周りに醸し出して居た。
彼女は、長い髪の前髪を真っ直ぐに切り揃えて居て、古のお姫様の様だ。
切れ長の目に通った鼻筋、やや薄めの唇と丸みを帯びた頤筋と言う典型的な日本美人だった。
「ワオッ…マコちゃんとは違うタイプの楚楚とした美少女だよね~」
それが図書室の扉から覗き見た、明里の感想だった。
オレも彼女を覗き見て、ローター何かを持ち歩く様な女子には見え無かったので、ちょっと困惑する。
それでもオレは、意を決して図書室に入り、受け付け席の彼女の前に行き、小物入れを差し出した。
「どうやらお手洗いで、私の小物入れと取り違えたらしいんですが、コレは先輩の小物入れでしょうか?」
オレがそう言うと、彼女…上代静子さんは少し困惑の表情になり、ソレから傍らにあったカバンから小物入れを取り出して見比べて居た。
ソレから静子さんは一つ息を吐いて、オレを見ながら言う。
「どうやらその様ね…中は見た?」
「はい、図らずも…」
オレがそう返すと、静子さんの表情が一瞬揺らめいたが、直ぐ元に戻った。
「そう…ありがとう」
そう言って、オレの持って来た小物入れを、静子さんは受け取った。
「中に入っていたピンクで丸い物は、何だったんですかぁ」
オレの後を追って入って来た森谷千秋が、興味深々で静子さんに聞いて来た。
「あれはパールローターと言って、自慰をする時に自分の小陰唇や陰核に当てて、快感を得るための小道具よ」
静子さんは表情を変える事も無く、淡々と千秋に説明する。
その明ら様な言い様に、オレの方が表情が引き吊らせて、図書室内を見回してオレ達以外誰も居ない事を確認した。
「ごめんなさい、この子そう云う物にあまり知らなくて」
そう言って、遅れて入って来た明里に、慌てて千秋の口が塞がれる。
「別に良いわよ…私がこう云う物を持っているのは変かしら」
静子さんは、明里にも表情を変えずに聞いて来る。
「いいえ、私も家に持って居るし…この前彼氏と別れて以来、そう言った物に良くお世話になって居るものね」
明里がちょっと意味深な笑顔を浮かべて言うと。
「あら、そうなの…どういった物を使って居るの?」
上代静子さんはちょっと眉毛をピクリとさせて、明里に向き合って言う。
「スエーデンのリリーと言う会社の…くの字に曲った形のヤツよ」
明里が空中に絵を描く様にして説明する。
「あら…良い物を使って居るわね」
上代静子さんは、やや感心した様に口角を上げて言った。
「今度はフレンチローターかアメリカのDAMEのジーが欲しいんだけど…お値段が結構するから…」
明里が肩を竦ませ、苦笑気味に言うと。
「そうね、ローターで一万円以上するのは躊躇するわよね」
上代静子さんもクスッと笑って同意する。
「そうなの、でもフレンチローターなんかはただ強くバイブするのでは無くて、何か柔らかく奥から響く様にバイブするって聞いて…ちょっと試して見たいなあと思って居るのよ」
明里は、上代静子さんに向かって身を乗り出して、嬉しそうに言うと。
「そうね、確かにそんな感じだったわね、私それを使った事があるのよ」
上代静子さんは、今度は明らかに笑顔になって明里に応えた。
「えーっそうなんだ、それじやCRAVEのブリット何か、どうなんだろうか?」
「ソレは……」
「そうなんだ、じゃあ……」
「ええ、だから私は……」
上代静子さんは楽しそうに笑って、明里とローターやバイブレーターの事で意気投合し盛り上がってイロイロと話合い出した。
オレは二人の話に入って行けずに、呆れと苦笑混じりにそれを傍観して居た…が。
「ねぇ、去っきから何の話をしてんの?」
盛り上がって話して居る二人に、ちょっと疎外感を感じてた千秋が割って入る。
「えっと…その、バイブレーターの事、何だけど…」
明里がちょっとバツが悪そうに言うと。
「去っきも言った自慰…もっと分かり易く言うなら、オナニーをする時に快感を高めるために使う小道具の事ですよ」
上代静子さんは、物を知らない子供に教える様に、千秋に言った。
「ええ~っ、オ、オナニーって!」
千秋は両手を口に充てて、顔を赤くして言う。
「オナニーは別に恥ずかしい事では無いですよ、二十歳までの女性の八割以上が経験する物ですから…むしろ未だ二割弱程の女性が自慰に羞恥心や罪悪感を持って居て、自らの生理的欲求に向き合わ無い事の方が問題ですね」
上代静子さんは何処か歯痒そうに、千秋を見つめて言った。
「ああ、そうだね…私も友達同士で話す時何かにオナニーの話題って避けるものね」
明里が少し小首を傾けて言う。
「セフレとの情事の事については、微に入り細を穿つ様に話すけどなぁ〜」
オレが誂う様に言うと、明里はオレの背中をポコポコと叩いて来た。
その時、下校時間を示すチャイムが校内に鳴り響いた。
「あら、もうそんな時間なのね、図書室を閉めなければ」
そう言って、上代静子さんは受け付けの席を立ち、辺りの片付けを始める。
「それじゃ私達も、そろそろ帰るわね」
明里がそう言って図書室の扉に向かい、オレと千秋もそれに続く。
帰ろうとする明里の後ろ姿に、やや寂し気な表情になった上代静子さんは、受け付け台から声をかけた。
「あの、もしよかったら…今度の休みの日にでも…私の家に来ませんか皆さん」
「えっいいの、行きたい私は行くわ!」
そう言って明里は上代静子さんに振り返り、それからオレ達の方を見る。
オレと千秋も、ヤレヤレと言った感じで頷いて、同意した。
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次の休みの日、オレと明里に千秋とでケータイのマップソフトを頼りに、上代静子さんに教えてもらった所番地にある家を目指した。
繁華街の裏路地に入って、雑多な雑居ビル等が立ち並ぶ様な所にマップが案内をして来る。
やがてそう言った街並みの一画に、京都の町家の様な非常に年季の入った住宅が建って居るのを見つけるのだが。
その住宅の玄関先に『成人向け玩具、セクシートイ等の企画製造販売、上代商店』と云う様な看板が掲げられて居た。
玄関の呼び鈴を押すと、奥の方から人が出て来る足音がして来る。
「いらっしゃい、待ってたわ」
少しダボッとしたクリーム色のセーターに、茶色で厚手のスカートを着た静子さんが、やや上気させた顔で出て来る。
静子さんに案内されて、町家風の住宅の中に入ると、案の定中も町家風だった。
玄関から土間の通路が真っ直ぐに奥まで続き、片側に事務所とか住人の居間とかと思われる部屋が続き、一番奥に二階に上がる階段があった。
オレ達は靴を脱ぎ、その急な階段を静子さんに案内されるままに上がる。
上がって直ぐの襖を開けると、そこには壮観な景色があった。
壁一面の棚に、有りと汎ゆるローターやバイブレーターそれにディルドー等が、置かれて居たのだ。
オレは開いた口が塞がれず、千秋は異様な物が大量に有る事に驚いて、辺りをキョロキョロ見回して居たが…。
「あっコレは、オランダの高級なローターだ」
「そうねbiird.社のEviiだわ」
「コッチはマド“ピーッ”ナが愛用して居るて言われてるバイブレーターだよね」
明里は燥ぎながら一つ一つの物品を見て周り、静子さんがソレらの説明をして居た。
「コレだけ色んなローターやバイブレーターがあると…凄いとしか言え無いね」
オレがそう感想を漏らすと。
「これらは皆んな、私の家が扱って居る商品で、ここの繁華街の風俗店やラブホに、こう言ったセクシートイとか避妊具等を卸て居るのよ」
「ほぇ~そう何ですかぁ」
千秋が意味が分かって言って居るのか、感嘆の声を上げる。
「ところで…ここに置いて有るヤツって、静子さんは使った事は有るんだよね?」
明里がちょっとニヤつきながら聞くと。
「もちろん、私自身で全部の使用感を試しているわよ」
静子さんはどこか誇らし気に言う。
置かれている物の中には、ディルドー等も有る事から、オレは恐る恐る聞いた。
「ここには…ディルドーなんかもあるけど…つまり」
オレがやや言葉を詰まらせて居ると。
「ああ、私は男性経験はありませんけど、ノンバージンですよ」
静子さんは事も無気に言った。
オレが少し困惑した表情をしたのを見て、静子さんは話を続ける。
「私は物心が付く頃から、こう言ったセクシートイに囲まれて育ったので、小学高学年の頃にはオナニーを覚えて…小学六年生の時に好奇心からディルドーを使って、その時に処女膜を失くしたのよ」
静子さんが少し恥ずかしそうに言った。
「へぇ~そうなんだぁ、」
明里がちょっと感心した様に言い、オレは呆れた様な表情になった。
「自慰をする時に、こう云う機械を使う様に何時からなったのか知ってる?」
突然そんな質問を振られて、オレ達は全員首を横に振った。
「昔…十九世紀頃に女性のヒステリーの治療として、お医者様が骨盤マッサージと言う治療をしてたの…」
「骨盤マッサージって、もしかして?」
オレが訝る様に言うと。
「そう、お医者様が手を震わせて女性器を撫ぜる治療…何だって、でもそれではお医者様の手に負担が掛かるからと、1860年にジョン·テイラーと言う医師が電動でパッドも震わせる機械を作ったのよね…もっともその機械は備え付けの鉱山で使う削岩機見たいな物だったらしいわね」
「ヒステリーの治療って、どう言う事何だあ」
オレは呆れた様に言う。
「削岩機見たいな機械で、アソコを震わせられる何て…」
明里は思わず股間に手をやって、恐ろしそうに言った。
「つまりバイブレーターって、元は治療機械として作られたののよね」
上代静子さんはちょっと苦笑気味に言う。
「そう言えば、今よくあるバイブレーターって“この木なんの木”で有名な家電メーカーが、肩こり用に作った物が欧米に渡って、あちらでオナニーグッズとしてヒットしたせいだと聞いた事があるわね」
明里が思い出しながら言うと。
「そうなのよ、実はこう云うオナニーグッズって、日本発祥の物が結構あるのよね、パールローターも日本で最初に作られたし、今では定番のディルドーに陰核を刺激するバイブレーターの枝を付けたい、いわゆる熊の子タイプも日本発祥なのよね」
上代静子さんは、我が意を得たりとばかりに捲し立てる様に言った。
オレはその姿を見て思った。
(ああ~この人もオタクなんだぁ…)
「日本ってこう云う分野での先進国なのよ、でもそこの女性達はいまだに自慰を公に話す事を躊躇ったりするんだものね、それで…私は、将来は工学系の大学で学んで、卒業後にローターやバイブレーターを最新技術で作って、今以上にカジュアルに自慰を女の子が楽しめる様な会社を作ろうと思って居るの」
静子さんは、セクシートイの並んだ棚の前で、クルリと一回りして言った。
「ええ~スゴイ、私その会社に就職したい!」
明里が目を輝かせてそう言った。
それから静子さんの私室に行くと、部屋の中は必要最小限の物しか置いて無くて、この前見た明里の部屋の様でどこか同じ様な属性傾向を感じた。
(こりゃ明里と上代静子さんは、結構馬が合うかも知れないしなあ…)
オレはそんな事を思った。
静子さんはオレ達をお茶やジュースにお菓子等で饗してくれたが、話す内容は主に明里とローターやバイブレーターの事で盛り上がって居た。
オレと千秋は完全に置いてけぼりだった。
夕方オレ達が帰る時、静子さんはオレ達にお土産と言って小箱を渡してくれたのだが…。
小箱の中身は何と無く想像出来たが、有り難くもらって帰った。
帰ってから小箱を開けると、案の定パールローターが入って居た。
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「師匠!お久しぶりです!」
最近太極拳部と言う部活を、立ち上げようと忙しくして居た千葉美波が、久しぶりにお昼休みの教室でお弁当を食べながら駄弁る集まり…つまりオレ達のお弁当時間グループの所にやって来た。
そして千葉美波は、見知らぬ女生徒がオレ達のグループの輪の中に増えてる事に、気付いて訝しがる。
「あの…そちらの方は…?」
千葉美波が恐る恐ると尋ねると。
「私は二年の上代静子と言います、よろしくね」
上代静子さんは何時の間にか、オレ達のお弁当時間グループに加わる様になって居たのだ。




