第1章 第24話 夢の中で
ホテルの描写、もっとやりたかったと作者は嘆いているの。
ビジネスホテルだけれども、とってもいいホテルだからぜひ試してもらいたいと、言っているの。
ホテルにつき、チェックインを済ませて部屋に入る。
このホテルは大浴場が最上階にあり、マッサージ器なども充実しているようだ。
残念ながら、結希は大浴場を拒否し、部屋にあるユニットバスを使うとのことである。
夕食を済ませると、疲れが一気に襲ってきた。
巨大バグとの戦闘、ヒーロー試験での無理な戦い、更にコスプレ衣装でのモーションキャプチャー。
体も心も、悲鳴を上げている。
コンビニ弁当を食べ、大浴場で汗を流し、部屋に戻るとすぐに眠気がやってきた。
そのままベッドで横になると、すぐに意識は遠のいていった。
ふと気が付くと、俺は赤く彩られた部屋の中にいた。
周りを見渡すと、20~30人くらいの人影がある。
しかし、顔立ちは全く分からない。
そして、中央には一人の男が立っていた。
その脇に、金髪赤目の少女が立っている。
男はかなりの長身で、少女はめあによく似た顔立ちをしていた。
「おかしい。この流れだと、普通なら青い部屋で鼻の長い者がいるはずなのだが」
聞きなれた声がする。
間違いなく「あいつ」だ。
そしてその声は、俺の中からではなく、人影の中から聞こえてきた。
「なるほど、これが「フォーリナー」というやつか。残念ながら、ここは違う世界だぞ」
中央の男がそれに答える。
フォーリナー……旅人、という意味だろうか?
違う世界ということは、おそらく「あいつ」のいる世界を知っているということなのだろう。
「さて、これからお前たちには、デスゲームを行ってもらう」
ざわめきが聞こえる。
ある意味「お約束」の展開であるが、巻き込まれるこちらはたまったものではない。
「おっと、説明不足だったな。殺し合いをするのではない」
それは、デスゲームとは言わないのでは?
その疑問は、次の言葉で解消された。
「お前たちが殺さなければならない相手は、この俺だ。参加者たちは協力しても、敵対してもどちらでも構わない」
主催者を殺すために開かれる、デスゲーム。
それは、かなり斬新である。
「猶予は、大体2年。その猶予期間内に俺を殺すことが出来なければ、世界は崩壊する」
いきなり、特大の爆弾が投げ込まれる。
証拠はあるのか? という誰かの声に対し、主催者が横に移動した。
そこにあったのは、バグの卵であった。
しかし卵の段階でありながら、見ただけで信じられないほどの恐怖を覚える。
これは一体、何なのだろうか?
「これは『ファルファラ』と名付けられた、バグたちの最終兵器だ。恐らく2年後に、孵化することとなる」
この卵が孵ったら、どれだけ強力なバグが生まれることになるだろうか。
確かにこれは、生まれる前に倒さなければならないと、魂が叫んでいる。
「俺はこのバグを守る立場をとる。故に、俺を殺さない限りはこのバグを倒すことはできない」
ようやく、状況が理解できた。
2年以内にこのバグを倒さなければ、世界は終わりを迎える。
それを防ぐためには、立ちふさがるこの主催者を倒さなければならない。
それが、このゲームのルールだ。
「なぜ、そのバグを守る? 世界が崩壊する相手を保護することの、意味が分からないのだが」
俺の問いかけに、主催者は大声で笑いだした。
「どうやら、お前は幸せな人生を送ってきたようだな。世の中には、むしろ世界なんて滅んだほうが良い。そう考える者も、数多くいるのだぞ」
確かに、そういう考え方の人もいるだろう。
それらの願いをかなえるために、この主催者はこのようなゲームを行うのだろうか?
なんとなく、「違う」という感じを受けた。
「ゲームに参加するにあたり、俺からのプレゼントだ。使いこなせるようになれ」
俺のところに、カードが飛んでくる。
描かれていたのは、魔術師であった。
恐らく、これは「タロットカード」だ。
他の参加者には、別のカードが渡されているのだろう。
「力を発揮したいときは、『アルカナバースト』と唱えればいい。そのカードを使いこなせないようでは、俺に勝つことなど不可能なことだ」
主催者のオーラが、急激に高まる。
確かにその力は、他の参加者すべてを凌駕する圧倒的なものであった。
参加者の中には俺たちよりも、よほど強い者がいることは感じ取れたのだが、それらの人物であったとしても、主催者を相手にするには力不足であろう。
その後、参加者から質問が相次いだ。
まとめると、こんな形になる。
参加者間での協力は良いのか:良い。むしろ積極的に行い、力を高めろ。
参加者間で争うこともできるのか:できる。どうしても相いれないのなら、倒すのもありだろう。
こんなゲームに参加したくない:諦めろ。あるいは、勝てそうな相手と協力し、絆を深めることでアルカナの力を増やせ。
積極的に参加せず、傍観者になっても良いのか:良い。ただし、アルカナの力を増やそうとする者にとっては、不利になるだろう。
最後に、主催者が名乗りを上げた。
「俺の名は、士郎草薙。このゲームがどちらの勝利で終わるかが、世界の運命を決める」
主催者の姿が、だんだん見えなくなっていく。
2年後の世界の崩壊。
確かにあのバグが生まれてしまったら、そうなるという確信がある。
それを防ぐことが、俺たちのするべきことなのだろう。
残念ながら、ヒーローとして活躍せざるを得ないだろう。
バグを倒し続け、力を得るとともに主催者がどこにいるのかを突き止め、倒すこと。
それが、生き残ろうとする者たちの勝利条件だ。
「赤のアリス、あなたはその道をえらんだの?」
恐らく、めあであろう声を最後に、意識が覚醒した。
「あいつ」の言葉は、アトラスの某シリーズを知っていればすぐに分かるので、説明は省略するの。
作品の中で「日付」が描かれていることから、モチーフにしていることはすぐに分かると思うの。




