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第1章 第25話 20XX 3月8日 全員が?!

ようやく、物語の中で三日目が訪れたの。

かなりスローペースだけれども、イベントがある時はこんな感じになると思うの。

 目が覚める。

 もうすぐ、朝食ビュッフェが開催される時間だ。

 俺は昨日新調した服に着替え、朝食を食べることにした。


「おはよう、久郎……眠い……」


 隣の部屋から、結希が現れる。

 かなり、寝不足のようだ。


「おはよう、結希。朝食ビュッフェでエネルギーを補給して、目を覚ますことだな」

「分かった。服装はこれでいいよね?」


 昨日の服をそのまま着ているが、問題ないだろう。

 俺たちは、朝食の会場に向かうことにした。


「うわあ。種類が豊富!」


 並んでいるメニューは、シズオカ特有のものが多い。

 フジノミヤ焼きそば、シズオカおでん、甘口がんも等。

 生シラス、生桜えびまで揃っており、地元の食材を楽しむのにうってつけだ。

 どれも美味しそうであり、食欲をそそられる。


「にゃにゃ! これが黒はんぺん、本当にはんぺんとは大違いにゃ!」

「あたし、シズオカに来たら焼きそばを食べてみたかったんだ。B級グルメの頂点に位置するものらしいからな」

「甘口がんも……一体どんな味なのでしょう。私、気になります」


 トウキョウから来た三人組も、揃っている。

 舞とめあは、席を確保していたようで、三人が戻ったら取りに行くのだろう。


「黒はんぺん、俺からするとごく当たり前の食べ物なのだがな」

「僕も、はんぺんと言われるとこちらを想像するよ。もちろん、これが特殊だと分かっているけれどもね」


 俺たちは食べるものを選んだ後に、舞たちの確保した席に着き、交代することにした。

 めあは、ビュッフェというスタイルそのものが初めてのようで、非常に興奮している。

 施設に入っているということは、普段あまり贅沢はしていないと思われる。

 そういう生活をしている人から見れば、ここは楽園といっても過言ではないだろう。


「お待たせっと。しっかし、結希。妙に眠そうだな?」


 明が結希に対し、話しかける。


「うん。昨日変な夢を見て、それでうなされてしまって……」

「変な夢? もしかしてそれって、デスゲームのことか?」


 顔を見合わせる二人。


「その話は、後でまとまって行おう。周りの客に不安を抱かせるのは、良くないぞ」


 俺の言葉に、二人ともハッとした表情を見せた。


「まあ、そんなことよりおなかがすいた、にゃ!」

「珍しく、みかんの言葉が正しいですね。食後に話し合いましょう」


 この口ぶりからすると、恐らくほかの二人も同様に、あの夢を見ているようだ。


 朝食は、なかなか美味しいものであった。

 普段食べなれているものであっても、こういうところで食べると更に美味しく感じるのは、気のせいだろうか?


「それじゃあ、解散する前にみんな、ラウンジに来てもらえるかしら?」


 舞の言葉にうなずき、俺たちは食事を終え、ラウンジの一角に向かうことにした。

 なお、みかんとめあの二人は、デザートを全部制覇していたことを付け加えておく。


 ラウンジで、舞が俺たちに問いかける。


「昨日、デスゲームの夢を見た人。手を挙げてちょうだい」


 驚くべきことに、その場にいた全員が手を上げていた。

 俺たち二人、トウキョウから来た三人、そしてめあ。

 舞に加え、あまり話をしていなかった守まで、手を挙げている。


「もし覚えていたら、でいいのだけれども、アルカナも教えてくれる? ちなみに私は、女教皇だったわよ」


 それは、俺たちもぜひ知りたいところだ。

 まず俺が、話し始める。


「俺は魔術師だ。魔法ではなく、恐らくマジックとして扱われているのだろう」

「僕は正義。これから、頑張らないと!」


 結希のアルカナは、実に「らしい」ものであった。


「私は戦車だ。本来私ではなく、兄にふさわしいと思うのだが」


 守のイメージとは、少しずれた役割が与えられたようだ。


「あたしは太陽!」

「私は月」

「みかんは星、トウキョウ三連星にゃ! ジェットスト〇ームアタック、行くにゃ!」


 みかん、それが言いたかっただけだろう?

 とはいえ、なんとなく納得できる部分がある。


「私は、恋愛です……もっとも縁遠いものが来て、疑問を感じています」


 奏は恋愛。

 なぜこのアルカナが割り振られたのか、少し疑問ではある。


「めあは、運命なの!」


 これまた、変わったアルカナを引いたようだ。

 ゆめの中で言葉にしていた「赤のアリス」という言葉も気になる。


「ありがとう、みんな。そして、伝えることがあるわ。結希、久郎、明、漣、みかんの5人が、フジ中央高校ヒーロー科1年として内定しているわね」


 これは、偶然なのだろうか?

 恐らく違う、と俺も「あいつ」も感じている。


 更に、自分の中に違和感がある。

 恐らく「あいつ」が「フォーリナー」ということを認識したためか、妙にざわつくような感覚があるのだ。


「悪いけれども、春休み期間の一日を使って、それぞれ検査に協力してもらえるかしら? あなたたちのギフトやギアス、能力についてきちんと把握しておきたいの」


 それが、正解だろう。

 これから運命を共にする「仲間」なのだから、可能な限り正確な情報を知っておくことは、上に立つものとして当然の義務である。

 また、俺たちにとっても分からなかった部分が明かされるというメリットがあるため、反対する者はいなかった。


「それじゃあ、今度こそ解散ということで。あ、家までは守が送ってくれるって」


 それは、ありがたい。

 万が一マスコミが家に張り付いていたとしても、大人の男性がいるだけで安心感が変わってくる。


「めあちゃんは、私と一緒に来てくれる? あなたについても、調べないといけないから」

「分かったの!」


 あの「Re-write」という能力は、とんでもない力を発揮した。

 恐らくこの中で一番早く、調べる必要があるのは彼女であろう。


 こうして、俺たちの長すぎる一日は終わりを告げた。

 明日からは、語るべきことがあるときに語る形になるだろう。

 もっとももう少しだけ、今日の話が続くだろうが。

閑話をいくつか挟んで、第2章に続くの。

そちらも結構ボリュームがあるので、モニターの前で作者が死にそうな顔をしているの。

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