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平等な痛み分け その④

「どうした? これで終わりか? あっけない最期だね」


 見下す様に健介は俺を上から見る。気に食わない最期だ。相手にいい気にさせたまま死んでは面白くない。最期の力で俺は爆弾に変えた最後の女を健介に向かって抱き着かせ爆破する様に命令をした。


「これって圭と同じく勝手に! 嫌だぁ!!」


 残った最後の女、美輝は突然走り出し健介に抱き着き爆破する。勿論健介にダメージは無く爆破した俺にダメージが発生する。


「お前! 美輝まで! 最期の悪あがきか!? 僕に対する嫌がらせでこんな事を!!」


「ざまぁ見ろ! これで仕掛けは全て済んだ!!」


「今の攻撃でお前は死に一歩進んだだけだ! その身体で何が出来る!? 僕を虐めた奴はこれで春馬一人になった!! 死ぬ前にこの怒りを僕に与える事しかお前は出来なかった!!」


 健介は俺を蹴り飛ばそうとするがそれを途中で止める。


「このままお前を蹴ればお前は死ぬだろうね。でもそれでは僕の気が収まらない! お前はこのまま血を吐き出しながら冷たくなって逝け!! 僕を虐めたヤツを殺した分はお前の仲間に代償を払ってもらう!! それで足りなければお前の居る国、同盟国のヤツ等も使う。僕を怒らせたヤツは皆後悔しするんだ!!」


 死に行く俺に言い聞かせる様に健介は行き場の無い怒りを俺にぶつける。この表情では無い。俺の死を飾るならもっと相応しい表情でないと俺は満足して逝けない。俺は笑いながら話始める。


「フハハハハハ!! 今の爆発と同時にお前を爆弾にした!! これでお前は五分置きに爆発する事になった!! それはお前が死んだあとも変わらない!」


「それがどうした? 僕に爆破のダメージは通用しない!」


「この爆弾は五分事に発動し周囲五メートルに大きな爆風を撒き散らす」


「そんな事をしても僕にはダメージは与えられない。無意味な事だ」


 健介は俺を見下しながら大きく笑う。これはメインの前の前菜だ。俺はその笑みが直ぐに変わるのが理解している為それも味わう。


「…………確かにお前にはダメージは無いだが周りはどうかな?」


「……何?」


 健介の顔から笑みが消える。そうだそれで良い!ここからだ…………。


「俺の爆風に当たったヤツは当然爆弾になり数分後破裂する。その時中心で無傷なお前は爆破の元凶とされるだろうな?」


「それがどうした? 僕の「理不尽な反射」の前には無力だ!! 意味の無い事だ!! 僕にダメージは無い!!」


 健介の笑みは消え代わりに焦りが生まれ始める。


「確かにお前には肉体的なダメージは無い。だが精神的なダメージはどうかな?」


「……何だと?」


「お前は虐められてその仕返しでお前を虐めていた連中に仕返しをしていると言ったな?」


「ああそうさ! でもお前がほとんど殺したせいで! そいつらは居なくなった! だから次はお前の仲間で俺の恨みを晴らして貰う。その次は同盟国の連中だ! いやその前に僕が虐められているのに黙って見ていたクラスの連中が先だ!! 全員僕の虐められていた恨みを晴らして貰う!!」


 笑みの表情は完全に消えたが変わりに怒りの表情になった。違う俺が見たいのはこれでは無い。


「お前は虐められていたと言う事で他者に仕返しがしたいと言っているが真実は違う。──お前は他者を自分で虐める事で自分の快楽を得たいだけだ! お前は同じなんだよ! お前を虐めていた連中と!!」


 それを聞き怒りの表情は更に増す。まだだ。まだこれでは無い。


「僕がアイツらと同じ!? 訂正しろ!! 僕はアイツらとは違う!!」


「それを決めるのはお前では無い周りの連中だ。そしてそれも関係の無い事になる」


「さっきからお前は何が言いたいんだ! 死ぬ前に僕に対する最期の嫌がらせか!? それなら僕に対し何の効果も無い!!」


 健介の怒りは限界の様だ苛立ちを少しも隠そうとはしていない。このタイミングがベストだな。


「…………俺の「墜国」のライネス・クリューケントの名は俺の見た目では無く、その爆破する能力から俺が「墜国」のライネス・クリューケントだと判断されている」


「今度は自己紹介かい? 無駄な事はよせよ! 黙って死んで行け!!」


 俺の視界はもう限界で喋っているのも限界だ。それを耐え俺は余裕を見せ話を続ける。


「俺の「墜国」の名は悪名と共にこの大陸に大きく知れ渡っている。爆音が聞こえたら「墜国」のライネス・クリューケントが来た。皆がそう言い恐怖の悲鳴を上げて逃げ始める」


「……お前まさか。五分事に爆破すると言ったのは!?」


 健介から怒りの表情が消え始め次第に恐怖の表情を見せ始める。そうだこれで良い。この表情だ! 死に行く俺に相応しいのはこの表情だ!! それを確認して俺は大きく笑う。


「そうだ! お前が俺の悪名と共に「墜国」のライネス・クリューケントに生るんだ!! お前は他者を虐げる事で他者との触れ合いを求める。しかし俺は真逆だ! 他者の悲鳴を聞き恐怖の表情を見て俺は幸福感を得る。お前は自分では自分を虐めている連中とは違うと言うがお前の本質はどうかな? 直ぐに解る! それを知る頃には俺は死に俺の爆発は解除不能になるがな! さて残り二分だ! 二分後にお前の「墜国」のライネス・クリューケントとしての人生が始まる!!」


「っ!! 今すぐ爆弾を解除しろ!!」


 健介の表情は恐怖を隠すこと無く俺に急かす様に爆弾の解除を求める。俺はそれを下から見下して大きく笑う。


「爆弾の解除方法は一つ。お前が自身の能力を解除する事だけだ」


 俺はニヤリと笑う。


「能力の解除!? 誰がそんな事をすると──」


「残り二分は長すぎたな俺が後、十数えたらお前の新しい人生を開始しようか? 十……」


 俺のその言葉を聞き健介は焦り始める。


「そんな事が出来るはずが無い! お前が能力を発動すれば俺の「理不尽な完全反射」でお前は苦痛と共に死ぬんだ!!」


「……九」


「自分でその引き金を引ける訳が無い! お前は口では強がっていても自分が死ぬのは怖いハズだ!!」


「……八」


「誰だって死ぬのは怖い! 僕を虐めていた奴らも殺されるのだけは嫌がっていた!!」


「……七」


「お前もそうだ! だからそのカウントダウンを止めて僕の爆弾を解除しろ!!」


「……六。爆弾の解除はお前が能力を解かなければ解くことは無い。五……」


 淡々とカウントダウンを進める俺に健介は恐怖をしそして諦めた。


「…………わかった。能力は解除する」


「そうか……。残念だ…………異世界転移者」


 バンッと大きな音が鳴る。健介が自分の能力を解除すると同時に健介の身体は大きく二つに破裂する。


「痛いぃぃぃ!! どうして!? 能力を解除したら爆弾は解くって言ったじゃないか!」


 健介は身体が二つに分かれた痛みで地面に倒れ悲鳴を上げる。


「俺は解除しただけだ。爆弾を爆破して解除したまでだ」


「そんな屁理屈が通用するか!! 「理不尽な完全反射」僕を守──」


 健介が再び能力を使用すると能力が発動する前に破裂する。


「どうして俺が一回で殺さなかったか理解できなかったか? お前の表情を見る為だ! お前は虐めがいが有ったよ。まあもう死んで聞こえないがな…………。最期に良い物が見れた感謝してやるよ」


 俺は今回の戦いに満足して意識を完全に手放した。

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