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平等な痛み分け その③

「……この状況で僕に攻撃する? どうやってだ? お前は今身動きの一つも出来ない状態だ! その状況でどうするって言うんだ?」


 確かに今俺は指一本動かせない。だが動かす必要など無い俺の「狂気爆弾」による爆弾は既に有るからだ。新しく増やす必要は無い。今有る分で殺してコイツの恐怖に歪む顔を見てやる。


「俺の「狂気爆弾」の発動条件を二つ触れる事か爆弾にした物が触れる事でソレを爆弾にする事が出来る」


 俺は身体の痛みを耐えながら話す。


「今更能力の説明か? それに何の意味が有る? それで僕を殺すって言うのか?」


 健介は笑うが俺はそれを無視して話を続ける。近くに居る女にも聞こえる様にだ。


「一度爆弾に変えた物は俺が爆破するか、能力を解除する事でしか爆弾化からは解かれない」


「だから何が言いたい? 僕の「平等な痛み分け」はお前の爆破を無効化した! 無意味だと解らないのか!?」


 俺はそれを更に無視し話を続行する。


「爆弾に変えた物は俺の好きなタイミングで破裂出来る。そして爆弾に変えた物に俺はある程度の命令をする事が出来る。まあその後直ぐに爆破する訳だが…………。さてそこの圭とか言ったな? お前は確か空気の塊で俺を苦しませてくれたな。その力使って貰おうか?」


 俺の言葉に圭は悲鳴を上げその場から逃げようとする。しかしそれは叶わず能力の発動を開始する。


「嫌ぁ! 身体が勝手に! 死にたくないぃぃぃぃぃ!!!!」


「そうだな、能力の威力は最大で速度はゆっくりで良い。その方が恐怖の表情を長く見れるからな。的を外さない様にしっかり狙いを定めてから死んでいけ!!」


「嫌ぁ! 嫌ぁ! やだぁぁぁ!!あっ──」


 パンッと破裂音を上げて圭の全てが血も残さず吹き飛ぶ。


「良い表情だ。それで良い…………」


 その光景を見て健介が怒り俺を蹴り飛ばす。


「お前! 圭を殺しやがったな! アイツはまだ俺を満足させていないのにぃ!!」


 苦虫を潰した様な表情で健介が俺を上から睨みつける。


「余裕そうにしてて良いのか? 空気の塊はお前に真っ直ぐ向かっているんだぞ?」


「そんなの僕の「平等な痛み分け」で無力化出来る。」


 俺はそれを聞き笑う。コイツ馬鹿か? まだ理解出来ていないのか?


「お前の能力は痛み分けお互いがダメージを受けて初めて発動する能力だろ?」


「そうだが? それがどうかしたのか?」


 それを聞き勝利を確信し更に俺は笑う。


「今回俺は攻撃をしていない。攻撃をしたのは女だ! 空気の塊は俺の能力とは無関係だ! そして女は既にこの世界には血の一滴たりとも存在してない! 果たしてお前はその能力で誰と痛み分けするんだろうな?」


 俺の言葉を聞くと健介は慌て始め表情を変える。そうだ! その顔が見たかった!! 俺は完全に勝利を確信してコイツに刻み込まれる様に大きく笑う。


「ハハハハハ!! さあどうする? もう空気の塊はお前に直撃するぞ? 回避は不可能だ!!」


「ちっ! この異常者が!! この!!」


 苦し紛れで健介は俺を蹴り飛ばす。俺はそれを笑って受けてやった。それと同じく威力を最大に増した空気の塊が健介に直撃した。こちらにもその衝撃が向かって来る。俺はその風圧に耐え切れず目をつぶった。そのまま俺は笑う。


「ハハハハハ!! 言うほども無いこれで俺の勝ちだ!!」


 目を開けた時健介はその場に無傷で存在を維持して居た。


「何てね。驚いた振りをしてやったんだ。迫真の演技だっただろう? お前はその表情が好きだったね? どうだい無事で感想は?」


「…………何故無傷だ? お前の能力は痛み分けだろ? それなら……」


「不思議そうだね? 確かに以前の僕の能力は痛み分けだった。お互いにダメージを受けいないと発動しない能力だった…………。お前は能力の代償を知っているか?」


「…………能力の代償?」 


 聞いた事は無い。俺が考え込んでいると健介は話を続ける。


「能力の代償とは能力の発動時に自身の身体の一部や味覚や聴覚、嗅覚などを犠牲にして発動すると能力を強力な物に変化する物だ。それを行い僕の「平等な痛み分け」は既に「理不尽な完全反射」に変化しているんだよ。「理不尽な完全反射」は「平等な痛み分け」と違い僕の受けるダメージを無くしそのまま倍にして跳ね返す。その能力を使い僕に対するダメージは完全に無くなった。そして行き場の無い倍になったダメージは全てこの屑に与えられる!!」


 地面に落ちている春馬が声にもならない悲鳴を上げて苦しむ。


「次はどうするんだ? もう終わりか?」


 健介は俺に聞く。俺に勝利の手はもう無い。残念な事だがコイツに対し俺に打つ手はもう無い。身体の血が出すぎた事で視界もおぼろげだ。もって後十分程で俺は死ぬだろう。


 俺の生きての勝ちはもう無かった。

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