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平等な痛み分け その②

「…………何をしやがった? …………これがお前の能力か?」


 地面に横になった俺が健介に尋ねる。内臓の一部が破裂したみたいだ。俺は口に溜まった血を吐き出した。するとさも上から目線で健介と言うガキは俺に得意義に話す。


「そうさ! これが僕の能力「平等な痛み分け」の力だ!この能力は僕が受けたダメージも相手もそのまま受けると言う能力だ!」


 それを聞き俺は舌打ちをする。カズマを置いて来たのは失敗だったか…………。身体中に激痛が走る。コイツの能力の説明が確かなら可笑しな点が二つある。一つめは俺の「狂気爆弾」での爆破で確かに俺はヤツに十分に即死以上のダメージを与えた。それなのにヤツには傷一つ無い。二つめは即死以上のダメージを跳ね返されて受けた俺が無事に五体まともで存在を維持している事だ。俺はそこの所をヤツに聞く。


「……それは可笑しいだろ? それが本当ならどうしてお前は無事で居る? 確かに俺の「狂気爆弾」はお前に死のダメージを与えたハズだがな?」


 それを聞き健介はニヤリと笑い足元から何かを蹴る。それは頭一つ分のボールぐらいのサイズだった。その何かは大きく悲鳴を上げる。


「痛い!! 嫌だァー! 俺を殺してくれェー!!」


「それはコイツのおかげだよ。僕の受けるダメージを全てコイツが変わりに受けてくれるからさ!」


 嬉しそうな表情で健介はその丸い物体を思いっきり蹴る。丸い物体はただ痛みを受けて悲鳴を上げるだけだった。その丸い物体に俺は見覚えが有った。それはこの前俺が腕を消し飛ばしたヤツだった。春馬は頭部のみでその場に存在していた。


「おいおい? それ本当に生きているのかよ?」


「生きているよ。僕の友人の協力によりこの屑は僕の能力で僕が受けるダメージを代わりに受ける道具に生ったんだ。この屑が僕に与えた屈辱と痛みに対してはまだ全然物足りないけどね!」


 そう言い地面に転がり悲鳴を上げる春馬を健介は思いっきり蹴り飛ばす。


「痛い!! 止めてくれ! 健介!!」


 その頭部は不気味に声を発する。


「止めてくれ? 止めて下さいだろ! それに僕の事は健介様と呼べって言ったよな!!」


 健介は怒りを隠さず頭部を再び蹴り飛ばした。俺はそれを見て考える。あのガキは殺しがいが有る。アイツは今調子に乗っているそれは俺がダメージを受けて身動きが取れない事も有るが。一番の理由はヤツの能力から来る自信が大きいだろうな。アイツは自分がダメージを受けないと確信している。そんなヤツが自分がダメージを受けて死んでいくのを見るのは俺に取ってさぞ楽しい物になるだろう。


「そんなにソレにダメージを与えて良いのか? 次の攻撃は受けきれなくてお前がダメージを受けるかも知れないんだぞ?」


 俺の声を聞き不思議そうに健介は話始める。


「その心配は無いよ! この屑はもう食事も必要無い。どんなダメージを受けても死なない。決して滅びる事無く僕に愉快な気持ちを与えてくれる素晴らしい道具に変わったからだ!!」


 そう告げると春馬に対する蹴りを続ける。それはただ痛みを与えて自分が優越感に浸るためだけの物だ。それ以外に理由は無いだろう。それを見て女共が目を逸らそうとする。健介は女に対し怒る。


「おい! 圭! 美輝! 今目を逸らしたな! お前達は穴としての価値が有るから生かしてやっているだけだ。僕に歯向かうと次はお前達がこうなるんだ!!」


 それを聞き女共は小さく悲鳴を上げる。それを見ると満足そうに健介は俺に聞く。


「羨ましいだろ? 僕は圧倒的な力を得た! この世界はとても良い所だよ。僕を虐めていた連中はこの世界に来て皆この有様さ。そして僕は圧倒的な力を得てこの世界の頂点に立ったんだ! 誰も僕を傷つける事は出来ない。僕は無敵になった。誰ももう僕を虐める事は出来なくなった!! でも一つ残念な事が有る。それは蒼生と舞に僕の受けた苦しみを与えてやれなかった事だ。舞は性格は最悪だったが顔と身体は良かった。それを味わえなかったのはとても最悪だよ! それも全てお前のせいだアイツらはもっと苦しむべきだった! それをあんな簡単に殺すなんて! お前は僕に取って最悪な事をしてくれた! 楽に死ねると思うなよ!!」


 俺に対して健介の蹴りが思いっきり直撃する。身体のダメージで回避は不可能だった。俺は転がり大量の血を吐き出す。


 さっきの攻撃で臓器の一つか二つは損傷したな。このままだと俺は出血多量で死ぬな。状況は正直不利だ。今俺は指一本動かせずその場で倒れる事しか出来ない。激しい痛みが俺を襲い続ける。だが俺は笑みを絶やさず異世界転移者を馬鹿にする。


「虐めていた連中を力を持って従わせ奴隷にする。さぞ高尚な趣味だな! お前を虐めた奴らで満足したら次は無関係な一般人を自分の奴隷にするのか? そうやって自分の力を他者に示す事でしか存在を証明出来ないとは哀れな男だなお前は! 能力の割にはお前自身はちっぽけな存在だな!!」


 そう言い切ると俺は爆笑する。それを聞き健介は怒りを少しも隠さず俺に対して思いっきり蹴りを加えた。


「お前みたいな殺人鬼と一緒にするな! 僕はこいつ等に酷い目に合わされた! だからその仕返しを今しているんだ! それにお前はもう身動きも取れないんだろ? だから僕に黙って蹴られているんだ! ちっぽけなのはお前の方だ!!」


「お前は今の状況を何も出来ないと思っているんだな? それはさぞ滑稽な事だ! 異世界転移者はやはり馬鹿しか居ないな!!」


 俺は更に笑って見せる。それに対して健介は何やら警戒をしている。まあ無駄な事だが。今の俺の状況は身体は動かせず指の一本を動かす事も出来ない。だが目の前に居る異世界転移者に対する攻撃は可能だ。その準備はもう既に出来ている。

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