燃料要らずの機械飛行兵器 その⑤
「…………ユヅキ! そこを右に行って!」
「わかった」
「次の角は左に行くんだ!」
フィルナルドを抱えた俺は指示に従い道を進んで行く。その間飛んでくる弾丸をフィルナルドは魔法で難なくと防ぎ。そのままドローンを魔法で撃ち落としていく。落としたドローンはこれで六機めだ。俺達が進むごとに俺達を攻撃するドローンの数は減っていく。
「大分減ってきたな」
「もう少しで目的地に着くよ! 準備は良いかい?」
「問題無い。このまま進もう」
フィルナルドを抱えたまま俺は走る。それに対しドローンは俺達の後を警戒するがフィルナルドの魔法により無力化される。
「そこを真っ直ぐ行ったら目的地の研究所だよ!」
「わかった。進もう」
「ちょっと待って! ユヅキ! 行く前にここでドローンを全て落としておくよ!」
俺はその場に立ち止まる。するとフィルナルドが魔法の詠唱を始めた。
「我、魔導の道を極めし者! 我フィルナルド・エセンティス・ユースティラーナの元に地の精霊よ! 我に地の力を分け与えたまえ! ロック・ボール!!」
フィルナルドの周囲に土が集まり固まって球体になっていく。それが十ほど出来上がると残ったドローンに向けて飛んでいく。その球がドローンに直撃するとドローンは壊れ行き場も無く地面に落下していく。
「やるな。フィルナルド」
「でしょー? ユヅキ? さあ、先を急ごうか!」
俺はフィルナルドを抱えたまま真っ直ぐと研究所に向かう。研究所と思われる所に辿り着くと何処かで見たことの有る顔が四人居た。そこに居る三人は俺のクラスメイトだ。名前は知らない。もう一人は金髪の髪をしていた一度会った事が有る。確か名前はラクギリヤ・ユーステスとか言っていたな。
「俺のドローンは全てアイツらに打ち落とされた「燃料要らずの機械飛行兵器」は弾切れだ。後はお前達近接担当に頼むとするよ。ラクギリヤさんもよろしくお願いしますよ」
その言葉を聞く前にラクギリヤは腰に有る五本の刀から一つだけ木刀なのを引き抜き俺に向かってくる。俺はすぐさまフィルナルドを降ろし腰から木刀を引き抜き構える。
「会いたかったぞ!! 少年!!」
ラクギリヤの木刀が凄まじい速度で俺に振りかかる。だが…………遅い。俺はその木刀を難なくと撥ね退ける。
「これを難なく防ぐとは……。あの頃とは見違える程強くなったな! 少年!!」
それを見て蓮は相平に言う。
「ラクギリヤさんは手の早い事で相平行って来い。出番が無くなるぞ!」
「言われなくても解っているぜ! 蓮! ここは俺がバッシと決めてやるぜ!!」
そう言い相平は自身の手に剣を一本創り出し俺達に向かって来た。
「ユヅキ! 一度下がって! こいつ等はボクが叩く! キミが戦う必要は無いよ! さあ、ボクの後ろに下がるんだ!!」
ラクギリヤと木刀を打ち合いながら俺はフィルナルドに言う。
「……そうは行かないようだ。コイツは俺との闘いが望みらしい。フィルナルドはもう一人を頼む」
「むう。……解ったよ。無理なら直ぐに引いてね! そしたらソイツの相手はボクがするから!!」
そう告げるとフィルナルドはこちらに向かって来る相平を迎え撃とうとしている。
「少年! これは私と君の純粋な戦いだ邪魔は要らない! さあ、私に君の力を見せてくれ!!」
「しつこい男だ…………」
俺はラクギリヤの木刀を冷静に捌く。それに対しラクギリヤは余裕そうに次の攻撃を絶やさず繰り出してきた。
「へへ、俺の相手は嬢ちゃんか? だが俺は手加減しないぜ!」
「ボクの見た目を見て嬢ちゃんって言ったな! 人を見た目で判断しないでよね!」
相平の剣がフィルナルドを切り裂こうと振り払われる。それをフィルナルドは避けなかった。
「悪いな! 嬢ちゃん峰内ちだ! ちょっと寝ていな…………って、アレ?」
フィルナルドに剣は当たらず代わりに相平が地面に倒れる。
「…………ボクは言ったよ。人を見た目で判断しないでと。安心しなよ。峰内ちだからさ」
相平の剣がフィルナルドに当たる前にフィルナルドはローブの中から剣を取り出し刀剣の背面で思いっきり叩いた。
「ほう。同盟国の「魔女」は剣を使う事も出来るのか? 「魔女」と言う二つ名から魔法が得意なため近接戦は不得手だと普通は考える。そして接近戦が苦手だと思った相手は油断をして攻撃を繰り出すだろう。しかしその隙を突き攻撃を繰り出せばそれは強烈な反撃の一手となる。更にその見た目からは近接戦闘は無理だと相手に判断される為。その隙は更に大きくなる! とても手強い相手になりそうだな…………」
「へえー。能力者にもまともなのが居るじゃないか? でもボクの見た目について話したのはマイナスポイントだね。さて次はキミが相手かい? さっさと掛かってきなよ? ボクはユヅキの援護をしないといけないからさ」
余裕な表情でフィルナルドは敵を挑発する。それに対し冥界はその場を動かず話を続けた。
「遠距離からの魔法攻撃で飛行兵器を操る異能力者の飛行兵器を全て撃墜した。基本的に魔術と言うのは本人の才能が大きい。魔力を物体に具現化したり。その物体を維持し目標にぶつけるのはとても集中力が要る行為だ。地上に有るならともかく飛行兵器は空中を自在に動き回る。しかも的は小さいそれを簡単に当てて撃墜した事から上級以上の魔術師だろうな。魔法にはホーミング機能が存在する物も有るがこの「魔女」は初級魔術のみを使用した。同じく使用したと思われる狙撃を防いだのは初級魔法バリアーに
よる物だろう。初級魔法バリアーは魔法や物を防ぐ効果しか無い。しかし「魔女」のは弾丸を跳ね返した。その事からも「魔女」の実力は相当な──────」
「話が長いんだよ! キミは!」
フィルナルドが詠唱無しでロック・ランスを冥界に向けて放つ。直撃する前に冥界の周りに黒い壁が現れ岩の槍は砕ける。
「ほう! 無詠唱魔法まで使えるのか!! 本来魔法は魔力と魔法陣と詠唱この三つが揃わないと発動しない。しかし「魔女」は詠唱の破棄は勿論、魔法陣も無しに魔法を唱える事が出来のか!? 詠唱の破棄自体は簡単だ。代用品が有れば魔法の威力は下がるが発動は出来る。しかし魔法陣は別だ! 上級魔術師でも詠唱破棄か魔法陣無しどちらかしか出来ないと言う。代用品を使用してでもだ! しかし「魔女」はどちらも無しで無詠唱魔法を発動して見せた。これは上級魔術師以上の腕前か代用品の相性が余程良く無ければ使用できない。なら此方も手加減の必要は無いと言う物だ!! 「変幻自在な色・黒」よ! 「攻撃形態」に変化しろ!!」
冥界がそう言い放つと同時に黒い壁は黒い槍に変形する。
「さっきキミをまともって言ったの取り消すよ。能力者はやっぱりユヅキ以外は異常者の集まりだよ…………」
フィルナルドは冥界の攻撃に対する防御魔法を唱え始めた。




