燃料要らずの機械飛行兵器 その③
俺達は落下した鳥に向かって走る。鳥は地面にバラバラになって存在した。
「酷い有様だな」
「どうだい? ボクの魔法の威力は?」
俺は鳥に違和感を覚え近づき確認する。身体がバラバラなのに血が出ていない。血の変わりに機械をばら撒き倒れている。
もっと近くで観察する。その鳥は機械で出来ていた。いや違う四つのプロペラが付いている。一度ニュースで見たことが有る。鳥の様に偽装したドローンが存在すると。実物を見たことは無いがこれがそうなのだろう。これはドローンだ。ドローンには銃が装着してある。これを使い俺達を上空から狙撃したのか。
「どうかしたかい? ユヅキ?…………うわ、これ。アイツが作る機械生物にそっくりじゃないか……」
フィルナルドがドン引きした表情でドローンを見る。
「アイツ? この世界にドローンは存在するのか?」
「ドローン? それは知らないね。でもこれと似たようなのを作っている変人を知っているよ…………」
「随分、嫌そうだな」
「この機械を見ているとあの変人を思い出すからね……。アイツは能力者では無いけど。ボクの嫌いなタイプさ。何を考えているのか解らない」
フィルナルドは解りやすい性格だからな。真逆のタイプとは性格が合わないのだろう。アイツと言うのが誰かは知らないがフィルナルドが嫌そうな顔をするなら面倒なヤツだ。出来れば関わらない事を祈ろう。今はそんな事よりもだ。
「フィルナルド。このドローンは上空を自由に飛行する。それにさっき説明した銃が取り付けられている。つまり敵は上空から自由に攻撃する事が可能だろう」
「つまり常に上を警戒する必要が有る訳だね。なら作戦は一つしか無いね」
フィルナルドがニヤリと笑う。しかしその表情に慣れていないからかどこか歪な笑みだった。
「もう対策が取れたのか。どんな作戦だ?」
「聞いて驚かないでよ! ユヅキ! 君は──」
「俺は?」
「──ボクをお姫様だっこするんだ!!」
「……………………」
フィルナルドが訳の分からない事を堂々と言い放つ。俺はそれに対し何も言えなかった。
「…………冗談か?」
俺は一応確認の為フィルナルドに聞く。しかしフィルナルドは堂々と否定する。
「そんな訳無いだろう? さあ、早くボクをお姫様だっこするんだ!」
そう言い俺にお姫様だっこする様に迫る。
「一応理由を聞いていいか?」
俺が尋ねると渋々とフィルナルドは話始める。
「……このドローン? は上空から攻撃するんだろ? なら上を警戒して行動するより、片方が上を見れるお姫様だっこをした方が効率が良い。幸い……いや、最悪な事にボクの身長と体重はキミより遥かに小さいからね。楽々持ち上げれるだろう」
フィルナルドは口では嫌々そうに話す、しかしその顔はニヤついていた。
「…………敵は何処からでも狙撃出来る。対して俺達は敵の居場所が解らない。一度建物内に避難した方が良いんじゃないか?」
俺は別の作戦を提案する。それをフィルナルドは否定する。
「言ったろう?今回の作戦でボク達の役目は囮だ。逃げる訳には行かないよ。それにだよ! 敵の居場所なら解る!!」
「どうやってだ?」
「昔、変人の実験で能力者の能力は何処から出て来るか試したことがある。その実験で能力者は魔力を能力に変換しているのが解ったんだ。ボクが精霊に頼み魔法を使うように能力者は自身の夢や理想の様な本人の内面を実現させる為に魔力を能力に作り替えて能力を使用するんだ。ボクには魔力の流れを見る事が出来る。それでこのドローンから出る魔力の残り香を見て敵まで向かうんだ! でもそれを見るには集中する必要が有るよ。だからボクをお姫様だっこしてよ!! ほら上を見て? 次のドローンが来るよ?」
言っている事には理が有る。仕方ない俺はお姫様だっこする準備をする。上にはドローンが存在しこちらに向かってくるのが解る。
その場で言い争う時間は無い。俺の腕にフィルナルドは入り込む。フィルナルドの体重が俺に圧し掛かる。フィルナルドはとても軽い持つだけなら運動不足の俺でも出来る。だが動くとなると話は別だ。俺は自身の「調節」でフィルナルドの体重をバレない様に軽くした。
「ユヅキは力持ちだね!」
「フィルナルドが軽いからだ」
会話を終え俺達はドローンから出る魔力の残り香を追い敵に対する接近を開始した。




