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燃料要らずの機械飛行兵器 その②

 俺に飛んで来た弾丸を見つめて考える。何処からか俺達は銃により狙撃された。ここにこのまま居ればただの的になる可能性が高い。俺の拾った弾丸をフィルナルドは覗き込み俺に尋ねる。


「…………それは何だい? ユヅキ?」


「これは弾丸だな。俺達は銃により撃たれた。何処からか敵が狙撃しているだろう」


「…………銃? ……弾丸?」


 この異世界には銃は無いのか? 魔法が優秀だからそこまでの開発に至っていないのだろう。


「フィルナルド? この世界に弓は有るか?」


「勿論あるよ。狩りの時とか戦場で使われているね」


「これは弓で例える所の弓矢だ。本体の銃を使ってこの弾丸を凄まじい速度で飛ばす。射程距離や攻撃能力は弓矢より高い。同じく俺達の世界の戦争や狩りで使われている」


「この小さい弾がかい? 想像が付かないな? それよりキミ達の世界でも戦争は有るのかい? 何処までも人は愚かだね……」


「何処の世界にも人が生物が居る以上争いは絶えないものだ。そんな事より俺達は何処か遠くから狙撃されている。一度身を隠した方が良いだろう」


 俺は何処か隠れそうな所を探す。しかし俺達は丁度大通りのど真ん中に居て次の狙撃までに身を隠せそうな場所は無い。


「慌てる必要は無いよ! ここにはボクが居る! ユヅキ? 話からよるとその銃の攻撃方法は弓と同じような物だよね?」


「多少の違いは有れど、その認識で構わない」


「なら、問題無いさ。何時までもやられるボクじゃない。今度はこっちの番だ!」


 そう言いフィルナルドは道の真ん中から動こうとしない。しばらくの静寂の後、再び弾丸がこちらに向かって飛んでくる。


「詠唱破棄! バリアー!!」


 こちらに弾丸が当たる前にフィルナルドは既に魔法による壁を創り出す。


「敵は遠距離から攻撃している。一度引いた方が良い。フィルナルド」


「ユヅキ? ボク達の任務は何だい?」


「…………敵の陽動だ」


「この敵は恐らく魔術研究所から攻撃して来ているだろうね。ここでボク達が引くとライネス達がこの敵と戦うハメになるだろう。ボクはあの狂人が死のうがどうでも良いけど。これは任務だからね。敵を引きずりだす必要が有る」

 

 確かにこのまま逃げればライネス達とこの敵は鉢合わせするだろう。しかし、敵は長距離型の能力だ。有利な今の状況を崩しわざわざこちらに来る理由は無い。


「敵の能力的に今のこの状況で不利な接近戦をしては来ないだろう」


「確かにそうさ。でも考え方が逆だよ。向こうに来てもらうんじゃない。こっちから向かってやるのさ!」


 自信満々にフィルナルドは言う。だが俺達は敵の居る研究所の場所を知らない。敵に接近するのは無理だ。いや、待て今の攻防は……。もしや……。


「まさか、フィルナルド……」


「気づいたかい? ユヅキ? ボクの事を褒めても良いんだよ?」


「やるな。今の攻撃で敵の攻撃場所から敵の位置を割り出したのか」


 弾は真っ直ぐ飛んでくる。その事から狙撃手はその直線に居ると言う訳だ。今の攻撃を防ぐ事で敵の居場所と研究所の場所を見つけたのか。


「……フフフ! もっと褒めても良いんだよ!」


「立派だ。それで敵の居場所と研究所の場所は何処なんだ?」


 フィルナルドが自信満々に指を差した。俺はその方向を見上げる。フィルナルドが指を差した場所は空だった。


「…………敵の研究所の場所は上空に有るっていのか?」


「うーん? 確かに上空に有る古代遺跡とかも有るけどここら辺には存在しないし、帝国に上空に研究所を作る技術なんて無いし、でもね。ユヅキ? 弾が飛んで来たのは上からなんだ。それに間違いは無いよ!」


 俺達はその方向を見上げるしかしそこには鳥の様な物がその場に止まっているだけで何の異常も無い。その瞬間その鳥の居る方向から何か飛んでくる。弾丸だ! フィルナルドは冷静にバリアーを張りその弾丸を防ぐ。


「見たかい!? ユヅキ! 確かにあの方向から飛んで来ただろう?」


「ああ、確かに確認した。だがあそこには何の異常も無い」


「確かにそうだね。あそこには鳥が一羽居るだけで。何も可笑しな事は無いね…………」


 俺達は再び飛んで来た場所を見る。その場には変わらず鳥が一羽飛んでいるだけだ。その時俺はその鳥に違和感を感じた。その鳥は羽が一切動いていない。なのにその場を動かずに停滞している。場所は上空だ。羽を動かさずに飛ぶ生物が存在するのか?


 いや異世界だから存在するのかも知れないな。俺は念の為フィルナルドに確認を取る。


「フィルナルド? あそこの鳥だが…………」


「鳥がどうかしたのかい?」


「俺は異世界人だから知らないがこの世界の鳥は羽を動かさず飛べるのか?」


 フィルナルドは鳥を見つめる。


「基本的には羽を動かして飛ぶね。例外は有るけど」


 そう言うとフィルナルドは少し考えて言う。


「よし! 撃ち落とそう!!」


「待て。警戒した方が良いんじゃないか?」


 俺の静止を無視しフィルナルドが魔法の詠唱を始める。


「我、魔導の道を極めし者! 我フィルナルド・エセンティス・ユースティラーナの元に地の精霊よ! 我に地の力を分け与えたまえ! ロック・ランス!!」

 フィルナルドの前に土の塊が集まり一本の土の槍に変わる。その槍は鳥に目標を決め真っ直ぐ飛んで行った。


 槍は鳥に直撃し鳥は地面に落ちていく、俺達はその鳥を確認する為に落ちた方角に向かった。

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