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作戦前の静けさ

 俺達は東の植民地に向かう途中でオスティニア国跡地を通る。


「酷い有様だね。他の道は無かったのかい?」


 そこら中に散らばる骨を見てフィルナルドは嫌そうに言う。


「そんな事言わないで欲しいな魔女様? ここは俺の故郷なんだが? 里帰りを楽しむのぐらい許して欲しい物だな」


「その様な感情お前の中には無い癖に。良く言うよ」


「東の植民地に行くにはここ以外に選択肢は無い。森は教会の連中しか通れず、戦場は言わずもがな。安全で人気が無いこのオスティニア国こそ、移動するには最適なんだよ」


 それを聞き一真が答える。


「確かにな、こんな骨しか無い所にこのんで行くヤツは居ないだろう」


 ここオスティニア国には放置された大量の骨以外の物は存在しない。辺りはとても静かで人が生活している様子は一切無い。勿論こんな所に見張りも居るはずが無い。ここは既に滅び終わった国なのだから。そんな場所にわざわざ人を置く理由は無い。


 しばらくしてオスティニア国を抜けて森の中に入り山の上にある小屋に一度向かう。そこで休憩を取り、その後作戦を開始する為だ。小屋までは難なくたどり着いた、ここまでに敵が現れる様子も無く作戦は順調に進んでいるだろう。


 小屋に着いた時には辺りが暗くなり夜に成っていた。空を見上げライネスが話す。


「今日はここで一度休み。朝になったら作戦を開始する。それで問題無いな?」


 それに対し俺達は特に否定もせずそれぞれ別れ別々に休憩を取る。ライネスは小屋に待機していた部下に見張りの状況の確認を確認する。一真は小屋に入り睡眠を取りに行く、俺は馬車の中で横になった。


 俺は今日は寝るつもりは無い。何故なら馬車の中で寝た時に悪夢を見たからだ。久しぶりの悪夢は俺の精神を蝕んだ。どうやらムツキと一緒に寝ないと俺はこの悪夢から逃げられないみたいだ。そのため俺は馬車でただ横になるのを選んだ。何もするつもりは無い。


 そんな馬車の中にはフィルナルドも居た。フィルナルドはこっちを時々見て何をするわけでも無く目が合うと笑う。


「ユヅキは何も心配する必要は無いよ。何故ならボクがキミを守り抜くからね。だから安心すると良いよ」


「頼りにしている。フィルナルド」


「フィルって呼んでも良いんだよ? ねーえー!」


 頬を膨らませフィルナルドが俺に構ってくる。俺はそれをただ受け入れる。しばらくして満足したのかフィルナルドが馬車の中で眠りにつく。俺はそれを確認しフィルナルドに毛布を被せると馬車を出た。


 馬車を出た俺はその辺をうろつく、そうしているとライネスが俺に話しかけて来た。


「ユヅキ・サヤマ眠れないのか? まあ、馬車の中で酷い魘されようだったからな。怖くて眠れなくなったんだろ? 能力者と言っても所詮はガキだな。明日の作戦で睡眠不足で倒れる何て真似しないでくれよ? また足手まといが増えると困るからな」


 ライネスは俺を馬鹿にする様に話す。俺は挑発に乗らずに答える。


「俺は能力で眠らなくてもいい身体だ。作戦に問題は無い」


「へえー。そうかよ。所でお前の能力は一体何なんだ?」


「一真に聞いていないのか?」


「アイツからはお前の能力は火を出す事ってくらいしか聞いていない。だがお前は一度も能力で火を出していない。それに俺の爆破を防いだのは間違いなく能力による物のはずだ。今の所、能力者は一つの能力しか使えないと言う話だ。だからお前の能力は火では無いと解る。そこの所どうなんだ?」


 俺は考える。一真が俺の能力を火だとライネスに対し偽装している様だ。ここで別にライネスに能力を教えても良い。だけど一真が俺の能力を火の能力だとしているのには何か理由が有る様な気がする。


 それにライネスはたまにこちらに殺意を向けているのを感じる。それはエルセリアとの稽古で身に着けた感覚で解る。ライネスは今は俺の味方だが俺が同盟国に逆らう事をすれば真っ先に殺しに来るだろう。俺が同盟国を裏切る予定は無い。同盟国を裏切れば俺とムツキの居場所を無くすからだ。だがコイツに能力を教えるのは不味いと俺の直観が言う。


「さあ、どうだろうな」


「教えるつもりは無いと言う事か、まあいいぜ。知らなくてももう問題は無いからな」


問題は無い? どういう意味だ? 俺が味方だから知らなくても問題無いと言う事か? だがライネスはこちらに対する殺意を隠しはしない。


「さて、俺は先に休ませてもらうぜ。じゃあなユヅキ・サヤマ」


 そう言うとライネスは小屋の中に入る。俺はそれを確認すると馬車に戻った馬車の中にはフィルナルドが気持ちよさそうに眠っている。時折寝言で俺の名前を言っている。


 俺は再び馬車中で横になり寝ずに朝が来るのをまった。 

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