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帰還

「…………ご主人!」


 そんな俺を呼ぶ声が聞こえて俺は目を覚ます。身体が重い随分長い間寝ていたようなそんな気分だ。


「……ここは? 俺は確か帝国に攻め込んだはずじゃ…………」


 俺はベットから起き上がろうとする。しかし長い間気絶していたせいか身体が上手く動かない。


「…………ご主人! …………起きた!」


 目に涙が溜まっているムツキが俺に抱き着いて来る。状況が理解できない。俺は何時の間にか帰ってきたのか? 


 俺は今の状況が知りたくてムツキに尋ねた。


「俺はいつ屋敷に戻ってきたんだ?」


 俺のその問いに目の涙を拭きムツキは答える。


「……二日前帰ってきた……ご主人は……戻ってきてから……二日間寝たきりだった」


 戻ってきてから二日間? 帝国の東の植民地からここ同盟国まで馬車で二日は時間が掛かる。その間俺はずっと気絶していた事になる。つまり四日間気絶していたと言う事だ。気絶している間俺は悪夢を見ていない、それだけが俺にとっては救いだった。


「詳しい情報が知りたい。俺が起きたら誰かに会いに行く様に伝えるか聞いてないか?」


「…………ご主人を連れて来た……銀髪の人が……起きたら……城まで来いって言ってた」


「そうか。解った」


 俺はベットから起き上がり城まで行こうとしたが、途中で倒れる。それを見てムツキが俺に近づく。


「…………ご主人は寝てて……目を覚ましたって……私が伝えて来るから」


「悪いな。ムツキ頼んだ」


「……うん……任せて」


 俺は再びベットに横になりムツキの帰りを待つ事にした。それから一時間後ムツキがアーチェと共に帰ってきた。


「…………ご主人……伝えて来た……落ち着いたら…………来て欲しいって」


「そうか。解ったムツキ。所でどうしてアーチェが居るんだ?」


「貴方の体調の確認とライネスが一般人に酷い事をしていないかの確認の為よ」


 そう言いアーチェは俺に触れる。


「どうやら怪我はやっぱり無さそうね。私の能力を使っても起きないから心配したけど、案外元気そうじゃない!」


「お前の能力は確か…………」


「「再生」よ。死んでなければほとんどの怪我や病気が元の健康な状態に出来るわ」


「それは凄い能力だな」


「ええ、私は自分が手に入れたこの能力を誇りに思っているわ。この力で色んな人を救ってこれたハズよ」


 アーチェとの会話を終えるとベットから俺は起き上がる。足などは何時も通り動く。もう問題は無いみたいだ。


「…………もう大丈夫なの?」


 ムツキが心配そうに俺に聞く。


「ああ、もう問題無い。城に行く事にする」


「…………いってらっしゃい……ご主人」


「ムツキは着いてこないのか?」


「……私は来ない方が良いって」


「…………そうか」


 俺は何故か自分にムツキと離れたくない気持ちが有るのに気づく。それが何故なのか俺には解らなかった。


「じゃあ行くわよ! ユヅキ!」


「お前は着いてくるのか……。アーチェ」


「何でそんな面倒そうな顔をするのよ!! 貴方には聞きたい話が有るし二つ名持ちとしても今回の作戦がどうなったか知っておきたいしね」


 俺とアーチェは屋敷を出て馬車に乗り城まで向かう。その馬車の中でアーチェは俺に質問をする。


「さっきはムツキちゃんも居たし、詳しくは聞かなかったけどライネスは一般人の犠牲者は出してないわよね?」


 少し考える。今回の作戦俺が起きている範囲でライネスが人を殺したのは一度だ。その人は十刀聖騎士の婚約者だ。無関係な一般人とは言いづらい。


「俺の見ている範囲ではライネスは一般人は殺していない」


 俺はアーチェにありのまま伝えた。それを聞きアーチェは一言「わかった」と言った。


「所でユヅキ? どうして貴方寝たきりの状態になったの?」


 俺が意識を失ったのは突然だ。東の植民地入ろうとする時に意識が飛びそこから同盟国に戻るまでの記憶は一切無い。


「理由は解らない。ライネスが俺をここまで連れて来たんだろ? ライネスなら何か知っているんじゃないか? アイツは何か言ってたか?」


「それがあの人間のクズ! 貴方が起きるまで情報は出さないって言って城でくつろいでるの! 今回の作戦が成功したか失敗したかも言わずにね!!」


 ライネスの名を出した途端にアーチェは怒り出した。アイツの事が余程嫌い何だろう。俺も短い付き合いだがライネスの事は嫌いだ。


 そんな話をしていると馬車は城に着いた。俺達は馬車から降りて城の中に入る。

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