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奇襲

「ユヅキ・サヤマ! 準備が整った行くぞ!」


 外で時間を潰していた俺にライネスが話しかけてくる。日はとっくに暮れており時間は深夜だ。


「行く? 何処にだ?」


「決まっているだろ? 植民地に攻め込むんだよ! アルガスタ・オーズリーの殺害は出来たがサンク・アーチの行方が未だに解らない。そこでだ! 直接ヤツの屋敷を襲いサンクを屋敷からあぶり出す!」


「お前ここに来てから一度も家から出て無いだろ。アルガスタを殺したって何時の間にだ? それにだ屋敷を直接叩くなんてリスクが高いのでは無いか?」


 俺はライネスに聞く。ライネスは笑いながら答えた。


「殺し方なんてどうでも良い事だろ? 確かに屋敷を攻め込むのはリスクが高いのは俺にも解っている。だがな屋敷からサンクが出たと言う情報は一つも無い。それにだ! 折角、異世界転移者と言う強力な武器を手にしたのにいまだに帝国が戦場に投入しないのが可笑しい! だがこれはチャンスでもある! 異世界転移者共がばらけずに一か所に集まっているのであれば俺の「狂気爆弾」で一纏めに殺れる! リスクに対するリターンは大きいと言う事だ! ユヅキ・サヤマ!!」


 確かにターゲットに成っている俺のクラスメイト達の数は三十七と多い。叩くなら一か所に纏まっている、今がチャンスだと言うのは理解が出来る。


 だが……。


「…………罠の可能性は無いのか?」


「罠? どうしてそう思った?」


 ライネスは不思議そうに俺に聞く。


「能力者は強力なんだろ? それを一か所に纏めて何もしないのは俺達が攻め込むのを待っているのでは無いか?」


 俺の答えを聞くとライネスは大きく笑う。


「連中が俺達が攻め込むのを待っている。それはあり得ないんだよ。ユヅキ・サヤマ!」


「あり得ない? 何故だ? お前は最初に植民地に攻め込んだ時、能力者を殺しに来たんだろ? なら連中も警戒しているはずだろ?」


「いいや。警戒はしていない。俺が攻め込んだ理由は奴らには不明なはずだからな。そもそも異世界転移者召喚自体が奴らにとってトップシークレットだからな。現に俺が魔術師を拷問に掛けるまでその情報は一つも漏れていなかった。発見できたのも偶然による物が大きかった。だから帝国が同盟国に異世界転移者の情報がバレていると言う可能性はゼロだ!!」


 ライネスは自身満々に答える。俺はそれを聞くと東の植民地に行く準備をした。


「ケビス! お前達は先に同盟国に戻って十刀聖騎士アルガスタの殺害に成功したのを報告してこい!! 仕事は地道に成果を上げるのが重要だ! エイブン! お前は俺達が戻るまでここで待機だ! お前には俺達の帰りの馬車の御者をしてもらう! 俺が戻り次第直ぐに出れる様にしとけよ!!」


 ライネスが部下に指示を出していく。


「植民地までは馬車を使って行くんじゃないのか?」


「馬車は帰りに必要になる。万が一にも損傷はさせられない。植民地までは歩いて行く。ここからは一時間ぐらいだな! それぐらいは歩けるだろ?」


 ライネスは俺を馬鹿にするように言う。俺はそれを無視した。


 準備が全て終わると俺とライネスは東の植民地に向けて歩き始める。その時の会話は一切無かった。


 それから一時間後、俺は六日ぶりに東の植民地に来た。巨大な壁が俺の前に現れる。


「門は今閉まっているはずだろ? ここからはどうするつもりだ?」


 俺はライネスに尋ねた。ここ東の植民地は東と西にある巨大な門からしか街の中に入れず。その門も日中しか開いていない。


 今の時間は深夜だ、勿論門を閉まり開いてはいない。もし日中でも俺とライネスは指名手配されている。中に入るのは不可能だろう。


「問題は無い前回の襲撃時に壁を爆破して置いた。こっちだ。着いてこい!」


 俺はライネスに着いていく。すると壁が一部爆破している箇所があった。


「ここから街の中に入るぞ。今の時間は警備なども薄い。作戦は日が昇るまでには終わらせるぞ」


 ライネスが欠けた壁に近づき中に入ろうとする。俺もそれに続いて壁に近寄ろうとした。だがその時突然意識が遠くなっていく。目の前の景色が暗くなっていく。


 俺が意識を手放す直前欠けた壁から何処かで見覚えの有る人物が数人現れるのを見た。


それを最後に俺は意識を手放した。

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